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【学習モニター①】高校2年生の共テ漢文偏差値を53.8→67.2に上げた勉強法
モニターの記事では、私が学生の成績を伸ばすために、どのようなアドバイスをしてきたか?そして、それはなぜか?を紹介しています。
まずは、モニター前と後の成績表を下に貼付します。(上は11月の模試)
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今回は国語(主に漢文)の偏差値をどのようにして上げるのかを紹介していきます。
学生紹介
ここは絶対に読んでください。人によって勉強法は変わってきます。
今回の学生は、
高校2年生
モニター期間2カ月
理2、京薬志望
東進衛星予備校に通っている
帰国子女であり、英検1級の1次試験をパスしている。日本には小4からいる。
直近の2次型模試(河合)での偏差値は、数学が67、英語が76
国語が苦手で、特に古典が取れない(写真参考)
こんな感じの学生からモニター依頼がありました。見て分かる通り、めちゃくちゃ優秀です。古典ができないとは言っても、偏差値が50弱なだけで、全然できない!というレベルではありません。
聴収
今まで何を勉強してきたか?などを聞きました。
「富井の古典文法をはじめからていねいに」をやってみたが、覚えられなかった。
「古文読解をはじめからていねいに」はほとんど手付かず。
学校配布の「key&point 古文単語」を学校に合わせてやっている。
漢文文法は全くやっていない。
古文にさける勉強時間は、平日1時間、休日2時間。
目標としては、とにかく同日模試に向けて、点数を伸ばしたい。とのこと。
提案
大前提として、これほど優秀な学生なら、勉強は任せた方が伸びます。なので、何をすればいいのか?のアドバイスだけをします。(理由は後で)
まず、やるべきことですが、当然古文単語・文法と漢文文法になります。
しかし、この学生は「すぐに」点数を伸ばしたいので、漢文からガッツリ固めるのが良さそうです。
あまり受験に詳しくない方もこの記事を読んでいるかもしれないので説明すると、共通テスト国語は漢文が一番イージーで、次に現代文、そして古文は激ムズです。なので、点数を伸ばすなら、まずは漢文です。
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ちょうど漢文が苦手だったので、伸びしろは大きいです。一石二鳥ですね。
漢文メインでやると決めたら、ある程度の時間を漢文にさけるということになりますから、漢文文法だけでは足りませんね。簡単な演習をしていきたいと思いました。
一方で期間が短いので、古文は手薄になります。しかし、ある程度はやらなければなりません。単語は時間を要しますが、学校で少しはやっているようなので今回は対策しません。それよりかは、まだほとんどできていない文法を勉強するのが大切です。
文法問題は「それだけ」単体で共テで出題されるので、コスパが良いです。
また、共テ国語は量が多く、受験生でかつ上位者でなければ時間が足りないものです。そのため、全部解くというよりかは、戦略的に飛ばす部分を作っていきます。今回は、漢文と現代文を本気でやって、古文はあまりの短い時間で、文法問題など簡単な問題だけやるという方針を勧めました。
使う参考書ですが、
漢文は「漢文早覚え速答法」で文法を固めた後に、「実践演習レベル別問題集基礎」をやることにしました。
「漢文早覚え速答法」は最近市民権を獲得した参考書で、とにかく高校生の味方です。著者の田中雄二先生が、漢文に時間を割くべきではないから効率的に勉強してほしい!というスタンスで、覚える必要のあるところだけをまとめてくれています。
「実践演習レベル別問題集基礎」は依頼者持参の参考書なので使いましたが、これでOKです。文法を覚えたら、「なーんだ。漢文って簡単!」と思える問題集をやることで自信がつき、読み方を覚えられるようになります。
ところで、「文法の演習はやらなくてもいいのか?」や「中学範囲の復習はしなくてもいいのか?」と思うかもしれません。結論から言って、今回のような学生には不要です。
前にも書きましたが、優秀な学生は放置した方が伸びます。手取り足取り教えると逆効果です。
この学生は帰国子女であり、英検1級の1次試験をパスしていて、直近の2次型模試(河合)での偏差値は、数学が67、英語が76です。つまり「すでに自分の中での勉強理論がある程度確立していて、問題集を完璧にしようとする精神がある」のです。
私はこれを「その人の定規ができている」と言います。
想像してみてください。日本人で英語がペラペラな人と全く話せない人がいたとしましょう。スペイン語を覚えるとき、どちらが効率よく勉強できるでしょうか?
もちろん英語がペラペラな人です。英語で日常会話レベルになるまでに3年かかったから、スペイン語でもそれくらいかかるかなと予測できたり、英単語を簡単に覚えられる方法を知ってるから、スペイン語でもそのまま活用してみよう!と思えたりします。
話を戻しますが、偏差値数学が67、英語が76ですから、相当しっかり叩き込んできたんでしょう。同じように漢文も勉強すればいいと分かってくれるのです。
これが偏差値50を割る学生だと手取り足取りやります。完璧にしてきてねとお願いすると、やってはくるのですが、3割くらいしかできてないんです。
とにかく自分に甘いことが多くて、好奇心が低いので頭に入らないんです。
今回のようなできる生徒は手取り足取りやると逆効果です。もうある程度勉強哲学が出来上がっているので、私がとやかく言うとその哲学を否定することになります。個性を殺してしまうとも言えます。可能性をつぶしてしまいます。学生が「こういう勉強の方がいいのに」と思うようになることにもつながります。
古文は、「富井の古典文法をはじめからていねいに」をやるように指示しました。助動詞とその活用だけはまず覚えるようにアドバイスをして、とっかかりやすくしました。他は任せました。
古文文法ができない人のほとんどは、助動詞を覚えていないことが原因です。どうしても理屈が気になってしまうのですが、古文文法は覚えなければ始まらないんです。意味が分からなくてもまずは丸暗記すると、その後スラスラ頭に入ってきます。
そして、丸暗記しなければいけないのが助動詞とその活用になります。なので、古文文法ができない人には、まず助動詞とその活用を暗記させています。
ここまでできたら、共テ国語の過去問を適当に2回分解いてもらいました。形式の確認と基礎が定着したことによってどれだけできるようになるのかを実感するためです。
このとき、直近の過去問をやると、来年初見で解けなくなるので、10年ほど前のものをやってもらいました。
2回分できたら、3回分ほど追加して、解くよりも復習をしっかりやるようにアドバイスしました。復習では音読もすることで、読解スピードが上がります。
以上アドバイスはこれだけです。あとはほとんど任せっきりですが、しっかり成績を上げました。これは私ではなく、依頼してくれた学生の頑張りによるものです。
ビフォーアフターを再掲します。
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今回の記事はここまでです。ありがとうございました。