大切なことを思い出させてくれる。私のお守り本。
人生って旅のよう。
旅を続けていると、
どうしようもなく不安に駆られる日がある。
目の前の現状を受け入れられない日だってある。
そんなときにそっとページをめくりたい本が
『旅をする木』
日本から、北東に向かうこと約5600km。
広大な大地と海に囲まれたアラスカ にて、20年近くにわたり写真家を成し遂げた、星野道夫さんのエッセイだ。
本の構成は、アラスカでの断片的な日常が、いくつかの短編に分かれて綴られている。しかし、短編をつなぎ合わせ、1冊の物語となっているこの本は、星野さんの人生そのものにお邪魔する感覚。
今回は、この本の中でもすきな一節について紹介したい。
南伊豆に来てから10日が経つ。
これまで毎日のように家族と顔を合わせていたわたしは、
この10日間で、普段感じることのなかった家族のありがたみを感じるようになった。
深夜に帰ってきても、玄関の電気が必ずついていたり。
日頃から「いってきます」「いってらっしゃい」の言葉が行き交ったり。
ささいなことかもしれないけれど、私にとって、家族と過ごす日常は、感謝の連続だった。そう気づくことができたのは、当たり前のように顔を合わせていた日常から、少し離れてみたからだ。
ふと立ち止まりたいときに
離れてみてから気づくことが、日常には広がっている。
遠くから見ることで、日頃の立ち位置を再確認できる。
そんな日々の豊かさを、さまざまな視点で紡いでくれているのが
星野道夫さんの『旅をする木』
旅をしていると、
どうしようもなく不安に駆られる日がある。
目の前の現状を受け入れられない日だってある。
今回紹介したのはほんの一節だけれど、
この本は、どのページをめくっても、どの一節を読んでも
ときに静かに、時に力強く、あなたの日常に寄り添ってくれると思う。
人生の旅の途中。ふと立ち止まりたいときに是非手に取って味わってほしい。星野さんの紡ぎ出す言葉は、自然が奏でる風の音のようだ。
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