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飲食店未来学77:飲食店の食材原価率30%はプロの域、素人開業者は35%を目ざすべき
WEB情報の多くに見受ける「飲食店の食材原価率は30%」が基準、目安という言葉が氾濫しており、にせものコンサルや実務経験のないコンサルの方までが言い切ることに大いに危機感を持っている次第です。
既存飲食店の原価率は35%以上が現実の数字
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確かに中華やイタリアン、フレンチのお店、自家製麺のお店では、年間の食材原価率30%という飲食店は実在します。しかし現実には、「自店の料理の商品価値」と同等のレベルの「売価」でしか売れていません。
多くの飲食店は、原価率36%~39%の中にあると受け止めてください。しかも常に、食材の値上げが先にきて値上げはその後です。後手の値上げを強いられます。上の表の原価率の数字に3%~5%を加えたものが進行中だと言えます。
売れる売価で、次回の値上がり分の半分でも含み利益を持たせた売価で売り抜くには、強い商品力とお客さまとの信頼関係がないと実現しません。既存店でこのレベルに達しているお店も稀です。
新規の開業店が原価率30%を目ざすと潰れる
新規の開業店の特徴はこうです。
●お客様ゼロからのスタート
●飲食店の経営経験ゼロからのスタート
●食材の仕入のコツも仕込みのコツもゼロからのスタート
●お客さまとの信頼関係の構築もゼロからのスタート
ある小さな食事店は、支援者のアドバイスもあり、すべてのメニューの売価を食材原価率30%で機械的に設定。結果は月商50万円どまり。本来は、100万円の月商が欲しいところ。毎月30万円の赤字でした。
個人店の起業時に、WEB情報を丸飲みして「原価率30%」を個別の原価率、月間の店舗原価率と考えると危険です。
未経験者が始める飲食店で、「原価率30%の料理が売れるはずがない力量だ」と知っていることが成功の秘訣です
先のお店はご飯の上に載っているとんかつやチキンが約半分しかのっていませんでした。見栄え不足、ボリューム不足で、すごく割高感があり、リピート客のこないお店となり、お客さまを増やす営業活動でなく、お客さまを食いつぶすことしかしていなかったのです。(他者の失敗はリスク回避の教訓として役立てること)
原価率50%、60%は一般個人店ではありえない比率
ここも間違えて欲しくない原価率の理解をしてください。個人店の経営で、原価率40%以上かけていれば、自ずから薄利多売体質となり、本来の売上高の1.5~2倍売上げないと、同じ利益額は得られません。
原価率が55%、65%でも黒字になる月商は、通常の飲食店の5店舗分、10店舗分を売上げるしかないと考えてください。このタイプの全国チェーン店は、スケールメリットだけで生き延びおり、今後のさらなる食材高騰や人件費高騰、輸送費用の高騰に打ち負かされて、現状のシステムでは成り立たなくなります。
円安による食材高騰で焼肉産業は原価の圧迫にあえいでいる
7月~8月は、焼肉店やトンカツ店の利用が増えていますが、共通したマイナス点が現れてきています。
●同じ焼肉単品の肉質が悪くなっている
(品質が劣る肉に変った、カットの端肉が混じるようになった)
●ごはんが美味しくない
(複数店舗のご飯の美味しいお店でもお米の高騰により品質を落とした)
*これからの新規出店者は「お米の美味しいものを出す」と評判が上がる。
新たに開業する方は、原価率35%~37%で開業して、料理作り、お客様づくり、経営の勉強をしながら、原価率を30%に近づけるように工夫することです。一朝一夕ではできません。
2カ月に1%ずつ下げる工夫をされたらいいかと思います。ゆっくり着実に。
(了)
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