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飲食店未来学104:女性より怖い飲食店の開業⑥~メニューは開業日までにつくればいい

飲食店を開業する人にとって、日ごろ手にしない大金の費用を使って思うように店舗をつくることは生涯で最大の醍醐味のひとつです。だから、ついつい面倒で複雑な開業メニューは後まわしになりがちです。

開業した後からは、メニューの良し悪しで月商が決まるのだから、後回しは厳禁!なのです。

開業した後から「失敗した未完成メニュー」を手直ししてももう間に合いません。開業月こそ大物の魚が釣れる一発勝負のかけがえのない期間です。

メニューの役目は月商を稼ぐこと

飲食店のメニューブック(個々のメニューをまとめたメニュー表)の役目は、お店の料理やドリンクをお客さまに紹介して必要な月商を生み出すことです。

メニューは、お店が提供する料理を好む固定客が80%以上に加えて、10%以上の新規客のお客さまを呼び寄せ、繋ぎとめて、リピートさせる役目を持っています。また、個別に説明をしなくても、お店の思いを伝える役目もメニュー(ブック)はもっています。

こういう大切な役目を担うメニューを、いったいどの時点で作るのが良いでしょうか。

開業メニューの骨組みは創業計画書作成時につくる

銀行融資を受ける際に提出する創業計画書(事業計画書)を作成する段階では、以下の3点を裏付けがなくてもおおまかに決めておきます。

●どんな料理を売るか(料理分野、業種)
●どんな料理を看板料理にするかしないか
●どんな人気料理を加えるか

この段階では料理内容や売価も原価率も決まっていませんが、メインの料理分野(業種)を決め、どんな調理手段(火入れ方法)にするか決める段階です。➡店舗設計、厨房設計に連動することになるため

この時点では、月商も料理売価も食材原価率も「予測の範囲」で設定したものでしかありません。

基本メニューは店舗設計着手前までにつくる

店舗の基本設計時前までに、看板料理や人気料理など売る料理をもう少し踏み込んで決めます。理由は、その商品が売れるための店舗イメージ(店舗の外観、内装など)を決めなければ店舗の設計図面は書けないからです。

そして厨房の機材レイアウトは、基本メニューの概略が決まり、客席数や食材ストック量、調理手段の数(揚げる、焼く、煮る、蒸す、炒めるなど)が決まらないと詳しい設計図面を作ることができません。

この時点では、小規模店舗で3品~5品、もう少し大きい店舗で10品~20品程度の商品数が決まれば、店舗図面も、厨房図面も書き進めることができます。

この時点では、最終メニュー案はまだできていません。売価や原価率はまだ試作と検討が十分にできていない状態です。

メニュー全体は店舗工事期間中につくる

店舗の大きさにもよりますが、1か月間~3か月間(待機期間込み)あります。この期間に、自宅や自店舗で、メニュー全商品の試作と原価計算をします。そして、各商品の相場的食材原価率を参考にしながら売価と原価率を個々に決めてゆきます。

この作業は大変めんどうですが、ここを手抜きすると、月商の原価率(仕入食材比率)が予測値と違ってしまい、採算分岐点が高くなる恐れがあります。

●基本メニューに追加の関連メニューを加える
●ドリンクメニューをつくる
●テイクアウトメニューをつくる
●デリバリーセットメニューをつくる
などの作業をして全体を完成させます。


メニューづくりは、お店とお客さまを繋ぐ接点づくりです。しかもその良し悪しで月商が80%になったり120%になったりします。以上のような、まるで家を建てる時のプロセスと同じように骨組み~内装工事まで順に行います。

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はじめに
第1章 開業成功の条件
第2章 店舗コンセプトを決める
第3章 創業計画書の書き方
第4章 開業スケジュールを作成する
第5章 資金調達のコツ
第6章 店舗を選ぶコツ
第7章 内装工事業者を選ぶ
第8章 厨房設備業者を選ぶ
第9章 その他の業者の種類と選び方
第10章 開業メニュー制作
第11章 従業員採用とハウスルール
第12章 開業前チェックをしよう
参考資料 料理の原価計算ノコツ
おわりに変えて
著者プロフィール
詳しくは、「試し読みページ」をご覧ください。各章の中の記載項目をご覧いただけます。
著者 宇津宮 正博(うつみや まさひろ)

(了)

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オードリー7|🥕フードビジネスクリエイター
飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします