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「どちらでも問題ありません」という返答に感じる違和感
昔、こんな後輩がいた。社会人3年目くらいの後輩で少し尖った性格で、仕事はそつなくこなすが、自分の意思をあまり表に出さないタイプだ。
意思がないのではなく、あえて表現しない。そんな後輩の特徴的な返答が 「どちらでも問題ございません」 だった。
例えば、上司がA案かB案、または別のアイデアがあれば教えてほしいと尋ねると、後輩は決まって「私はどちらでも問題ございません」と答える。
最初は単なる謙虚さや遠慮の表れかと思っていたが、業務を進めていくうちに、 「A案には明らかな問題があると分かっているのに、それを避けようとしない」 というケースが増えてきた。
つまり、 「問題はあるけれど、自分の意見としては言わない」 という姿勢が透けて見えるようになったのだ。
なぜこうした態度が生まれるのか?また、それが業務にどのような影響を及ぼすのか?自省も込めて整理してみたい。
なぜ「どちらでも問題ございません」と答えるのか?
後輩がこのような返答をする背景には、いくつかの要因が考えられる。
1. 衝突を避けるため
後輩は、自分の意見を主張しないことで、 周囲との摩擦を避けようとしている のかもしれない。
組織の中で無用な対立を生まないための処世術として、あえて意思を表明しないスタンスを取っている可能性がある。
2. 自分の判断に自信がないため
特に経験が浅いうちは、 「自分より詳しい人が判断すればいい」 という考えを持ちやすい。その結果、「どちらでも問題ない」と返すことで、判断の責任を上司や周囲に委ねてしまう。
3. 失敗を避けるため
後輩が「問題がある」と分かっていながらも、それを指摘しないのは、 自分の発言が責任につながることを恐れている からかもしれない。
「A案には問題があります」と言った結果、対策を求められたり、自分がその解決を任されたりすることを避けたいのではないか。
こうした思考が積み重なると、 「問題を見つけても、自分からは指摘しない」 という習慣が染みついてしまう。それが、結果として業務の質の低下や、チームの意思決定の遅れにつながる可能性がある。
「どちらでも問題ございません」が引き起こす問題
後輩が常にこのスタンスを貫くことで、どのような問題が生じるのか?
1. 業務効率の低下
意思決定の場面で、「どちらでも問題ありません」と言われると、周囲は後輩の考えを把握することができない。結果として、余計な確認作業が増えたり、本来回避できたはずのミスを見逃してしまったりする。
2. 責任の所在が曖昧になる
後輩が自分の考えを持たず、常に周囲に判断を委ねていると、 「何か問題が起きたときに誰が責任を負うのか?」 という課題が生じる。
後輩が担当している業務について、上司が詳細を把握していない場合、責任の所在が不明瞭になり、トラブルが拡大するリスクがある。
3. 成長の停滞
後輩が「判断を避ける」スタンスを続けることで、 自分で考え、決断する機会を失う。結果として、業務の習熟が遅れ、長期的なキャリア成長にも影響を与える。
1年間働いて一定水準の業務をこなせていなければ、 周囲からの評価を取り返すのは容易ではない。後輩自身のキャリアにとっても、この態度が不利に働く可能性がある。
どうすれば解決できるのか?
後輩に対して「もっと自分の意見を言え」と指摘するだけでは、根本的な解決にはならない。では、どうすればこの態度を変えられるのか?
1. 意思決定の機会を与える
後輩が自分で考え、意見を持つ習慣をつけるには、 「上司が判断しない」と明示する ことが効果的かもしれない。例えば、業務の分担を決める際に、「今回は君の判断に任せる」と宣言することで、本人に決断を促す。
2. 業務報告時に今後の進め方を質問する
後輩が自ら考える習慣を身につけるためには、業務報告時に今後の進め方を質問するのは有効かもしれない。
• 「この業務、今どんな状況?」
• 「これはAとBどちらがいいと思う?担当者の立場として教えて?」
• 「この方法以外に他の方法はありそう?」
このように、上司が適切に問いかけることで、後輩が思考を言語化する機会を増やすことができる。
3. 仕事に対する価値観をアップデートする
後輩の「上司が決めるもの、部下は指示に従うもの」という価値観を変える必要がある。今の時代、単に上司の指示を待つだけでは、成長が見込めず、結果としてキャリアの停滞を招く。
VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代においては、 「それぞれが知識・経験を出し合い、よりよい成果を出す」 というチームワークが求められる。後輩にもその意識を持ってもらうことが大切だ。
終わりに:AI時代の働き方を考える
これまで特に気に留めていなかった「どちらでも問題ございません」という返答が、不安やストレスの要因になっていた。
それは単に後輩の態度の問題ではなく、 「仕事のあり方そのものが変わりつつある」 ことを感じるからかもしれない。
新入社員・若手社員、後輩を持ち始めた社会人の方には、ぜひ読んでいただきたい記事です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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