「バンドを始めなさい。ツアーに出なさい。友人を愛し、そして笑って死ね。」 Interview with BASQUE (2024)
このインタビューは3LAでもCDをリリースすることになったカナダのBASQUEへのメールインタビューになります。最初のプレス枚数はすぐに売り切れてしまったが、遂に2ndプレスされたCDが日本国内に到着しています。前回のタイミングでは聞けなかったことをバンドに聞いてみました。
「僕らが 「典型的な」スクリーモ・バンドだと言うのは間違っていると思う。」
Q1:
まず聞いてみたいのはBASQUEというバンドについてです。どのようにして結成されたのだろう。メンバーは他には何かバンドはやっていますか?
BASQUE:
バンドはKarloffのNate(ボーカル、ノイズ)とNico(ベース)、それにAli(ギター)とJake(ドラム)で結成されました。現在AliはBody Minus Headでヴォーカル、NicoはWedgeでベース、JakeはBlock Parentというスケートパンクバンドでベースを担当している。ネイトは常に様々なプロジェクト名で活動している。
Q2:
BASQUEのbandcampのタグを見ると「skramz」や「emo violence」といったキーワードを使っていますが、バンドのアルバム『Pain Without Hope Of Healing』の中で表現されているものは決してそれだけではありません。文脈としては「emo violence」でありながらも新しい領域へ挑戦しているバンドだと私は思っています。結成当初からあなた達はScreamoの先の領域を表現しようとしていた?
BASQUE:
私たちは常に、ひとつのジャンルの説明以上の存在でありたいと思っていました。私たちは皆、異なる音楽的背景を持ち、全く異なるスタイルが好きなんだ。私たちは、フォーク、ノイズ、パンク、インディー、そしてスクリーモを含む他の多くのジャンルから影響を受けている。私たちのヴォーカルと激しい感情的な音楽のスタイルから、私たちは常にスクリーモのカテゴリーに当てはまる、でも僕らが 「典型的な」スクリーモ・バンドだと言うのは間違っていると思う。
「ノイズは常に私のプロセスの一部」
Q3:
アルバムの作りも印象的でした。イントロの「Nausea」はちょっとEMOっぽい柔らかなサウンドで始まったと思わせて油断させていますが、そのあとは一気にエモバイレンスにリスナーを巻き込んでいく構造になっています。そして最後の「Funeral For A Mouse」で伝統的なScreamoへと収束していく。つまり、Q2での問いかけのBASQUEの新しい領域への試みというのは、決して変化球を投げているわけではなく、あなた達の音楽はScreamoである!という宣言にも解釈できると思うのですがいかがでしょうか?
BASQUE:
結成当初は 「スクリーモ 」バンドというポーズをとっていたんだけど、このメンバーが集まってみたらこのバンドはもっとオリジナルなものに発展していくだろうとわかった。僕らはスクリーモ・バンドと一緒に演奏するのが大好きだし、このシーンが大好きなんだ。スクリーモは僕らの音楽の骨格であり続けるだろうけど、同時に他の方向へも突き進んでいくと思う。
Q4:
NEW FRIENDS FESTのライブ映像を見ました。音源以上にScreamoをノイズ、演奏のカオスへと融合させていく素晴らしい映像だと思いました。あなたたちはエレクトロニクス(ノイズの機材など)をどういったものと定義していますか?そして、Screamoにノイズを融合していくこととは現代にとってどのような意義があると思いますか?
(NATE):
ノイズは僕らのサウンドに即興的な要素を加えてくれる。
ノイズはラウドで擦れるような時もあれば、アンビエントで穏やかな時もある。これは、バンドがライブで他の感情を表現するための方法であると同時に、曲の一貫した構造を保つための方法でもある。自分の興味のあるものを演奏することは重要だと思うし、ノイズは常に私のプロセスの一部だった。いつも意図した通りにいかなくても、いろいろな機材を使ったり、頻繁に実験したりするのが好きなんだ。
「quiqui大好きです!」
Q5:
日本のquiquiっていうバンドを3LAではリリースしているのですが、アルバム全体のコンセプトで聴かせていく構造や、Screamoをエレクトロニクスやノイズ、エクスペリメンタルと融合していく試みをしているアルバムになっていて、それはサウンドは違えどBASQUEと共鳴するものがあると思っています。他の国や、自分の国でも良いのですが、自分たちの考え方と共鳴していると思うバンドはいますか?
BASQUE:
quiqui大好きです!型にはまらないサウンドを音楽に加える、とてもユニークなバンド。私たちにインスピレーションを与えてくれるバンドはたくさんいる。Habak(メキシコ)、Obroa Skai(カナダ)、CADY(イギリス)などなど。ユニークで面白い音楽を作っている仲間が世界中にいることに感謝してます。
Q6:
あなたたちは音楽を奏でる上で何を重要視していますか?
そしてバンドを続ける上で、メンバー間でどのようなことを意識していますか?
BASQUE:
コミュニケーションをとり、新鮮なアイデアを持ち寄ることが大切だと思う。休憩を取り、自分がやっていることを楽しめるようにするのもいい。傷つきやすいエモーショナルな音楽を作るのは難しいことですが、友情が強く保たれている限り、芸術は生き続けることができる。
Q7:
最後に何か言い残したことがあればお願いします!
BASQUE:
バンドを始めなさい。ツアーに出なさい。
友人を愛し、そして笑って死ね。
BASQUE - "Pain Without Hope Of Healing / 癒えない痛み" (CDR)
BASQUE(バスク)はオンタリオ州キッチナー出身の4人組Screamo... ということになっているが、2020年代中盤戦へと突入していくこの現代で「Screamo」と言われても「それってどのScreamo?」となってしまい迷い込むのがこのSkramzという迷宮である。Emo〜Post-Hardcore文脈で語る”我々の”Screamoとは即ちScreamoというジャンルを突き詰めながら同時にScreamoを逸脱するという矛盾を抱えており、その矛盾と問いの質によって拡張と深化を繰り返してきた。このエッジに立つバンドがいるからこそScreamoは面白い。
インターネットとデジタルストリーミング時代となり歴史の文脈がサウンド同様にリミックスされていく中で発生した彼らの音は、日本でいうならquiquiのような激しさと静寂が一体のバンドの内に同居し、pg99やCircle Takes The Squareといったカオティックな激情ハードコア達が築いてきた歴史へリスペクトを払いながらも、エレクトロニクスも融合したノイズとエモバイオレンスの解釈とも言える不協和音による構成美が成り立っている。
バンド初のアルバムとなる本作は彼らのフッドであるカナダNo Funeral Recordsからレコード、カセットがリリースされ、CDは3LAと共に100枚のみのプレスにて小規模流通されることになりました。日本盤CDに関しては帯+日本歌詞カード付属となります。