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飲食店未来学111:新ワンオペ飲食店のメリット②~人件費がかからない
この新ワンオペ飲食店とは、新たに増えつつある飲食店の負担をことごとくそぎ落とした形で「経営者と時々パート」で繁盛を続けるラーメン店、魚専門店、ふるさと膳料理店などのお店の謎を解明す10回シリーズです。
ワンオペのお店は、多忙で過酷なしくみの飲食店と言われています。そういう従来型のワンオペ店でなく、ここではワンオペ店の数多くのメリットを発掘して紹介したい。
経営者自らが80%~100%の戦力
ワンオペ店の経営目的は二つ。
●経営者の生活費を稼ぐこと
●どうせやるなら、無理なく、自由に、楽しく稼げて、なおかつお客さまに喜んでいただけること
どこかの飲食店に勤務して、お金のために自己犠牲を払う必要はありません。しかし、開業して経営を持続させるためには、「利用するお客さまにこんなお店があってよかった」と言ってもらえる良さがないといけません。
店舗規模を大きくするための第一歩がワンオペ店であり、大きくしない場合は、わが身の能力の向上を続ける鍛錬の場でもあります。
経営者自身が一番光り輝くお店が新ワンオペ飲食店です。
生活費となる人件費は定額を毎月とる
個人経営の税務は、年初の1月~12月までの1年間の収支報告を確定申告で翌年の3月15日までに行います。
この時に、「毎月の売上から経費を除いた残りが経営者の収入=そのお店の人件費相当額)」となります。私も居酒屋を4年間経験してみて、月収が5万円だったり、20万円だったり、赤字でもらえなかったりするのはまったく馴染めませんでした。
それで、税法の考えとは相反しますが、赤字黒字に関係なく、生活費として「最低限必要な金額」(15万円とか、20万円とか)をお店の人件費予算として毎月確保し、年末の12月までに収支を整えるようにしました。
赤字月や金額満額がもらえない月は経営者への貸し付けでいいのです。個人の事業経営者がやる気を持続させるためには、収入の安定と運転資金の存在が欠かせません。(私の場合運転資金は、昼間のコンサル収入を夜の居酒屋業にずいぶん流用しました)
個人経営の飲食店1店舗の場合に、経営者がもらえる生活費の比率は、「売上高×20%~30%」です。(月商に対する食材原価率の高さやパート勤務者の有無で異なる)
パートは繁忙時間のみ高時給で雇用する
社会保険もない個人経営のお店、開業して間もないお店などは、世間並みの時給で募集しても誰も来てくれません。また良い人に来てもらったというすごい人が見つかっても、ものの半年もたたないうちにやめてしまい、もっと時給の良いお店に転職します。
だったら最初から高額時給を出して、並以上のスキルのパートさんを確保しましょう。2時間勤務で3,000円(時給1,500円)、3時間30分勤務で5,000円(時給1,428円)などで済みます。
多くの場合、勤務時間は1時間単位、30分単位が多く、稀に15分単位もある。
1分間の給与(分給)25円~30円の時代
いまや10分前出勤も、5分前出勤も強制できる時代ではありません。確かなことは、勤務開始前の着替える前に、タイムカードを打刻すれば勤務違反ではありません。
したがって、時給1,200円~2,000円の時代ですが、新たに分給を設定して、分給25円(時給換算1500円)、分給30円(時給換算1800円)などと決めてはいかがでしょうか。
勤務時間はシビアかつ厳密に1分間単位になり、余分な時間がまったくないため、より高額条件で雇用できます。
月商100万円の場合、経営者とパート1名の人件費は30万円、売上比率30%が上限
ワンオペ飲食店の月商予測値は、パート依存率が15%未満とした場合、80万円~130万円くらい。(ローカル立地で中の上クラスまでの場合)
(試算)
●経営者の給与予算額25万円万円(月商予測額の25%)
●パート1名の給与予算額5万円(同5%)
パート雇用予算額5万円÷4.2週=1週あたりの予算額約11,905円
週末2日間勤務で、繁忙時間3時間勤務(ピークタイム2時間+前後30分)の場合、1日1勤務当たり5,952円。時給で1984円、分給換算で33円になる。
飲食店の経営でかかる4大コストは、
食材仕入費用(フードコスト:F)~35%以下が健全経営となる
人件費(レイバーコスト:L)~30%以下で25%以下をめざす
家賃(レントコスト:R)~10%以下が健全指標となる
光熱費(ユーティリティーコスト:U)~8%以下が望ましい
飲食店のコストで2番目に大きい人件費を小さくするためには、個人店ほど、経営者が調理をメインで行うことが生き残る必須条件です。その分だけリスクが軽減され、調理のノウハウも流出することはありません。
飲食店のコストをもっと知りたい方に役立つ本
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2024年の1年間をかけて著作したオードリー7の本です。飲食店の開業のエスコート本であり、これからの飲食店が成功するための仕組みづくりを説明した本でもあります。
●初めて飲食店を開業される方で相談者のいない方
●現在飲食店を経営されていて経営に行き詰まりを感じている方
●飲食店の後継者になる方
こういう方に必ず役に立つ本です。著者の35年間の飲食店コンサル人生の知恵がいっぱいです。780円で手に入る。
「決して本の内容はあなたを裏切りません。」
(了)
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