【IIDX】「地力」とは結局何なのかという話【音ゲー】
先日、所用で遠出した際に時間が余ってしまった。周りを見渡すとゲーセンが目に入り、そこで久方ぶりにIIDXを触ったのだが、その時はじめて「地力」というものが何なのか少し理解できた…………ような気がしたので忘れないうちに記事にまとめる。
あくまで理論の話であり、具体的な練習や実例にはほぼ触れないため悪しからず。
1.「地力」とは結局何なのか
地力とは恐らく下記の3つの要素で構成されたものと考える。
(1)認識力
(2)操作精度
(3)慣れ
1.1. 認識力
IIDXやポップンは上から降ってきたノーツに対して正しいボタンを正しいタイミングで押すゲーム。まずは何が降ってきたか目で見て理解しない事には始まらない。
・どのボタンをどのタイミングで押せば良いか?
・片手で取れるか?両手が必要か?
・一見複雑な配置だが、細かく分けるとどんな押し方の組み合わせか?
譜面をしっかりと認識できれば「このようなパターンの場合はどのように対処するのがベストか?」「どうやって押すか」といった事を判断する次の段階にスムーズに移行できる。
1.2. 操作精度
降ってきたノーツを認識できたら次は正しく操作する必要がある。認識が出来ても操作が下手だったり遅ければミスに繋がる。いわゆる運指力、鍵盤力、押し方の引き出しの多さなどはこの「操作精度」の中に含まれる要素と考える。
・どの指で押すか?
・皿に片手を取られてしまった場合はどう対処するか?
・運指を臨機応変に素早く切り替えられるか?
1.3. 慣れ
平常とは異なる状況に置かれた場合でも平常通りのパフォーマンスを発揮できるかどうか。
・発狂やラス殺しなど、突然密度が上がった場合
・絶え間なく物量が続くなど、休憩が無い場合
・リズムが崩れてしまいどこを叩いているのか分からなくなった場合
・段位認定でミリ耐え出来た、念願のフルコンが見えてきた等で緊張している場合
このような場合でもしっかりと認識し、精度を落とさず操作できるか?
2.なぜ「ランダム常備」で「クリアできるかできないかのライン」を「数をこなす」ことが地力上げに有効なのか
皆が口を揃えて言う練習方法だが、なぜこの方法が効果的とされるのか。
大まかに言えば
・「ランダム常備」
→毎回異なる譜面が降ってくるため「認識力」の向上に繋がる
・「クリアできるかできないかのライン」
→少しずつ難易度を上げる事で難しい譜面に対する「慣れ」が身につく
・「数をこなす」
→回数を重ねる事で「操作精度」の向上と「慣れ」に繋がる。
…ここまでは恐らくこのゲームをやっている人なら一度は聞いた事あるだろうし、言われるまでもない話だろう。だからといって何かに書いてあったから、他人に言われたからハイそうですかとやるのでは全く面白くない。面白くなければモチベ低下にも直結するし上達にも悪影響を及ぼす。少なくとも自分はそうだったので納得できるようもう少し深掘りする。
2.1. トレーニングの原理・原則
3つのトレーニングの原理、および6つのトレーニングの原則というものがある。
この原理と原則をIIDXに当てはめて考えてみると、恐らく次のようになる。
3つのトレーニングの原理:
①「過負荷の原理」…ある程度難しい譜面をやること。
②「特異性の原理」…同じ譜面をやり続ければその譜面や要素は上手くなるが、それ以外は上手くならない。逆に言えば上手くなるには色んな譜面をやる必要がある。
③「可逆性の原理」…ブランクが開けば地力は落ちる。
6つのトレーニングの原則:
④「意識性の原則」…惰性でなんとなくやっても効果は薄い。
⑤「全面性の原則」…様々な譜面、配置、要素をバランスよく鍛える。
⑥「専門性の原則」…苦手な分野を集中して練習する、または皿曲、ソフラン、縦連といった独自の要素に向けたトレーニングを積む。
⑦「個別性の原則」…自身の現在の地力に合わせた曲選びをする。
⑧「漸進性の原則」…少しずつ難易度を上げていく。
⑨「反復性・周期性の原則」…ある程度の期間続けないことには効果は出ない。
先ほど挙げた地力の要素やこれらのトレーニングの原理原則、ランダム常備等がどのように関連するか、下記のように考える。
2.2.「ランダム常備」
・ランダムを使用することで同じ曲でも毎回異なる譜面が降ってくる。毎回異なる譜面をこなす事で「認識力」と「慣れ」の向上につながる。
→②「特異性の原理」、⑤「全面性の原則」
・正規系ではあまり見られない配置が降ってきたり片手に寄るといった取りにくい形に化ける事もある。正規大外れの譜面以外は基本的に難易度が上昇する。普段見ない配置への「認識力」や「慣れ」、それを押すための「操作精度」の向上につながる。
→ ①「過負荷の原理」、②「特異性の原理」 、⑤「全面性の原則」
・ランダムでは普段避けがちな苦手な配置であっても否応なく降ってくる。
→ ⑤「全面性の原則」 、⑥「専門性の原則」
2.3. 「クリアできるかできないかのライン」
・簡単過ぎれば当然練習にならず、かと言って難し過ぎて何も理解できぬままでも練習にならない。クリアできなくとも自分が今何をやっているのか、そしてどこに問題があってミスしたのかを理解できる譜面を選ぶ。
→ ①「過負荷の原理」 、⑦「個別性の原則」、⑧「漸進性の原則」
2.4. 「数をこなす」
・1回や2回やった程度で苦手の克服はできない。苦手な配置や指の動かし方でも数をこなす事で「慣れ」や「操作精度」の向上が見込める。
→ ⑨「反復性・周期性の原則」
・ブランクが開けば当然腕は落ちる。ある程度は継続して続ける必要がある。当然やり過ぎは良くないが、かと言って月に数回触る程度といった頻度では上達は見込めない。
→③「可逆性の原理」 、⑨「反復性・周期性の原則」
※④「意識性の原則」は惰性でやらず上達に対する明確な目的意識を持って取り組めば自ずと当てはまると思われるため割愛。
以上より、この練習法は単に先人たちの経験則というだけではなくトレーニングの原理原則全てに則っているため効果的であると言える。
3.「フォルダ埋め」は効果ある?
・様々な譜面に触れるという意味では間違いなく効果がある。
→ ②「特異性の原理」、⑤「全面性の原則」
・フォルダを全部埋める、一通りランプをつけるといった目的意識を持って取り組めば、惰性で何となくやるよりは効果がある…と思われる。
→ ④「意識性の原則」
4.「低難易度の曲」は練習になる?
・様々な譜面に触れるという意味では以下同文。
→ ②「特異性の原理」、⑤「全面性の原則」
・同時押し、皿曲、低速といった個々の要素の練習、運指の練習や矯正、苦手の克服はいきなり難しい譜面をやるのではなく、まずは簡単な曲…それこそビギナーやノーマル譜面からしっかりやり直し、そこで現状の自分が実力がどれぐらいかを見極める事が大事とされる。簡単な譜面では完璧にできるならば次は難しい譜面でできるように、簡単な譜面でもできないからまずは簡単な譜面でできるように練習するなど適宜調整する。
→ ⑥「専門性の原則」、⑦「個別性の原則」 、⑧「漸進性の原則」
5.正規系(正規、鏡、R乱)は練習になる?
・様々な譜面に以下同文。
→ ②「特異性の原理」、⑤「全面性の原則」
・正規は正規でランダムではあまり降ってこない要素(階段、デニム、1軸、等)がある。それらの要素の練習としては間違いなく有用。
→⑥「専門性の原則」
・地力が足りない場合はランダムをかけても単に難易度が上昇するだけで何も理解できない…といった事がままある。その場合は無理にランダムを使用するよりも、正規のままで「クリアできるかできないかのライン」の譜面をやった方が効果的と推測する。
→⑦「個別性の原則」、⑧「漸進性の原則」
…とはいえ正規で変に粘着して癖がついてしまっては元も子もないので程々に。
6.終わりに
忘れないうちにまとめてみたが、長らくモヤモヤしていたものを言語化できてスッキリした。
「地力上げには◯◯が効果的」といった話は耳にタコができるほど聞いたが、それが具体的に何がどのような理由で効果的なのか?といった部分まで説明された事は一度も無かった。その辺の説明されなかった部分について、自分の納得のいく形でまとめる事ができた。
これをもっと早くに理解して実践していれば、もう少し違う結果になったのだろうか…IIDXへのやる気や情熱がとっくの昔に消え失せてしまった自分には無用の長物だが、新しくIIDXを始めた誰かの一助となれば幸いだ。
ヘッダーは静岡県のGiGo柿田川サントムーン店。