ぺぺぺの会が私に与えてくれたもの
池袋のシアターグリーンBASE THEATERで上演させていただいた、ぺぺぺの会『夢の旧作』全8ステージを完走することができた。まずはご来場くださった皆様に心から感謝致します。
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決して全ての時間が充実していた訳ではないけど、それでもこの作品や座組が自分に与えてくれた影響力というものは凄まじかったのだと実感する。
一番大きかったのは“演劇って楽しいものなんだな“ということを思えたこと。高校から演劇をやってきて、当時は同期にもあまり恵まれずひとりで殻に閉じこもり黙々と「普段の生活が生きづらいなら、舞台上で自分らしく生きるしか道はない…」と義務感や使命感のようなものに突き動かされて続けてきた。大学でも所属したいと思えるような演劇サークルはなく、ひたすらオーディションやワークショップの情報を調べては応募する日々だった。
でもぺぺぺの会さんのワークショップオーディションに参加させていただいた時、メンバーの方々にすごく評価していただいて、この人たちと一緒に頑張れたらいいな、自分を成長させられたらいいなと思った。何か満たされる思いがあった。
ちなみに私が生きづらいと感じている考え方に関しては、乃木坂46の齋藤飛鳥さんに類似しているものがあると思っている。私にとって彼女は大好きなアイドルグループのメンバーであると同時に人生の指標としても存在している。
私と彼女に共通するものは、人との関わり方と自信のなさである。象徴的なエピソードとして、ある雑誌のインタビューにて、
「私にとっては普通の会話がよくわからないんですよ。目的のある会話だと理解できるんですけど、そういう会話はどうやったら成立するんだろう。なんで私にはできないんだろう。」(BRODY.2018.4月号)
と答えている。全てのことに理由や意義や価値を求めてしまうのだという。私も大学で哲学を専攻している職業病(?)で「この会話のポイントはなんだろう。何か意義のあることを伝えられないと、その時間相手に無駄な時間を過ごさせてしまう…。」と哲学の精神を日常に無意識に落とし込んでしまう傾向がある。だからこそ、稽古の帰りや休憩時間に誰かと話す時はめちゃめちゃ緊張するし、適切な言葉や話題を選択したいと思って、たどたどしくもなる。
でもぺぺぺの会ではそんな自分でも存在できるような土壌の広さがあった。テンシュンという愛称を付けてくれて、私の拙い言葉をゆっくり受け止めて、その上で返してくれる寛大さがあってとても有難かった。時に笑ってくれることもあって嬉しかった。演出の大和さんや同じシーンを共に作ったれいなさんと沢山話し合いが出来たのは、きっとぺぺぺの会全体の姿勢に表れているのだと思う。
また今回は、他大学の劇団に所属している人がほとんどで元々のポテンシャルが高い人ばかりだったため、どうしても劣っている自分を意識してしまい劣等感に陥ることもあった。齋藤飛鳥もアイドルとしてモデルや女優のオファーがかかる時「本業としてやっている人には絶対に叶わない状態で提供しなければならないから…」と自信の無さを吐露していた。
だが彼女が、出演したアナザースカイで訪れたイギリスの「THE ARAKI」という寿司店の店主、荒木水都弘さんはこんなことを仰っていた。
「自分に自信持ちなさいなんてことは、とてもじゃないけど言えない。俺だって自信ないんだから。でも自信っていうのは積み重ねの中で振り返ってみたときにきっと自分の強い想いだったり、あの時の願いが、いわゆる自信というものになっているのかなということが振り返ってみればあるから。自信ない自分でいいんだよ。」(アナザースカイ.2018.3.8放送回)
私は今回、荒木さんのこの言葉に救われた面がとても大きい。稽古で自分のシーンが良いと言われても、まだ落ち度があるんじゃないか、演出の大和さんが言わないでおいた方がいいと思っていることがあるんじゃないか、と疑心暗鬼になってしまうことがよくあった。でもそんな時、シーンを作ってきた過程を思い出すようにした。話し合いも重ね、共有をし、台本の読み込みも、これでもかというほど解釈や演技プランを考えて行った。そして何度もそのシーンを繰り返し練習した時の積み重ねと想いは確実に本物で、疑う余地のないものだから信頼していいと思って、自信(のようなもの)に繋がっていった。
あと“楽しい“と感じられた要因として、ぺぺぺの会が積極的に色んなイベントを開催してくれたことがあると思う。稽古後に呑みに行ったり、合宿をしたり、初めてちゃんこを食べたり、銭湯に行ったり、打ち上げでみんなでテレビゲームをして遊んだり、ひとりでいるのでは絶対に味わえない青春感を感じることができた。大学の友達とも家がお互い遠い関係でほぼ遊んだことがなかったので、何よりかけがいのない思い出になった。
きっと周りから見たら付き合いづらいであろう自分でもぺぺぺの輪の中に自然と入ることが出来ていた。だからこそ、『夢の旧作』を通して座組やぺぺぺの会のメンバーの方々のことを大好きになれた。その「好き」を表現するのは、いかんせん照れてしまうのだが…みなさんに対して抱いた想いもきっと本物であると信じている。
ぺぺぺの会との日々は、それまで何者でもなかった自分が初めて人間になれたような、そんな日々だったと感じる。愛が溢れていたからこそ、終演した今は虚無感や寂しさが凄まじいし、できれば次のぺぺぺの会の本公演にも出演させていただきたい、もっと力になりたいと思っている。
また共演者の方だけでなく、スタッフさんや制作さん、当日制作で入っていただいた方々、合同で上演させていただいた「テアトロ*ネネム」さん。沢山の方のご協力と支えがあり、最後まで頑張ることが出来た。本当に本当にありがとうございました。
そして、ここまで堅苦しい文章に長々とお付き合いいただいたあなたにも感謝し、この場を締めさせていただきたいと思います。(最後だけ敬体になってしまってごめんなさい。)
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