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整理回収機構と三宮一貫楼⑧

木曜は仕事(三宮一貫楼)ネタ

↑のつづきなのですが、

整理回収機構との付き合い中に起きていた、濃い親子の葛藤エピソードを4回に渡りスピンオフでお送りします。

最初は右も左も分からない状態で入社した家業三宮一貫楼。

前回のお話が私の入社6年目くらいの出来事です。

そろそろ右も左も分かり始めるどころか、普通では経験できないようなことも経験をし、会社を救うのは俺しかいない

と、妙な使命感が出始めるのもこの頃です。

そうなると先代や母親がしている商売が古臭く非効率に思えてきて、改革という言葉を燃料として、この頃の私は動いていたように思います。

しかし、そんな功名心をベースにした邪な動機で動いていると、

いくら正しいことを言った、やったとしても上手くいかないのが世の常。

私も超絶に上手くいかなかった口です。

その代表的な例が、通販事業においての私と母の対立です。

通販は入社以来、直属のフィールドだったので、私の責任と権限をもって動かせる部署でした。

本当にお金に困っていた当時の専務である母はこの頃から禁じ手を乱発するようになってきます。

それは何か?

キラーコンテンツである豚まんの値引きセール


当時の定価が1個140円(安いですね😅)これを6月に「豚まん祭り」と銘打って1個100円での販売を全国に向けてダイレクトメールを発送するのです。

この反響たるや凄まじいものがありまして、毎年暇で困る6月にインパクトがある売上を記録。

これが母の脳裏に成功体験として深く刷り込まれてしまいます。

閑散期の1か月だけのセールなら、私も問題なしと思わんでもないです。

何事を置いてもキャッシュを手に入れなければならない状況、とくに月末の支出が大きい時など地域を絞って100円セールのハガキを出すようになりました。

それが徐々にエスカレートし、1か月ごとに全国キャラバンのように2月はあの地域、5月はこの地域のように頻発するようになります。

うちの顧客で多い人は6月以外も2度3度豚まんを1個100円で買える時期が出来てしまうのでした。

そうなると定価で買うのがアホらしくなるのが消費者心理。

この策はどう考えても危険なので、正面を切って私が反対をすると、そしたら代わりにお金を集めてくれやとの無茶ぶりが来ます。

しかし、若い私も返しの可愛くない口調、態度に加えてスタッフを扇動するような動きも決して褒められたものではありません。

結局、通販以外でも営業に関して何を提案しても却下。

しまいには先代とも結託して干されてしまうようになり、次第にモチベーションを保つのが難しくなりました。

私は私で両親に対して「あんたらのやり方は古臭い」ということを言外にも隠さないような態度を出していましたので、更に溝が深まる悪循環。

この頃にはお馴染みになっていた事務所での母親との口論、ある時母親の放った一言。

「こんなことしてたらあんたなんか何処行っても通用せえへんわ。」

この一言は、大学を卒業してストレートで家業に入った私のコンプレックスを大いに刺激しました。

「通用せえへんかどうか確かめるわ。」と私。

「で、どうすんの?」と母。

「こんな会社辞めたるわい!」

と、咄嗟に口走って事務所を出て行った若き私でした。

(つづく)

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