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#おはよう世界と言う為に
知って比べて息をして。
知らない街へ行く。私のコトを誰も知らない街へ行く。
部屋の奥、クローゼットのその先の、誰も知らないお気に入りの服に手を伸ばす。しばし眺める午前3時。
いつもはしない髪型をして、あれやこれやと鏡の前で悪戦苦闘の試行錯誤。
カラーコンタクトを忘れてた。違う私になるように、願いを込めて当てはめる。初めて買ったグロスを塗って、いつもと違う靴を履き、私を知る人が居ないだろう街へ出かける。
なんでこう
おはよう世界と言う為に。2
趣味――?読書だよ。他に?んー、特にないけど…。
そう聞かれ、そう答えると、バイト先の同期の子は「あ~ー」と小さく唸ると同時に(つまんねぇ奴だな)と察したのか「そおっぽい感じするもんね」と離れていく。そおっぽい趣味ってなんだろうか。本を読まない人が知りたい内容でもないから去ったのだろうが、いささか腹が立つ。
バイトの給料日の次の日が土日なのが重なり、自由に使えるだけの給料をATMで下すと電車で
おはよう世界という為に。
憂鬱だ。なんて憂鬱な朝に僕は居るんだ。
ただでさえ月曜日の朝なんてものは最悪な物をごった煮にした基本が憂鬱の世界だ。できれば消えてなくなりたい僕が、ちゃんと起きて、ちゃんと飯を食い、ちゃんとスーツに着替え、会社に向かうだけで100点満点の偉いと思っている。それなのに、今日は特に憂鬱だ。
「またぁ?」
どんよりと雨の降りそうな薄暗い中、最寄駅の改札前にごった返す人たちを見つけてため息をついた。