高コスト時代の飲食店対策3:FLコスト率を下げるメニュー作りの時代です
このテーマの記事は10回のシリーズで投稿します。
飲食店の業態変更や仕組みを変えて繁盛店づくりに役立つ内容です。
*10の記事のうち1本は有料記事になります。
■飲食店のメニューの役目とは
飲食店のメニューは、紙製のものからデジタル表示のものへと変わりつつあります。(タッチパネル、モバイルオーダーシステムなど)
(*そのうち、壁面画像を見て音声オーダーして厨房でプリントされる時代
も来るかもしれません)
●お店の料理とドリンクをお客様に紹介する営業マン!の役目
・写真で表す通り、文字で表す通りの料理やドリンクでないと「信頼」
されなくなります。
●どんな料理を売るお店か、形態なのか「食事業態の種類」を知らせる役目
・料理の種類を知らせる(焼肉、ハンバーグ、焼鳥 など)
・料理の提供パターンの違いを知らせる(丼、定食、コースなど)
・営業時間とニーズ(朝昼型、昼型、夜型、深夜型、24時間型など)
●お店のおすすめ料理がどれか、ドリンクがどれかわかりやすく情報を
伝える役目
・よく見かける整列均等配置のメニューは、一見わかりやすいと
思うでしょうが、実際はどれを選ぶかには役立ちません。
➡ひとつひとつのメニューページのなかで、
「商品どうしを戦わせて優劣をつけた差別化表示」にする。
*魅力あるメニューとないメニューの差はここです。
■高コスト時代のメニューの役目
ひとことで言えば、少ない食材、少ない人数で、
大きな売上と利益を生むメニュー作りの工夫が必要!
ということです
食材
●食材は100%仕入です➡省食材化できるメニューづくりが必要
しかも来年も毎月食材の値上げがあります。
どんな値下がりの理由があって、「春には収まる」という人がいる
のでしょうか?気休めは後のちの毒だと思います。
世界の食料生産が人口増より勝って初めて値下がりと思うのです
「食材の値上がりは下がる理由がない限りある=当然と思ってください」
最大の種類を持つのでなく、
「最小何種類の食材があれば目標月商をクリアできるか」
調べてみませんか?
売上を上げるためには、数量は売上に必要な分だけ仕入れることになります。しかし、100種類の食材を80種類、70種類、60種類に、50種類に減らすメニューの工夫はできます。
「省食材+調味料+調理&提供方法の工夫」で、
お客さまの満足できる仕組みづくりは可能と思っています
~後は知恵を出すだけです
私の経験では、現有のメニュー数の70%あれば売上は維持できます。
ただし、1度目は、売れないメニュー中心に20%のメニューをカット。
6か月以上1年間経過して2度目に10%のメニューをカット。
2段階で削減することがコツです。
食材の種類を減らした分だけ、値上げ対象食材は減ります
そして残った食材の仕入量が増える分だけ、
値上抑止ができます
人件費
●人件費も100%毎日仕入と同じ➡省人化できるメニュー作りが必要
出勤してタイムカードを押せば、人件費の仕入がスタートしたと
受け止めてください。
作業支援機器でできる作業以外は人手が必ず必要です。
従業員を大切に扱い高時給×短時間労働で能力を発揮してもらいましょう。
●調理人件費を減らす
メニュー数を減らし、調理の火入れ手段を絞り込む、調理手順の簡素化で調理作業の負担軽減が図れるとともに、人件費の軽減ができます。
調理分野の負担が少なくなるメニュー作りを行うことで、
・調理人件費の削減
・利益率の向上
・離職率の低下
・料理の商品力の安定
などが可能になります。
●ホール人件費を減らす
ホールスタッフは、同じテーブルに最低4~5回、多くて10回は伺っています。
このサービス作業を軽減できるメニュー作りに変えることが今後とも必要です。加えてAI機器などの導入が合わせて必要です。
・ホール人件費の削減
・利益率の向上
・離職率の低下
・ホールサービス作業のスキルアップ
・AI機器の導入リース費用の捻出
などが可能になります。
●直轄の管理人件費を減らす
法人の飲食企業の場合は、本部費(本社経費)として、
7%~12%くらいを傘下の各店舗から徴収している構造になっています。
平均で10%。
フードサービス業上位100社の食材原価率の平均が36%であれば、
36%+10%=46%の基本コストが重くのしかかります。
・本社で行うことの半分以上はアウトソーシングする。
なぜなら、労働時間規制や社会保険料負担や労務管理が今後もっと
大変になると思うからです。
大きな本社機能➡小さな本社機能化する
価格変更能力
今まではこの能力はメニューに求める必要はありませんでした。
しかし、毎月食材価格が上がる時代では、この「メニュー変更能力」
が今後のメニューには必要になるのです。
まあ、車に自動運転機能を付加する感じと同じと思ってください。
<変更の種類>
・全面変更
基本的にグランドメニューの全面変更(レイアウトの全面変更・価格全面変更を含む)は、1年に1回。
・部分変更
例えば、値上がりが著しい食材を使ったメニューページだけのリニューアル。大半は以前のままですが、このページはレイアウトも価格も変更しているという形です。
・価格のみ変更
例えば、「価格改定しました」とわざわざ表示することもない程度の小さな変更を行なう場合。
★食材の値上げによる商品別の価格調整値上げ
★値上げしすぎた価格の微調整的な値下げ(10円、20円)
★客寄せサービスの目玉商品に変えるための「期間限定値下げ」
等があります。
<変更の優位性>
・モニター画像だけのメニュー
これからはできるだけ手間をかけずにスピーディに行えることが
必要です。(こちらが優位)
全面変更
グランドメニューは、データ作成、次期メニュー案企画、レイアウトプラン作成、写真撮影、メニュー完成まで2.5か月~3か月間かかります。
(*データの作成は専門の会社へ外注です)
部分変更
数日~2週間以内に完了
価格のみ変更
即日~3日間くらい(レジ設定の変更が必要)
・紙のメニューブック
期間もコストもかかる方法です。
モニター画像メニューと併用しているお店は、やがて1本化する方向に
なると考えています
全面変更(モニター画像のメニューと同じ)
グランドメニューは、データ作成、次期メニュー案企画、レイアウトプラン作成、写真撮影、メニュー完成まで2.5か月~3か月間かかります。
(*メニューの作成は専門の印刷会社、取り扱い会社へ外注です)
部分変更
2週間~3週間くらいかかります。繁忙期はもっとかかります。
手順は全面変更と同じプロセスです。
価格変更
1週間~10日でできると思います。繁忙期はもっとかかります。
どんな内容のメニューにするかで、
食材原価率も変わりますし、人件費比率も変わります。
そして、メニューのあり方の選択いかんで、
値上がりのペースに追随して行ける「スピーディーなメニュー作り」が
できるかどうかが決まります。
(了)