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食べ塾:飲食店の食材費用って何かを基礎からご説明します!

  飲食店の2大経費は、「食材費」と「人件費」の2つです。
30数年前の専門書にも、食材費と人件費の合計の目安は、
60%~65%と書かれています。(*今と変わりませんね)

私の意見としては、食材費32%+人件費30%=62%くらいを
実現させる経営でベストだと思います。


■食材費の計算

  税理士さんが関与する厳密な計算では、
月間の正味の食材費=期首在庫量+期中仕入れ高-期末在庫量
で正確に計算できます。

*月末の棚卸計算をしていないお店は、
 当月食材費=(期首在庫量と期末在庫量を同額とみて)=仕入れ高
 としています。

棚卸をしないお店の概算の食材原価率は、6か月間の平均値で
「ほぼ近い値」となり、10か月間平均値~年間平均値で、
「実態に即した値」と見ることができます。


■食材費の種類

  基礎編なので、飲食現場に即した書き方をします。
1、肉・魚・野菜(料理素材)
 
 牛肉、鶏肉、豚肉、その他の肉類、魚類、野菜、卵
  上記の加工品類すべて

2、調味料
  味噌、醤油、塩、砂糖、料理酒、みりんなど
  すべての調味料類

3、その他食材
  
天ぷら油、小麦粉、パン粉など

4、飲料
  
酒類全般、ジュース類、ソーダ水、ペリエなど
  生ビールの樽やジュースディスペンサーの樽は、特に
  コストがかかります。

5、デザート及びデザート原料
  
ゼラチン、生クリーム、アイスクリームなど

6、(細かい伝票の仕分をせずに食材業者請求分で分ける場合)
  一部の包材品・一部の消耗品類(本来は包材費・消耗品に仕分け)

 ●
包材品~弁当容器、ビニール袋、輪ゴムなど
 ●消耗品~ラップ、ホイル、紙ナプキン、妻楊枝、キッチンペーパー
      ゴミ袋など

 *月間で「仕入金額が1万円を超える場合」は、伝票を別に仕分けた方が
  より正確な食材原価率が出ます。


■食材原価率を制する店は、黒字経営を確定できる

  食材原価率=月間の仕入金額÷月商高×100% で出せます。
    
  食材仕入れ高58万円÷月商180万円×100%=32.2%
  となります。

1、食材原価率を「1%減らす努力」で銀行返済金の1行分がタダになります
  
年商6000万円のお店で、仮に1%の食材原価率の圧縮ができれば、
年間で、「60万円の純利益」が生まれます。
5年間で300万円、10年間で600万円になります。

   食材費のコントロールで、店内に埋もれた金鉱を掘り当てましょう!

2、食材原価率の下げの限界値を知っておきましょう!
  
私の30年間の経験の中では、都会の専門店やシティーホテル内の
ギャルソンのサービスを受ける専門店や、自家製麺のお店以外では、

   食材原価率の最も下の実行限界値は「30%」
とみていただきたいのです。
一般飲食店では、接遇サービス力も、店内の内装や雰囲気のレベルも「並」と考えた場合は、この30%が限界値なのです。

実際に25%や27%の料理を出したとしても、食材のボリュームに不満足だったり、美味しい調味料を使えずに美味しさがイマイチだったりします。


■食材費を下げる方法をいくつかご紹介します!

1、粉もの商売店なら仕入商品から自家製に変える

  ①うどん専門店・そば専門店
   自家製麺だと55円~70円仕入れのものが、1玉15円~20円で
   清算できます。但し、麺打ちパート人件費が月間15~18万円ほど
   別途にかかります。(*粉1袋打って45分~70分かかります)

   *オーナーが自分で打つ場合は人件費はかかりません。
   *麺機1式400万円前後(リース概算7.6万円/月)

   しかも、
   差別化できる「自家製麺」が自店で自由に販売できる強みが
   手に入ります。

  ②パスタ専門店
   
小型の卓上パスタマシンがあります。20万円台~30万円台。
   私的には、生パスタマシンのモチモチした麺の美味しさには
   感心します。


2、粉もの商品を売上高の50%占めるメニューに
  拡大する!


   1以外の粉もの商品
   その他の粉もの店~お好み焼き、ピザ、たこ焼き、もんじゃ焼き
   回転饅頭、朝生商品(おはぎ・大福・蒸しまんじゅうなど)



3、加工品を使わずに、分野を限って自店加工する

   大量消費時代は、国内産や海外産のものを豊富に使うことも
大切な選択肢ですが、これからは、

「選ばれた飲食店で外食する」ことが主流になると予測されますので、

自店では、このメニューが本当におすすめ商品です!というものを
複数持っておくことが大切になると思います。

●焼鳥の串打ちを自店でして鮮度の良い美味しさをアップさせる

●煮物(レトルト、冷凍食品)を手作りする  その他あります。


4、仕入れ食材点数を50%以上絞り込んだ
  メニュー構成に変える!


  食材の必要点数を減らすことにより、食材の管理力を強めることができますし、多くのストックスペースや機器を減らすこともできます。

   これは、これからの飲食業界の課題です。

食材の鮮度管理がより厳密になります
 法的規制で食材の安全な保管が義務付けられます。

食材管理能力の人的アンバランスをカバーできます
 責任者はきちんとできても、その代行者ができないなどが
 出てきます。適度に圧縮すると管理しやすくなります。 



5、自店独自のオリジナル料理を開発する!

   オリジナルな料理は、他店では販売していませんので、
●独自の価格設定

●独自のボリューム

●独自の提供スタイル

●独自の食器の使い方

を組み合わせることで、

競争力をある差別化商品を持つことになり、
食材原価率も意のままに設定可能です


今一度、自店のメニューに使う食材点数を思い返してください。
100種類や150種類はあると思います。

(了)



  

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オードリー7|🥕飲食店研究家
飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします