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coronana9677
恋花粉 #毎週ショートショートnote
ここは中東のある国。国王夫妻は、世継ぎとなる王子を案じていた。王は大臣を呼び出すとこう言った。「王子は毎日衛兵らと詩作に耽ってばかり。恋のひとつも経験せぬようでは先が思いやられる。なんとかせよ」
命を受けた大臣が会議で相談すると、ある学者がこう言った。
「南方の島では、ミツバチの足に付く花粉球を食べた者に恋心が湧くという「恋花粉」の伝説がございます」
大臣は衛兵隊を呼び出すと「恋花粉」を手に入れるよう命じた。彼等は南方の島を彷徨ったがその探索は難航を極めた。
数ヶ月後、衛兵隊が戻った。ようやく発見した「恋花粉」を献上すると、王はそれを王子に食べさせた。王子の表情はみるみる内に明るくなり、衛兵隊の無事帰還を喜び、朗らかに話し込んでいる。
その様子を眺めていた王妃は王に囁いた。
「王様、私達は勘違いをしていたようですよ」
夫妻の視線の先で、王子は衛兵の中の一人と肩を寄せ見つめ合っている。その手はそっと繋がれていた。
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たらはかに様の企画に参加させていただきます。