飲食店未来塾97:高齢でも経営できる10席規模飲食店のすすめ
先日、大分県竹田市の岡城址に紅葉見物に行った。
どんな経営メリットがあるか
●夜営業なし
もう高齢者(後期高齢者)の方だから無理はできない。この日は連休で13時の時点であと1人前しか残っていないとのことでした。
夜営業をしないで済む「ランチ専門の食事店」です。滝廉太郎の廉太郎トンネルを出て右に行くとすぐ右手にあるお店です。(観光案内所に飲食店舗が掲載された無料パンフあり)
●昼間だけの短時間営業
営業時間の建前は、11:00~16:00まで。暇な日でも16:00に閉店するまで開けているが、定食の仕込み数がはけたら閉店するようです。
近所の80代、90代の高齢者の方などが食事がてら来るとのこと。憩いの場ですね。無理のない短時間営業はとても大切なトレンドです。
●テーブル席なしの対面式のカウンター席で人件費不要
図でわかるように、対面式のカウンター席だけですからお膳で提供すればひと手間で済みます。ワンオペ店ですから、定食のお盆もコーヒーセットのお盆も食べたお客さまがカウンターへ上げてくれます。
従業員不要で家賃無しだから売上ノルマなしですね。
●食材廃棄ロスゼロ設定で限りなく原価率が低くできる
定食の仕込み数が決まっているようです。訪問した日は食事の終わった後が2名分、店内に8名いた。都合10名。
定食のおかずは1品30円平均として6品で180円と豆腐が20円でおかず全体は200円の原価。(とみた)サフランカレーは、サフランとごはんとカレールーで100円。コーヒーと手づくりデザート(小さめ)で50円。〆て、総原価は350円。税込みで385円あたりですから、原価率45.3%と判断した。
しかしこのお店は、家賃の10%が不要の感じ。(自宅の一部を店舗化)また人件費の25%が不要。そう考えると、料理に45%かけても、通常の飲食店の70%以上(原価率35%+人件費25%~30%+家賃10%)から見ると、立派な黒字店だ。
●手づくり&ヘルシー料理で高齢者やファミリー客が固定客になる
客席数が少ない場合は、客席回転数を上げることによって売上増ができる。
コツは、
★すぐに出せる料理(5分~7分)
毎日定食の仕込み数を決めて完全事前調理をしている。カレールーは湯煎で管理か。
★短時間で食べ終わる料理(15分~20分)
★外に待ち客がいるとわかる店舗の造り(ガラス戸)(窓)
が必要となる。
客整数が少ないお店は、一つや二つの客層で十分満席にできるから、お客様間のバッティング要素がなく、居心地満足度が高くなる。
お客さまのメリットは何か
●価格が安い
このセットが1000円でもまったく違和感がない。炊飯ジャー1釜分が仕込み数かと思った。定食が万が一残れば、自分の賄い飯に変るだろう。
安いとまた行きたくなるし印象に残る。特に節約時代には。
●すぐに食べられる
完全仕込み済の定食セットだから盛付けて提供するだけ。1人分の盛付け時間は3~4分かも。先にお茶が出るので待つことが苦にならない。
お茶が出る~注文する~定食が出る~サフランカレーが出る~コーヒーと本日のデザートが出る~完了
●対面式だから常に目の前にいて会話できる
テーブル席と違い、ホールスタッフを捜して声を掛けるという必要はない。
常に目の前に店主がいるから、声かけするだけで済む。
どれくらいの売上になるか
●売上高と利益
客単価850円×10名×22日=187,000円。原価率が本当に45%であれば、利益率は55%で102,850円。これから光熱費や諸経費を引けば、ひと月で5万円~7万円のお小遣い程度の収入になる。
多人数の予約が入ればもう少し売上が増える。
ごひいきにしてくれるお客さまがいるので、なかなか閉店できないと言っておられた。美味しかったですの声が励みに感じた。
無理がないから続けられる
ワンオペの高齢者が経営する飲食店はこれがもっとも大切。拡大解釈をすれば、40歳以上のワンオペ店は、「無理しない」ことこそ「長続きできる」になる。
美味しい料理と紅葉に慰められた一日でした。世の中に感謝。
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(了)