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#私のハンドメイドストーリー
#90 ドレスコーディネーター Luisa(ルイーザ)
「ねぇ、そのマダム…なんとかさんのお店では
どんな準備するの?」
「全部だよ。ドレスも靴もバッグも
メイクもヘアセットも全部。
女の子のドレスコーディネイトで
彼女に勝る人は、僕の知る限りはいないよ。」
「そんなにすごい人なんだ…。
でも、ドレスとかって結構高いよね?
私、そんな持って来てないんだけど。」
「そのことなら心配しないで。
僕が無理に誘ったんだ。僕に任せて。」
Gerardがサ
#89 OliviaとCedric
先程よりも
少し音が大人しくなったシンクの食器たちを
うまく操りながら、Oliviaはため息をついた。
「Olivia、何か、やりたいこととかできたの?
ココを離れるの?」
「実はね…
まだ決まったわけじゃないんだけど、
この前、Cedric(セドリック)が言ってたんだけど…
彼、海底研究所に異動になるかもしれないの。
深海よりももっと深い、海の底よ。
あそこは気軽に行き来ができないから、
#83 フクロウ便専用の扉
「あぁ、おかえり。
氷の王国は楽しかったかい?」
Gregoryがテーブルの食器を片付けながら
私達に声をかけた。
「うん!ただいま!
私、食器洗うね。M.ちゃんはそこに座って。」
Oliviaはカウンターの中に入り
シンクの目の前にある席を指して言った。
シンクでは
洗剤の付いたスポンジとグラスやお皿が
そこに見えない誰かがいるかのように
宙で洗われていた。
スポンジで擦られた泡だらけ
#82 Oliviaの同級生Gerard(ジェラルド)
しばらく王冠を眺めた後、
私達は大広間から広間に出た。
屋外の風はとても冷たく、
徐々に体が冷えていくのがわかった。
「随分寒くなってきたわね…
そろそろ帰りましょうか。」
Oliviaのかけてくれた
空気の膜を作る魔法だけでは
耐えられない寒さになりつつあった。
私達は、また氷の王国の祝祭の街を眺めながら
早足で扉へ向かい、Oliviaの街に戻った。
すっかり暗くなった街で
カフェに向
#75 精霊の宿る石
鍵を手に取った私は
前回深海都市への扉の鍵を買ったときのことを
思い出した。
深海へ行く準備を全くしていない状態で
何も考えずに扉へ向かおうとしていた。
鍵屋に声をかけられ、
薬のことを教えられなかったら
扉をくぐった瞬間、どうなっていただろう。
「あの…精霊の宿る樹の辺りは
何か行く前に準備するものとかありますか?」
「あぁ、前回は
深海にそのまま行くとこでしたもんね。
でも、大丈夫。
#74 精霊の宿る樹への扉の鍵
落ち込んだ気分で自分の部屋に帰ってから
2ヶ月ほどが経った。
Oliviaからはフクロウが届いたりなどの
音沙汰も何もなかった。
きっと、気軽に連絡を取ることも
禁止されたのだろうと思っていた。
この2ヶ月、あまり積極的に
あちらの世界へ行きたい気持ちにならず
自分の生活に忙しく過ごすようにしていた。
しかし、あちらの世界には
ずっと気になっている場所があった。
それは「妖精の森」。
2
#68 海中守護の薬 60min.
「あ、ちょっと待って!
お嬢さん、もしかして、一人で行くのかい?」
鍵屋の店員に、そう呼び止められた。
「あ、はい。」
「お嬢さん、ここの人間じゃないよね?」
「はい、そうですが…」
「どうやって深海で息するのか、
準備はしてますか?」
そこに関しては何も考えてなかった。
以前、凍てつく寒さの氷の王国へ行った時は
Oliviaの母のAlexが何か呪文をかけてくれた。
「あ…何も準備し
#67 深海都市への扉の鍵
Oliviaは父のGregoryの声を背に
逃げるようにスタスタと歩き出した。
「まずは花屋さんに寄るわね!」
そう言って広場のカフェの向かい側にある
50mほど先の花屋を指差した。
「もう買うものを決まってるからすぐ済むわ。」
「Olivia、あなたのお父さん、
ただの私の案内じゃないって
気付いてたみたいだけど?」
「でしょうね…。
だから、1時間以内には必ず戻るわ。」
「うん、ど
#64 手紙を持ったフクロウ
Francescoから不穏な予言を聞いて
自分の世界に戻ってから数週間経った。
予言のことは頭の片隅に置きながらも
私は普段通り過ごしていた。
唯一普段と違うことと言えば、
Oliviaからのフクロウ便が楽しみだったので
毎晩窓の外を眺めたり
外の音(嘴や羽根で窓を叩いて合図するのか?)を
気にして過ごしていたことくらいだった。
ある日、私は朝から買い物に出ていた。
すっかり春の日差しが出始
#63 Francescoの予言
「あ、そうそう。Joseから
私の世界についてのことが何とかって
聞いて来たんですけど…」
「あぁ、君の世界のことだが…
少し困ったことになるだろうね。
読み間違いや別の流れを期待していたのだが。」
「…ん?何のことですか?」
「君の世界はまもなく大きな混乱に見舞われるだろう。」
「大きな混乱?どんなことですか?
地震とか?今までにないような異常気象とか?」
「そんな極地的なものじゃない
#61 光る鉱石の星と宇宙飛行者のコルク瓶
Francescoの店に着くと
まだ店内には灯りが点いていた。
「こんにちは~」
私はそろりと店に入りながら声をかけた。
店にはFrancescoの姿はなかったが
店の奥には人の気配があった。
きっとまた星を読むのに集中しているのだろうと
私は店内を見て回ることにした。
店内をぐるりと回り
以前見た、月の降る夜の灯りが置いてある棚に来た。
以前はたくさんの小さな月が
様々な色の光を放って