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Touche Amore『Lament』は名盤。そして「Reminders」は名曲だけど、みんなはどう解釈してる?

音と言葉だけじゃ表現できない種類のEMOを行間に含ませているような、そんな作品

 先週2020/10/9にTouche Amore『Lament』がリリースされて聞いていたんだけど、本当に内容が素晴らしすぎて、この素晴らしさを言語化するのは無理だなぁと思いつつ、彼らの音や言葉を聴いているとむしろ彼自身らも言語化できない、音と言葉だけじゃ表現できない種類のEMOを行間に含ませているような、そんな作品なんだなとだんだんわかってきた。

 もちろん音の面での更新とか、表現の面での更新とかいろいろ要素はあるんだけど、そこにフォーカスすればするほど核心がぼやけていくように感じている。少しだけ説明すると、アルバムには様々な種類の感情を含んでいるし、様々な視点の角度を持った表現がある。楽曲にも多様性があって、それぞれの楽曲がテーマを持ちながら、同時にそのそれぞれの楽曲では明言していないメッセージを全体を通して浮かび上がらせていく。そんなアルバム。

 そんな中でも先行でMV公開されていた「Reminders」という曲があって、配信の無観客ライブの映像をみていてこの曲を最後に演奏している様子をみて、そういうことなんだなって思ったことを忘れないうちにここに記しておきたい。自分の解釈です。

引用:"人生の中で、愛を思い出させてくれるものは何か? 友人たちにこの質問をしてみたところ、圧倒的に同じ答えが返ってきた"という説明文から始まる本MVでは、TOUCHÉ AMORÉのメンバーをはじめ、SKRILLEX、Frank Iero(MY CHEMICAL ROMANCE)、Jim Adkins(JIMMY EAT WORLD)、Jay Weinberg(SLIPKNOT)、Jacob Bannon(CONVERGE)といったバンドの仲間たちが、自身のペットとともに出演している。
https://gekirock.com/news/2020/10/touche_amore_reminders_mv.php

 この映像は明確なメッセージを持って、彼らの友人とそのイッヌや猫ちゃんが出演しまくるという最高な内容なんだけど、Pitchforkでは「prototypical Touché Amoré song about trying to find simple pleasures in friendship = 友情の中にシンプルな喜びを見つけようとすることを歌ったTouche Amoreの典型的な楽曲」と評されていた。でも、言及されているのはそれと歌詞のことだけだったので俺は「それだけじゃない」と思った。

If Lament had come out in 2000, “Reminders” could have been their “One Armed Scissor” or “Pretty Lush,” a Trojan horse of a single that landed them on MTV2 and late-night shows. There’s no Touché Amoré song quite like it, a straight-up pop-punk singalong that’s just as goofy enough to be convincing and lyrically devastating enough to be what it really is: an otherwise prototypical Touché Amoré song about trying to find simple pleasures in friendship (human or otherwise) when nihilism feels far more appealing.
参照: https://pitchfork.com/reviews/albums/touche-amore-lament/

 この曲は個人的にはSpotifyのプレイリストで聴いたのが先だったので、最初MVは見ていなかったんだけど、いわゆるサビでのコーラスを恥ずかしげもなく合唱するタイプの、少し古いメロコア感もある曲だなと思って笑ってしまった。でもこのメロディもコード進行も全然シンプルなものではなくて、90年代のメロコアにもあまりなかった音使いで、それをパッと聴いた感じではシンプルに聴かせつつ、背景としてのメッセージの筋が細部まで張り巡らされてるすごい曲だなと思った。
 いくつか言語化できそう箇所について整理してみました。

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