沢山の女性を知りたい彼の夜
こんばんは。今日もお疲れさまでした。
渋谷での溜まり場になっていた男性の家には、いつも誰かがいました。その日は、前の夜に、渋谷で飲んでいたら、いつの間にか大人数になってしまい、終電を逃して帰れないメンバーが、その渋谷に住んでいる男性の家で雑魚寝をすることになったのです。
そして、朝、私がドロドロの顔で目を覚ましたら、背が高く、おオシャレな雰囲気で、顔の整った男性が同じ家の中にいたので私は驚きました。
彼は、雑魚寝していた渋谷の家の主の男性を兄のように慕っているのだと話していました。家の主から命令されるままに、みんなのランチの準備を始めていました。家の主は、料理好きでした。
家の主と、端正な顔の彼と、私とでキャベツをむしりながら、端正な顔の彼は、家の主に恋の報告を始めました。端正な顔の彼は、童貞を捧げた彼女と長く付き合っていましたが、終わりを告げたという話でした。
終わりの理由は、彼女以外の女性を知りたいからという単純なものでした。彼は、彼女と付き合いながら、誰か他の女性と関係を持ったりすることはできず、それでも彼女だけしか知らずに結婚するのが嫌で別れるというのです。
その時の私には、信じがたい話でした。ずっと好きでいられそうな女性を見つけたのに、好奇心だけでその女性と別れるとは彼女も納得しないだろうと考えたのです。
それでも、彼女は受け入れたと言います。更に、彼は1ヶ月後、留学することが決まっていました。何年になるかわからないその留学を彼女に待たせる事もできないと彼は言いました。
「最後に兄貴に報告に来たんだ」
彼はそれを清々しい顔で言いました。付き合いの浅い私を尻目に、彼と家の主は肩を組んで、その信頼関係を私に見せつけました。背が低く、折れそうなほど細い私と同じ歳の家の主は、兄貴らしく弟との友情を確かめていたようでした。
そんなことをしながらも、たこ焼き器には、たこ焼きが続々と出来上がっていきました。できたものをお皿にまとめて入れ、ソースをかけて、家の中でだらだらしたメンバーに私はそれを届けました。
彼はその美しさで、沢山の女性を知ることができたのでしょうか?真面目なのか、不真面目なのかわからない彼は、彼女以外の、はじめて体を重ねた女性をすぐに好きになることはなかったのかな?と想像してしまいます。
彼が欲望だけに忠実に願いを叶えていられますように。おやすみなさい。