ディスクレビュー: Songs About / LOSS LEADER (CD)

世界のネジが壊れていくこの時代だからこそのパンクを体現しているスペインEMOの2020年作

めちゃくちゃ良かった。スペインのエモ/ポストハードコア、2020年の2ndアルバムということで初めて聴いていたんだけど、Waterslide Recordsの紹介文に「Broken Hearts Are Blue、The Van Pelt、Karateといった90'sエモにDCレボリューションサマーを思い起こさせるサウンド」と書かれていてなるほどと思いました。ハイブリッド化していく2010年代以降のEMOとは距離を置き、90年代サウンドを参照しつつも現代解釈もふんだんに盛り込まれていて単純に懐古主義というわけじゃないところも好き。そして何より重要なのは作品、演奏のバイブス。シンプルで力強く、EMOがある。「Personal Feeling」を聴いたときに確信したんだけどTouche Amoreの最新作とも共鳴してる。世界のネジが壊れていくこの時代だからこそ、個人とその日常を正常に、健全に保つこと自体が抵抗の形でもある。パンクとしてその良心を表現していくという姿勢を打ち出しているのも彼らの感覚が90年代の過去の亡霊に取り付かれていないことを思わせる。2018年のstアルバムも収録されているため、タイトルは『Songs About』だが実質2on1CD。

tracklist:
1. Welcome To My Cave
2. Ready For More
3. Water Falls
4. 3
5. Personal Feeling
6. March On Rome
7. The Future Me
8. Nola
9. New Year Wishes
10. Seven Days

ーボーナストラックー
11. Staying alive
12. Dear friend
13. La Pola
14. The song and the sound
15. Compromise stay aside
16. New day
17. Dancing like corpses
18. Six days

Text by Akihito Mizutani (3LA -LongLegsLongArms Records-)
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