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ディスクレビュー: kokeshi - 冷刻 / 「推し」文化の功罪

今となっては「ブラッケンド」なんて言葉を聞くことは本当に少なくなってしまったし、様式美的なダークさをハードコアの中で表現していくバンドも同様だ。しかし体感的にはシーンの中にある"流行"的なものが過ぎた後も、その音楽を突き詰めている人たちは何かあたらしい領域へ到達してしまったり、ちょっとした組み合わせのかけ違いでとんでもないオーパーツを生み出してしまうこともある。
kokeshiも前作『憧​憬』と比較すると、確かにより深みというか奥行きというか、いわゆるポストブラックとも違って、2000年以降の比較的新しめのメタル(このあたりのニュアンスは難しいが)の世代感とビジュアル系的暗黒表現がより磨かれた形で、もちろん明日の叙景とは違うんだけど彼らもまた日本独自の感覚を音に落とし込むことに成功している。それを安易に"世界標準"だなんて自分は言うつもりはないんだけど、やっぱりどこか異形のものがあったほうがコア的な面白さはある。これらの浸食の中で今後も多くの面白い音楽が生まれてくると思う。
アルバムアートワークも前作よりも少ない色彩だが効果的なインパクトを持たせていて、そういった細かいところでも聴く側の第一印象は大分違うように感じる。...と思ったら、以前 killie x SWARRRMの『耐え忍び霞を喰らう』のアートワーク担当していた藤村さんの作でした。納得。

Tracklist:
1. 胎海
2. 海馬に沈む
3. 系
4. 報いの祈り
5. わらべうた
6. (recollect)
7. 涅槃欠損少女読経
8. Into My Darkness -蝕- feat. Deepa
9. 彼は誰の慈雨の中で


この先はいつもの毒にも薬にもならないテキストが続きます。

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「推し」文化の功罪

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