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たべものコンサル日記R3:若き経営者は「砂糖」と「塩」で強くなる!

  「砂糖」は若き経営者の父親で、私の古くからの友人です。
「塩」は私です。
ある食品加工会社の若き後継者候補の方が主役のお話です。

■食品加工業で優秀でも、飲食業は・・!?

  私の友人が経営する食品加工の会社は、県内でも有名な少数精鋭高収益
企業です。
社長さんは60代なかば、後継者の息子さんは20代後半の年齢です。

この会社は自社商品を使った和食レストランを共同経営で所有していましたが、今度改めて自社で買い取り、100%子会社として、飲食店を経営することになりました。

1か月前の社長さんからのご提案がありました。

本社(本業の会社)で行ったように、
①形式上、一旦全員を解雇して雇用契約を再度条件提示して結びなおしたい
②指示する仕事が出来なかったら、解雇して新たに適任者を雇用したい

との申し出がありました。

私の考えとしては、

● ①の解雇~再雇用の件は、
新しい経営者の社長と後継者の息子さんが、
   店内のスタッフと「信頼関係」ができている段階ならOK、
   出来ていない段階なら非常にリスキー
   だと判断しています。


なぜなら、
このお店のキッチンのリーダーとホールのリーダーの2人が2人とも
もしくはどちらか1人が「形式上の解雇」で退職意向を示す恐れが
ないとも言えないからです。

●幹部従業員は慣れ親しんだ経営者の交代を嫌うケースが多く、
まして、飲食業を熟知した経営者からほぼ無知な経営者に変わるという
「暗黙の将来的不安」が予測されるからです。

『飲食業は一筋縄ではゆかない業界』なので、
一般会社の手法が50%は通用しないと考えた方が良い

のです。 

●②の適任者の雇用ですが、
 面接という極小時間の中で、有能かどうか、適正かどうかを
 見抜く力量もあるとは思えません。
 キッチン仕事内容も、ホールの仕事内容も知らない経営者が面接で
 頼るのは、「履歴書」と「相手の言葉」だけです。

そんなものは30%位の価値しかないと私は思います。

自分の目で、被面接者の表情や言葉の発し方、服装、清潔感などから
発するもので50%以上は読み取れます。
履歴書の文字の書き方でも性格は読み取れます。


■後継者の息子さんと私の現在の関係

  第1回目のオファーは、このお店のメニュー変更の仕事でした。
私が主導して社長さんにバックアップしていただき、息子さんは関与
しませんでした。

第2回目のオファーは、息子さんが主体でこのお店を経営管理するための
目的になり、さらに進化させたメニュー変更、キッチンの配置変更、
店内の内装のリニューアルなどを含む少し大掛かりなものです。

ここ2か月の事前打ち合わせの中で、この頭脳明晰で性急な性格の息子さんに、関係者会議を行った際に、私から「ダメ出し!」を1度行いました。

理由は、
飲食業というものを親子共に知らないのに、

①本業でしている手法と同じ切り口で「飲食業を判断して対処する」
 行ってみれば、その判断が危険極まりない、ハラハラ感がもともと
 ありました。
 
このお店の元々の経営者の方は、業界歴60年以上の鉄人の様な方で、
 前の経営者の方と今度の経営者の方の差は、
 例えると、
 「大学教授と高校生の差」位だと思います。

②父親(砂糖)は息子に自信を持たせてやる気になって後を継いでもらい
 たい一心で、月毎に、ほぼ丸投げになってきている。

③20代後半の年齢で、本社の食品加工業では、改革に敏腕を振るい、
 営業の成果も上げてきている息子さんは、
 イケイケの状態の性急さです。どちらかというと、自信持ちすぎです。

息子さんから見た私のイメージ:
  44歳差ですので、「ジジイ!」それも多分「ガンコジジイ!」です。
  *息子がそう言っていたと、父親から伝えられました。

私から見た息子さんのイメージ:
  やる気満々の頼もしい青年、だけど自信持ち過ぎで素直さがない。
  「クソガキ!」イメージですね。
  性急さは若者の特権ですが、父親がどんどん甘くなる傾向があるので、
  なおさら、危機感を感じるのです。


■良き契約仕事は「最初に喧嘩を済ませておくこと」
 がコツです!

  よく動物映画であるでしょ、オス同士がメスの獲得を争って角を突き合わせることが。。。。
人間ですから、仕事のことで、角を突き合わせるのは、
「重要なプロセスの1つ」です。しなければ後で後悔するかもしれません。

最初にお互いに言いたいことをぶつけておいて、納得した時点で
協力し合って、一つの大切なものを作り上げることは素晴らしいことです。

断っていきますが、「主権争い」ではありません。
 双方ともに不満ゼロスタートで協力し合う為のプロセスです。


■最後に迷ったのが、私も「砂糖」で協力すべきか?
 敢えて「塩」になって息子さんの実力づくりに
 貢献するか?

  考えに考えた挙句、私は、
理由1:
友人の本業の会社が末永く繁盛する会社となるために、
あえて、今後に強い経営者の基を身につけていただくには、
他人の私が甘く接することは、将来に禍根を残すと考えました。
配慮しながら、厳しさも伝えられると考えました。

理由2:
貪欲に比較的短年度で飲食業の経営ノウハウを身につけて頂きたいために、

良い考え・行動 → 賞賛して応援する
間違った考え  → 注意して修正を促す
危険な考え   → 中止を要請する

必要があるために、
「誠意のある辛口の塩になろうと決心しました!」

W砂糖で対応してしまうと、息子さん自身が、

父親の実績と会社の知名度で、周りが「動いてくれている」のを
「自分の力で動かしている」と錯覚してほしくない! 

ために、
必要なことであると私自身が意識しました。


彼は、私の年齢から見れば、孫~甥の中間くらいの年齢です。
立派な後継者としての素質と能力を有しております。
将来、私の関与うんぬんなくしても、素晴らしい経営者になると
信じております。

(了)


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