カンヌライオンズ2023 速報 - エンターテインメント、エンターテインメント for ゲーミング、エンターテインメント for ミュージック、エンターテインメント for スポーツ部門
カンヌライオンズ2023、2日目です。昨年に引き続き、各部門のグランプリ受賞作品について、速報的にまとめていきます。
2日目は
・デザイン(Track:Craft)
・デジタルクラフト(Track:Craft)
・フィルムクラフト(Track:Craft)
・インダストリークラフト(Track:Craft)
・エンターテインメント(Track:Entertainment)
・エンターテインメント for ゲーミング(Track:Entertainment)※新設
・エンターテインメント for ミュージック(Track:Entertainment)
・エンターテインメント for スポーツ(Track:Entertainment)
の8部門の受賞作品が発表されました。
この記事では
・エンターテインメント(Track:Entertainment)
・エンターテインメント for ゲーミング(Track:Entertainment)※新設
・エンターテインメント for ミュージック(Track:Entertainment)
・エンターテインメント for スポーツ(Track:Entertainment)
のグランプリを簡単にまとめます。
CLASH FROM THE PAST:エンターテインメント部門グランプリ
Client:CLASH OF CLANS
エンターテインメント部門は、フィンランドのSupercellが開発・運営するモバイルストラテジーゲームCLASH OF CLANSの"CLASH FROM THE PAST"がグランプリを受賞しました。
*背景
モバイルストラテジーゲームのクラッシュ・オブ・クランは、ローンチから10周年を迎えた。
*アイデア
実際には2012年に生まれたゲームを、1982年から愛され続けてきたという設定をでっちあげた上で「架空の40周年施策」を実施。1980年代、1990年代、2000年代のそれぞれで”流行った”ミニゲームを制作し、それを振り返る20分あまりのドキュメンタリームービーを公開した。
ひと昔前のアーケードやプレイステーションのようなゲームがよく再現されたコンテンツで、あたかも40年間ポップカルチャーを支え続けてきた老舗ゲームであるかのように見せることに成功した。
*結果
YouTubeトレンドで1位獲得。過去最高のブランドリフトを実現。
CLASH FROM THE PAST:エンターテインメント for ゲーミング部門グランプリ
Client:CLASH OF CLANS
今回新設となったエンターテインメント for ゲーミング部門も、エンターテインメント部門と同じくCLASH OF CLANSの"CLASH FROM THE PAST"がグランプリを受賞しました。
「エンタメ for」の名を冠しながら、エンタメそのものである「ゲーミング」を審査する新部門。クラッシュ・オブ・クランというゲーム自体のプロモーションであり、その手法として「架空のゲーム」が登場するというところに企画の面白さがあると思いました。
BEAUTIFUL LIFE:エンターテインメント for ミュージック部門グランプリ①
Client:MICHAEL KIWANUKA
エンターテインメント for ミュージック部門は、2作品がグランプリを受賞。1つ目は、MICHAEL KIWANUKA(マイケル・キワヌカ)の“BEAUTIFUL LIFE”です。
サブカテゴリを見ると「Branded Content for Music > Excellence in Music Video」ということで、MVが評価されているようです。公式のMVを貼ると年齢制限で遷移先でしか見られないので、同じく公式の本人出演ver.も貼っておきます。聞ける楽曲は同じです。
MVの内容は、色々な人種の若者が、一人ずつ拳銃を頭に当ててロシアンルーレットをしていくというもの。合間合間に、引き金を引く若者の過去の回想が挟み込まれます。最後の一人がついに頭を打ちぬいてしまう描写があるため、年齢制限がかかっていると思われます。
※そこまでショッキングな映像というわけではなく、普通に洋画を観たりする人なら大丈夫なレベルのはずです
ちなみにアーティスト情報と楽曲に対するコメントは下記の通り。
歌詞では「It's a beautiful good life」が印象的に繰り返され、逆境の中にあっても美しく生きる尊さを綴っています。
THE GREATEST:エンターテインメント for ミュージック部門グランプリ②
Client:Apple
エンターテインメント for ミュージック部門、もう1つのグランプリは、Appleの“THE GREATEST”です。
*背景
Appleのアクセシビリティに対する継続的な取り組みを紹介したCM。
*アイデア
視覚や聴覚、運動機能などにハンディキャップを持つ7人の人々が日常生活を送る様子に追っている。持つ7人の人々の日常を追いながら、彼らが生活の中で実際に使っているAppleのアクセシビリティ機能を紹介。
腕のない女性はSiriを使って部屋のブラインドを開け、足を使ってアイメイクや運転をこなす。
四肢まひの男性は、ボイスでiPhoneに天気を表示するよう指示したり、声でカメラを操り自分の全身写真を撮影する。そして顔の表情を読み取らせることで写真を加工。
耳が聞こえない母親は、Apple Watchのアラートで赤ちゃんが泣いていることに気づいて抱きあげる。
…など。
ちなみに画面の様子をオーバーボイスで説明する「Audio Descriptions」バージョンも公開されており、アクションが行き届いている。
*結果
YouTube公開後1週間で1600万回再生。
「Audio Descriptions」バージョンも18万回以上再生された。
DREAMCASTER:エンターテインメント for スポーツ部門グランプリ
Client:MICHELOB ULTRA
エンターテインメント for スポーツ部門は、MICHELOB ULTRAの"DREAMCASTER"がグランプリを受賞しました。
*背景
世界の2億8400万人は、視覚障害によって音声でしかバスケットボールを視聴できないため、充分に楽しむことができていない。
*アイデア
ハプティクス(触覚フィードバック技術)、空間オーディオ、点字生成を組み合わせた「Dreamcaster」というテクノロジーを新たに開発。
これを利用(空間オーディオのブース内で振動する特別なベストを着用し、状況解説の点字が瞬時に現れるデバイスを触り)し、目が見えないスポーツジャーナリストのキャメロン・ブラック(34)がNBAのプレーを生放送で実況した。AIが解析した過去のデータベースをもとにしており、視覚を使わずともリアルタイムでプレーの状況がわかるようにした。
この仕組みは以降3年間で世界に広げていく目論見で、2023年10月にはアプリがリリースされる予定。
*結果
2万人以上がマディソン・スクエア・ガーデンで試合を体験。
1000万人以上の視聴者が生放送でキャメロン・ブラックの歴史を視聴。
Michelob ULTRAの検索ボリュームが55%増加。
Michelob ULTRAに関するソーシャル上の会話が44%増加。
カンヌ常連のミケロブウルトラは2020年からNBAの公式ビールパートナー。その文脈を踏まえながら、バスケファンに対するGoodを生み出した事例と言えます。
*
エンタメを一気見しましたが、
・エンターテインメント|テーマ:架空
・エンターテインメント for ゲーミング|テーマ:架空
・エンターテインメント for ミュージック|テーマ:逆境
・エンターテインメント for スポーツ|テーマ:アクセシビリティ
といった内容でした。
コロナの辛い現実を徐々に抜け出し、強さを身につけた我々が、時には空想を楽しみながら、あらゆる不自由を解消していく。それをエンタメで実現していくという時流なのではないかと、強引に結論づけてみました。
*
その他の部門
残りの
・デザイン(Track:Craft)
・デジタルクラフト(Track:Craft)
・フィルムクラフト(Track:Craft)
・インダストリークラフト(Track:Craft)
・エンターテインメント(Track:Entertainment)
のグランプリについてはこちらをご覧ください。