ぼく、ムシになっちゃった
タイトルの画像はAIに描いてもらっています。
甲虫を指定したけど、きもいと可愛いの中間にいるな…
しかし、なかなか便利な世の中になりました。
読みたい本の翻訳も、他者とのコミュニケーションもずっと円滑になっていて、やりたい事に注力できることは素晴らしいことだと思います。
本の紹介
タイトル:ぼく、ムシになっちゃった
文 :ローレンス・デイヴィッド
絵 :デルフィーン・デュラーンド
訳 :青山南
発行 :2002年7月25日
ページ数:32ページ
文章が小さくて結構長めなので、小学校中学年くらいからかな。
でも主人公が小学校2年生なので、それくらいの子を対象にしているのかも。
でもどっちかというと子供より大人に読んでもらいたいと感じた一冊。
イラストが細かく描かれていて、背景にも凝ってる印象が読み取れます。
あらすじ
朝起きたらムシになってしまっていた少年の1日を描いたお話。
鏡を見るとしっかり触覚と六本の手足があるのに、周りは誰もそれを認識しないことに不安を覚える子供を見事に描いた作品。
フランツ・カフカの小説「変身」からヒントを得て描かれたようですが、私は読んだことがないです。
でも読んでみたくなった。
感想
自分の見えている世界と、他人が見えているであろう世界との乖離、差異に気付いた子供の不安。
それを「変化した自分と、それに気付かない周囲」という構図をとって如実に表現した素晴らしい作品だと思いました。
なるほど確かに幼年期に苛まれた身に覚えのある感覚でした。
なので、不安を抱えた子供が私だけではなかったんだという安心感を覚えました。
絵本の主人公、グレゴリー・サンプソンは、虫という誰が見ても分かるはずの変身を遂げるのに、周囲の人間は全く気付かない。
タイトルの通りのセリフを家族、友人に必死に伝えるのに全く相手にしてもらえない。
そのことにますます不安は募るばかり。
次第に不安に対する不快感を払拭するために、「おかしいのは自分なんじゃないか?」という思考に切り替わっていくところもリアルでした。
人って、自分がいくら正しい感覚を持ち合わせていると思っていても、周囲の大多数がそれはオカシイって主張されたら自信なくなってしまうところ、ありますよね。子供なら尚更外部の影響を大きく受けるでしょうね。
自分の子供の感覚を大事にしたい、些細な変化に気付ける親でありたいって思わせてくれた本でした。
関係ないですが、おやすみプンプンという漫画を思い出しました。
主人公とその家族だけ可愛いマスコット的キャラクターで描かれているのに、その他の登場人物は普通の人間として描かれているシュールな漫画。
あれも面白かったなぁ。愛子ちゃん、好きだったわ。
それから、この絵本からも似たような題材を感じました。
おそらく子供の不安をテーマにしています。