整理回収機構と三宮一貫楼②
木曜は仕事(三宮一貫楼)ネタ
↑からのつづきです。
切れのよいドアを開ける音と同時に3人の男性が入って来ました。
全員が濃紺のスーツに銀縁メガネという出で立ち。
当時の私の眼のフィルターを通して見えた3人は、まるで経済ヤクザそのもの。イカツ~~
1人1人と名刺交換をして、最初はアイスブレイク的な雑談から入りまして、それなりに和やかな雰囲気で進んでいきます。
3人並びのセンターに座って、ひと際貫禄のある年配の方、辰己さん(仮名)が主に会話をリードしていきます。
日常会話のラリーが3ターンほどつづき、あちらのターンになった時に不意に辰己さんが本題に切り込んできます。
「〇月〇日付で12億6000万円の残高である弊社(RCC)に対する御社の債権は、期限の利益をすで喪失しているため来月、3月末日までに全額を一括で返済願います。」
※金額はうろ覚えです。これくらいの残額だったという金額です。
「死んだ・・・。」
全身が泡立つような感覚と同時に、足元から起こった震えも全身を駆け巡り目が潤んでくるのが解りました。
ここに来る前に聞いた、
「RCCは企業の墓場」
ホンマやったんや…
・・・・・・。
一拍ほどの間があり、先代がポツリと口を開きます。
「はぁ、整理回収機構さんは ❝血も涙もある回収❞ をモットーにされていると聞いたんですが、あれ嘘やったんですかねぇ?」
私はあまりのショックに放心状態で目にしてないのですが、
先代曰く、この言葉を聞いて担当3人で目配せをして頷きあったとか。
実際、この頃は住専問題や金融機関の破綻が相次でおり、整理回収機構(以下RCC)職員の取り立ての厳しさが社会問題になっていました。
その問題を受け、RCCのトップが血も涙もある回収をするという会見をした直後でした。
先代の絶妙な切り返しを受けて、辰己さんも返します。
「では、いくらなら返済できるんでっか?」
これには先代、経理担当の母も即答は出来ずに「う~ん。。。」となっていると。
「従来通り(の額)やったら可能ですか??」
※従来通りの額とは、直近で返していた元利総額で約560万円/月
その振りに対して、母は即答で、
「行けます!返せます!!」
それに対して辰己さんは、
「じゃあ、それで行きましょうか。毎月10日に指定する弊社の口座に振り込みでお願いします。あと、うち銀行じゃないんで560万円全額が元金返済となります。それでいいですか?」
一同、反論の余地なし。
「もちろんです!ありがとうございます。」
そしてニヤッとしながら辰己さんはこう続けます。
#めちゃ怖い笑顔
「利息のことは全部返してから、また相談しましょ。うち銀行じゃないんで。」
この繰り返される意味深なワード「うち銀行じゃないんで」
いい意味でも悪い意味でも本当にそうだ。
と、沁みわたるワードになって行くのをまだ知らない若き私でした。
九死に一生を得て、ここもなんとか生き残ることができました。
次からは実際にRCCとのお付き合いになっていきます。
(つづく)