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オールド・ブルー ─世界に1羽の母鳥─


本の紹介

オールド・ブルー ─世界に1羽の母鳥─
 メアリ・テイラー 作
 百々 佑利子 訳
 さえら書房出版
 1999年12月発行

A4サイズ以上の大型の絵本です。
内容は自然科学。


あらすじ

ニュージーランド本島から東に1000キロ離れたチャタム諸島に生息するブラックロビン(チャタムヒタキ)という小鳥を、絶滅の危機から救おうとする人々と、その悲願のために大きな貢献をしてくれた1羽の母鳥の記録。
ノンフィクションで、結構リアルな色調でイラストが描かれています。
オールド・ブルーとは前述した母鳥のの通称で、彼女なくしてはブラックロビンという種の存続はなかったと語られています。

感想

絵本にしては文字数があり、自然科学に関する内容で、ノンフィクションでもあるので好みが分かれそうな内容だというのが一つ。大人向けっぽいな〜って感じです。
自分自身が子供の頃はこういう現実的なストーリーを絵本に求めていなかったため、そう感じるだけなのでしょうけど。
書いてある内容自体は難しくないのですが、環境問題にある程度の関心を示し理解できるのは小学校中学年くらいでは…?と想像します。
でも、イラストは多種多様な生き物が鮮やかに描かれていて大変目を惹きますし、小鳥たちが可愛い…。ふわふわの羽毛がリアルに描かれていて、つぶらな瞳もキュートでした。加えて大型サイズの絵本であるため文字が読めなくても見応えはあります。
ブラックロビン以外にもチャタム諸島に住む生き物が絶滅種を含めて繊細なタッチで描かれていて、細かいところまで鑑賞できます。

一人の人間の熱意、1羽の鳥の貢献によって、絶滅の危機から免れることができたブラックロビン。
シンプルに良い話であるとも感じたのですが、何となく燻りが残ったので以下偏屈な思いをたらたら書き綴ります。

捻くれた表現で言い換えるなら、人間のエゴで鳥たちが救われた話。
だって鳥の方は別に滅びの運命から逃れたくて人類に助けを求めたわけではないと思うから。
だから色々と考えさせられるものがあります。
この鳥は偶々運良く(?)人間に守られたけど、人間の生命活動のために我々の知らないところで絶滅してしまった種がいるだろうという事は想像に容易い。
人類が繁栄しようとしまいと、変化し続ける環境の中では一定数絶滅していくものがある。恐竜なり、マンモスなり。
この世界は弱肉強食でもあるけれど、それよりも適応力とか順応力、柔軟性といった、変化ができることが存続に大きく貢献していると思います。
変えられない、変わらない、適応できない種は時代に取り残されて消えていく。
だから、大切に保護したところで、運命は変えられないのではないかという持論です。寧ろ人間が意図的に手を加えることによって生態系が変化することも考慮する余地があると思いました。

逆に言えば、人間がどれだけ根絶やしにしようと奮闘したところで繁殖力や生命力の強さには敵わないと思い知らさられるところもありますものね…。

ただ、世の中や自然のことを学ぶのにはとても良い本だとも思ったのでいつか子供に読み聞かせたいです。
小学校中学年くらいかなぁ…。



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