日本で1番危険な低山!「妙義山」登山テクニック総ざらい
はじめに
今回は東京や埼玉など関東圏からもアクセスが良く、鎖場が多く、人気のある山域として妙義山を例にとって解説をしていきます。
かつて危険な山といえば新潟県の谷川岳とされていましたが、ここ最近は妙義山の方が有名で、日本で1番危険な低山とも呼ばれています。一方で槍ヶ岳やアルプスに見られるような急峻な山々はそのような評価がつくことはありません。アルプスなどは低山では無いので妙義山とは分類は別です。しかし同じ山なのに事故が目立って多い妙義山。この差はどういったものなのでしょうか。
その原因の一つに交通機関でのアクセスがあります。谷川岳も妙義山も、コースタイムは5時間程度。車から降りてすぐに登山が始まり、絶景を堪能しながら日帰り登山が出来ます。一方で北アルプスや特に南アルプスはアクセスが悪い上に、山頂まで1日で行けないことも多く、客観的に見ても苦労の多い登山になることがわかります。
登山初心者の心理として、7時間8時間歩かなくても日帰りでスリリングな登山が楽しめる魅力に引き寄せられるのはよく分かります。これは私の想像ですが、妙義山に至っては公的に発行されているハイキングマップもこのような誘因を引き起こす原因の一つとなっているように感じます。可愛げのあるイラストと、それほど時間がかからずに山頂まで行ける案内は、登山者でなくとも「ちょっと行ってみようか」という気にさせるような雰囲気があります。
全ての山には危険があります。ヨーロッパやアメリカのように、それをよりドライな情報として表記することによって危険を今よりも更に抑えることができると私は考えます。
登山やクライミングの難易度に関する記事はこちら↓
妙義山は鎖場がとても多い山です。
登山を何度かやっていれば他の山で鎖に触れることも多いでしょう。しかし妙義山の鎖場は多いだけではなく、急峻な上に長く、それが何度も続きます。そして岩は礫岩と呼ばれる比較的脆い岩で構成された山なので、落石も頻繁に発生します。
読者の皆さんにここではっきりと理解してほしいことは、アクセスの良さやコースタイムの短さは危険性とは全く関係ないという事実です。ここを見誤ることは、武器を持たずに戦場に出かけるようなものです。もちろんメタファーとしての表現ですが、山でのミスは、特に妙義山では死につながる確率が高いことを考えれば、初心者の方は戦場に出かけるぐらいの気持ちとそのための準備をしてほしいと心から願います。
鎖場とは
主に岩陵などを登るための補助として設置された鎖がある場所を指します。ロープなどが設置されていることもありますが、ロープのような繊維質のものよりも長持ちし、また伸びることがないので、鎖とロープでは圧倒的に鎖の方が多く見られます。一言に鎖場と言ってもあまり急ではない岩陵から、ほとんどフリークライミングのような急な岩場まで、設置されている箇所は様々です。
鎖場での基本的な登り方や荷物の背負い方などはこちらの記事で紹介しています↓
この先は、私が国内外を含め様々なタイプの山岳活動の中で得た経験から辿り着いた「より安全に鎖場を通過する手段」を解説していきます。
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