刑務官の暴行について
今日は少し子育てから離れた内容になります。
私は過去に非行をしてしまった子供達を相手にした仕事をしていた関係で、刑務所で受刑者の方とも関わる機会が何度もありました。
最近、名古屋刑務所の刑務官22名が受刑者に暴行していたことが大きなニュースになりました。
昨日もニュースであるコメンテーターの方が「人の顔にアルコールをかけたり、手を叩いてはいけないことなんて分かるでしょう。それが分からない人を採用する時点で問題ですよね。」と仰っていました。
まず刑務官が全面的に悪い。それはその通りです。どのような状況でどのように挑発されても動じないというのが彼らの仕事ですから。
でも、今回事件を起こしてしまった刑務官の方達は、人の顔にアルコールをかけたり、手を叩いてはいけないことが分からない人達では絶対にありません。
問題はもっと根深いと思うのです。
私はたくさんの刑務官を知っています。彼らの中には高校を卒業してすぐに刑務官として働き始める人も多く、中にはまだ10代の人もいるのです。
学生時代に頑張っていた剣道や柔道を生かせる仕事だからという理由だけで仕事に就く人もいます。(仕事選びの仕方が甘いと思われる方もいるかもしれませんが、大学卒でも自分の就職先の仕事内容の過酷さをちゃんと理解してる人は稀ですよね。)
そんな社会人経験も浅い若者達が1番最初に相手にするのが、自分たちの親よりも年上の受刑者達です。
受刑者の方達は、複雑な環境の中であらゆる知恵を働かせながら色々な経験(犯罪も含め)をして生きてこられた人達です。
高校を卒業したばかりの若い職員が、
他の職員の前でバカにされたり、見下されたり挑発されたりして、どんな精神状態になるか少しでも考えていただきたいのです。
私は未成年の子達を相手にしていましたが、愛着障害の少女はとにかく人を試し続けます。
人を挑発するプロで、人の気持ちを振り回すことも多く、どれだけ愛情を持って接していても心が疲弊してしまうことがあるのです。
子供達が辛いバッググラウンドを抱えていると分かっていても、感情をかき乱されることがあるのです。
今回事件を起こした刑務官は特殊な人たちではないと思います。
社会人経験のない若者が刑務官として働き始め、受刑者から馬鹿にされ挑発されて、先輩達からは「だから舐められるんだ」と言われ続けるとどうなるか少しだけ知って欲しいのです。