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だから私は幹事をやる。

昨年末。師走という言葉をそのまま受け取るかのごとく、私は忙しない日々を過ごしていた。夕暮れ時、居酒屋が営業前の時間帯になると、さまざまな店舗に電話をする。

「12月20日の18時から、5名でお刺身盛りプランの予約はできますか?」
「12月21日の20時から4名、飲み放題3時間のプランでお願いします!」

普段から、頼まれごとをされることが多いかといえば、そういうわけではない。
しかし私は、何かのイベントシーズンが始まると、ことあるごとく、幹事に任命される。

あなたに向けて、考える。

思えば中学時代から、遊びに関してだけは、提案することが多いタイプだった。

たとえば真冬の昼休み。
夏場には、外で生き生きと走り回っていた友人たちも、
仕方なくだるまストーブを囲み出す。

「本当は外で遊びたいけど、寒いからねえ」

そんな言葉を発しながら、背中を丸める友人を見ていると、
いてもたってもいられない子どもだった。


翌日になると私は、家から大きい水筒にいれた熱湯と、紅茶のティーパック、そしてブランケットを持って、学校に向かう。

「ブランケットがあれば、外でも寒くないよ」

自慢げに持っていったアイテムと共に、みんなを屋上へ連れて行く。
外にも出れて、暖もとれる。数種類のフレーバーを添えたティーパーティ。
その日からは、みんなで少しずつ工夫を凝らして、外でめいっぱい遊ようになった。

私は当時から、「今のあなたにとって」という観点で、何か遊びを提案することが好きだった。

正解は、そのときどきで変わるから。

話は戻るが、これまでよく頼まれていた幹事という役割。
思い返すと、世間的にレビューの高いお店を選ぶというよりは、
「今のあなたにとって」という観点で、考えていたように思う。

「最近仕事で疲れ気味。できるだけゆっくりと話がしたくて…」

その答えはもしかすると、お酒を介さない場所でも良いかもしれない。

「このまちに引っ越してきたばかりで、おすすめを調べたけど、有名店舗ばっかり出てくるんだよね…」

その言葉の裏側には、こじんまりした個人経営のお店を求めている心の声が、含まれているのかも。

***

目の前の人たちが最近何にハマっているのかによって、選ぶ街が変わる。
目の前の人の仕事によって、集合する時間帯が変わる。

当たり前のことかもしれないけれど、
幹事をする中でも、「あなた」を思いながら、忘年会を組み立てる。

世間一般の流行りじゃなく、
「この人に対してなら、このお店」という視点を持つ。
そんな時間は、どこかプレゼント選びに近いようにも思う。


当日の帰り道。
みんなに余韻を少しでも生み出せるのなら、私は何度でも、幹事を引き受けたい。

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