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競技性の高い大会とは?

この記事はタイパーAdvent Calendar 2024 タイピング部門の6日目の記事です!
昨日は……何も更新されていませんね。
明日は優等生さんの「変態運指について!」が公開されます!

こんにちは!大会運営大好き系タイパーの3の倍数です!
この記事では、私がタイピングコミュニティとスマブラコミュニティで培った経験を元に、「競技性の高い大会とはなにか?」について書いていきます!
よろしくお願いします!
高い大会」ってダジャレみたいですよね。


そもそも競技性って何?

この記事での定義

この記事では競技性を「運要素の少なさ」と定義します。競技性が高い=運要素が少ない、となるわけですね!運要素が少ないと選手の実力が発揮されやすくなります!素晴らしい!
ついでに、競技及び大会を「選手の実力を測るもの」と定義します。これも大事。

運要素は悪なの?

しかし実際大会を見てみると、運要素が多く絡んでいるものを目にすることがあります。実際そういう大会は多いです。「Realforce Typing Cham­pion­ship」では対戦相手をくじ引きで決めたりしたそうです。はたして本当に運要素は悪なのでしょうか?

僕の意見としては、競技において運要素は悪だと思っています。強い言葉かもしれませんが、そのくらい排除すべきものだと思っています。
よく「運も実力の内」という言葉を聞きますが、そんなわけがありません。運は運で、実力は実力です。運と実力が別のものということは、当然実力を測るときは運が邪魔になるわけです。

あくまで”競技において”ですので、それ以外の要素では良いものであることもあります。先日開催されたTypingTube大会「ゆあ杯」では選曲や対戦相手決めにくじ引きが使われていましたが、それがスパイスとなりとても楽しい大会になっていました。

完璧に排除するのは不可能

運要素というのは非常に厄介で、大会の至る所に存在しています。WeatherTyping大会だと、対戦相手は誰か、誰がホストになるか、配信に映るのはどの試合か、更にはワード運までも含まれます。ワード運は制御のしようがありません。かなvsローマで片方に有利なワードが出まくることを防ぐのは不可能です。
そのため大会運営側には、できる範囲で運要素を減らすことが求められます。

試行回数を増やせ!

運要素を減らすための方法として、試行回数を増やす、というものがあります。例えば7割が運と言われている麻雀では、長期的なリーグ戦を行うことで実力が反映される仕組みになっています。
他にも多くのスポーツでは3本先取や4本先取が採用されていたりと、試合数を増やすことが正確な実力を測るために必要であることがわかります。
しかし、これにもデメリットが存在しており、試合数が増えれば増えるほど時間が長引きますし、選手の体力面にも影響が出てしまいます。そこの塩梅を見極めるのが大切です。

運営ができること

ここからは具体的に、大会の運営側が工夫できることを書いていきます。

大会形式の変更

世の中には有名なものからあまり知られていないものまで、様々な大会形式が存在します。そしてこれは競技性を左右するとても重要な要素です。
それぞれの形式にどのような特徴があるのか、ざっくりと紹介していきます。
あくまで運営視点の内容となりますので、基本的なルール等はこちらの記事を見ていただくのが良いかと思います。

1.シングルエリミネーショントーナメント

https://x.com/TOPRE_REALFORCE/status/1765255995272659182/photo/1

おそらくこれが一番良く見かける形式かと思われます。タイピング関係だとRTC2023,2024で使用されていました。
勝てば次の試合に進み、負けたら終了。仕組みもシンプルです。
ですが、個人的にはあまり好ましく思っていません。

メリット
・時間がかからない
・仕組みがわかりやすい
・決勝戦があるので盛り上がる
デメリット
・一回負けたら終わりと、運要素がとても大きい

このように運営の負担は少ないのですが、運要素がとても多くなってしまうので、競技性の観点からみると微妙なものとなっております……
とはいえ、見ていて一番盛り上がる形式ではあるので、エンジョイ大会などで使うのは良いと思います。

2.ダブルエリミネーショントーナメント

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000192.000059480.html

こちらはeスポーツの大会でよく見かける形式ですね。RTC2017~2019やタイパー甲子園 THE FINALで使用されていました。
簡単に説明すると、2回負けたら脱落するトーナメントですね。
仕組みが複雑なので詳しい説明は省略させていただきます。

メリット
・時間があまりかからない
・決勝戦が存在するので盛り上がる
デメリット
・仕組みが少し複雑
・シングルほどではないが運要素が多い

時間をかける代わりに競技性が高くなったシングルエリミネーションといったところでしょうか。
少ない時間で多数の選手を処理でき、競技性も高いので参加者が多い場合はかなり有用な選択肢となります。

3.総当たり

https://xn--zckh1ahq1d.com/benri/league-match

こちらもよく見かける形式かと思われます。良くも悪くも脳筋な総当たり。
すべての選手が自分以外の選手全員と戦います。タイピング関連だとあまり見かけませんが、サッカーW杯の予選などで使われています。

メリット
運要素がない
仕組みがシンプル
デメリット
時間が長い
大会進行を柔軟に行う必要がある

全員と戦う以上、当たり運という概念が存在しないので、競技性は非常に高いです。ほとんどの場合、全員が納得できる順位がでるのではないでしょうか。
その一方、とてつもない時間が必要とされるので、大人数の大会で使うのは難しいです。仮に時間があったとしても選手の体力がもちません。
少人数の大会や予選などに使うのが良いでしょう。

4.スイスドロー

https://esports-world.jp/column/12996

タイパーの皆様には馴染みがあるであろうスイスドロー形式。Warriors of Typingタイパー甲子園で使われています。イメージとしては試合数上限がある総当たりといったところでしょうか。最初はランダムで決まった相手と試合をして、その次は勝った者、負けた者同士で、その次は2勝、2敗、1勝1敗同士……といった感じに進んでいきます。

メリット
・時間が短い
・参加者がどれだけ増えても時間が変わらない
デメリット
・参加者が増えるほど運要素も増える
・大会管理ソフトがないと運営が難しい

やはり時間管理がしやすいのは利点の1つ。WeatherTyping大会で使われているのもこの側面が大きいと思います。参加者としても負けても終わらない大会は魅力的でしょう。
とはいえ、当たり運に大きく左右されてしまうところもあり、強い人と戦い連敗して終わってしまうことも。大会管理ソフトを使わないと対戦相手を決定しづらいのも相まって、運営が難しいイメージもあります
予選ラウンドに使われることもあり、先に3勝した人から予選を抜け本戦に進出する、といった使い方をされることもあります。


今挙げた4つがメジャーかつ使いやすい大会形式だと個人的には思っています。
他にも大会形式は存在するので、気になった方は調べてみてください。

シードの作成

もう1つ、大会運営ができることとして、シードの作成があります。
おそらくシードと聞いて皆様が思い浮かべるのはこのようなものでしょう。

https://terus.jp/knockoutdraw/v2/manual.html

これもシードなのですが、僕が話したいのはこっち。

あらかじめ選手の実力などを元とした順序を決め、それを元にトーナメントを作成する方法です。
そして実力者同士を離した場所に置くことで、初戦に強い人同士が潰し合うことを防ぐことができます。

この説明を読んで「強いかどうかは試合をやらないとわからない」「それは最初に強い人と当たる人が可哀想。不公平なのではないか」と考えた方もいるかと思います。
それも一理あります。僕も最初はそう思いました。
がしかし、例えばこのようなランダムで決められたトーナメントがあったとします。

https://tournamentnote.com/

世界大会優勝者は決勝戦で順当に勝ち、中堅は2位で終わりました。そして五輪金メダリストは初戦で世界大会優勝者とあたってしまったため運悪くベスト4で終わってしまいました。
さて、これを見て「中堅は五輪金メダリストより優れた選手だ」と思いますか?僕はそうは思えません。金メダリストはこの中で2番目の実力者であるとしか考えられません。それなのに、運が悪かったためベスト4に落ちてしまった。
一方でこちらのトーナメントはどうでしょう。

こちらは事前にシードが作成されたトーナメントです。世界大会優勝者と五輪金メダリストが離れた場所に置かれています。世界大会優勝者は初出場の選手に、五輪金メダリストは中堅に勝ちました。
最終的に世界大会優勝者が1位、五輪金メダリストは2位、残りの二人はベスト4です。

順当ですね。納得が行く順位になっていると思います。これがシードが実力を測るうえで必要になる理由です。シードを組むことで理不尽な潰し合いを避け、順当な順位を生み出すことができます。
シードが低い選手は不利になってしまいますが、当然それは実績や結果が足りていないためです。本当に実力があるのであれば実績は後から付いてきます。不利なだけなので、格上をその場で倒しちゃうのもありです。難しいですけど。

今回は実績を元としたシードの話をしましたが、スコアがあるゲームの大会であれば、そのスコアを元として作成することも可能です。
実際のスポーツの大会などでは、大会ごとにポイントを定め、選手稼いだポイントを元にシードを組んだりしています。そちらのほうが納得感があってよかったり。

あとがき

以上が僕の競技性が高い大会についての考えです。
最初にも書きましたが、あくまで”競技”において大切となるものです。
見世物としてや、選手が楽しめるイベントとしての大会となると、また変わってきます。自分が作りたい大会像を考え、それをもととしてルールを組み立てると良いものができると思います。

最初はコミカルに書こうと思っていたのですが、書いているうちに熱くなってしまい、結果としてスーパー真面目なものができ上がってしまいました。少し退屈な物になってしまったかもしれません。ですが、間違いなく大会運営をするうえで役に立つ記事を書けたと思っています。

フリー部門で書くべきだったか?とも思いましたが、タイピングワールドで実際に大会運営に参加して、大会とはなにかという疑問に直面し、自分なりの答えを出したものがこの記事に詰まっています。
なので、タイピング部門で出させていただきました。

今大会を開いている人、これから大会を開きたいと思っている人がこの記事を読んで、少しでも"競技性"について考えてくれたら嬉しいです。
ご拝読いただきありがとうございました!


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