#44 天文雑貨店店主Francesco(フランチェスコ)
Jose(ホセ)から聞いた天文雑貨の店は
カフェのすぐ近くにあった。
ショーウィンドウには
様々なサイズの望遠鏡や複雑な天文図など
一般の人は使わないであろう代物が
たくさん陳列されていた。
中に入ってみると
色もサイズも様々な丸いものが
たくさん目に入ってきた。
足元にも背の高さ以上の棚にも
空中にも浮かんでいた。
近くに浮かんでいるものをよく見ると
それらは惑星か何かのようだった。
天井付近までたくさんの惑星が…
と見上げると
そこには宇宙の暗闇が広がっていた。
暗くなってきている外よりも
深い闇だった。
その天井に驚きつつ、
Oliviaの言っていた店主の
Francesco(フランチェスコ)を探した。
「こんにちは~。」
「こんにちは。」
店の奥から声が聞こえてきた。
奥を覗くと背の高い細身の男性が
いくつかの天文図を眺めていた。
ほとんど白髪で、小さな丸い眼鏡をかけた
その男性は天文図から目を離さなかった。
話しかけてしまうと
何か邪魔するように思い、
私は店内に戻ろうとした。
「大丈夫だよ、何かお探しかな?」
振り返るとFrancescoはこちらを見ていた。
「あっ、いえ、友人に聞いて来てみたんです。
占いとかもされてるとか?」
「占星術さ。星を読むんだ。」
「星を読む?」
「そう、星の特性や動き、
その星を取り巻く環境から
様々なことを読み解くのさ。」
Francescoは、今度は
天井をぼんやりと見上げながら言った。
「それって…
もしかして未来が見えるってこと?」
「ある意味そうだね。
しかし、読み間違えたり勘違いしたり、
予期せぬことも起こるし、軌道は変わる。
それぞれが複雑に絡み合っているから
小さなことでも違う解釈で進めてしまうと
のちに大きな間違いとなるんだ。」
「難しいんですね…
読み間違い以外に
未来が変わることもありますか?」
「変わるというか、読めないこともある。
宇宙は広大だから、計り知れないほど。
すべてを見ることはできないのさ。
ただ、どんな予期せぬ出来事も
何もないところからは生まれない。
存在しているのだよ、見えないだけで。」
「見えないだけで、存在している…
私の世界から見たこの世界みたい。」
「やはり君が、異世界からの訪問者だね。
ということはお友達はOliviaか。」
突然言い当てられて驚いた。
「え?あぁ、えぇ。そうです。
もしかして、それも読んでいらっしゃった?」
「あぁ、Oliviaの星が
異世界の人間の星と密接になり
その星がここへ来ることは知っていた。
ただ、その星の姿を見ることはできないから
君だとは確信がなかったが。」
「なんかすごい…
私、預言者さんに危険な目に遭うって
言われたんですけど…
それっていつくらい、どんな目に遭うかとか
わかります?」
「ちょっと見てみよう。」
そう言って彼は天井を見上げた。
同時に先程まで止まって見えた星たちが
一斉に動き出した。
Francescoはぶつぶつと言いながら
時折星たちを止め、角度を変え、
メモを取った。
「3週間後、ArexとOliviaと…
鉱石商のPierreと洞窟に行くね。
そこで君は…閉じ込められるのさ、洞窟に。
だが助かるよ。
そして何か良いことがあるようだ。
…Pierreも関係しているということは
きっと君は貴重な鉱石か何かを見つける。」
「閉じ込められる…
でも、助かって何か見つける?
とりあえず、無事で終われるなら
安心ってことですね。」
「しかし、読み間違えたり勘違いしたり、
予期せぬことも起こるし、軌道は変わる。」
Francescoはそう言って
また天井に広がる宇宙を眺めていた。
これが天文雑貨店店主Francesco(フランチェスコ)に
出会った時のおはなし。
続きはまた次回に。
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