ディスクレビュー: Population Control / Amygdala (LP)
表現が教科書的なスローガンを絶叫するだけのパンクではない、外圧に屈するのではなく自ら変われ
2019年の注目すべきレコードの1つにはAmygdalaの『Our Voices Will Soar Forever』があるんだけど、今のタイミングだからこそなので2016年の『Population Control』のほうを取り上げたい。白人階級社会、家父長制、そのもっと奥の背景にあるキリスト教社会、それらに対する怒り、そしてシーンに対しても「Yes you are punk」(あんたらは確かにパンクスです)と言いながら「But you don’t have the same problems as I do」(同じ問題意識を共有してはいない)と切り捨てるこの音楽はひたすらに怒りを表現していく。Screamo的なボーカルとクラスト、ハードコアの思想で固められた表現だが音楽的にも保守的なパンク/ハードコアから距離を置くことでサウンド面でもメッセージ性を確立していく。つまりは価値観の変革を叫んでいるんだけど、ラストトラック「Counteractive Activist」にて表現するのは「世界vs女性」という狭いフェミニスト的世界観ではなく、結局は身内での対立になってしまうという世界の構造を自身の立ち位置も込めて皮肉ることで、これらの表現が教科書的なスローガンを絶叫するだけのパンクではなく自分たちの中にある問題にしっかり焦点を当てるという痛みのある表現になっているのが泣ける。だがこの曲は美しい。世界を革命する力を。だが他人に与えられる力に意味はない。外圧に屈するのではなく自ら変われ。日本人にとっては別の意味のメッセージになるかもしれないけど響くのか?
tracklist:
1. Rose Buds 03:07
2. Punkerxs Del Barrio 02:25
3. Apathetic Psychoanalyst 01:16
4. These men aren't sorry 02:13
5. We are the resistance 02:48
6. Healing in a world where we dont exist 01:26
7. Wandering Eyes 03:15
8. Population Control II 03:01
9. Abandon All Patriarchy 03:52
10. Counteractive Activist 04:51
Text by Akihito Mizutani (3LA -LongLegsLongArms Records-)
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