たべものコンサル日記R19:総額表示がインフレ化を促進!利益確保の対策は?
令和3年4月からの全国一律の総額表示化について、お店により表現方法の違いがあります。
●一旦は消費税を全額飲み込んで「-99円価格」「-98円価格」を
飲み込んで、他社の動向を見ながら新価格表示に切り替える。
(*大企業系の飲食に多い形です)
●今までの「税別価格」を表示した後ろに「「税込価格」を表示して、
差額の消費税は売上金ではありません、と伝えたいお店。
●回りくどいやり方はせずに、支払う総額は総額と割り切って、
「総額勝負」に賭けるお店。
等があります。
今後1年~2年を経る中において、飲食店については、
「二重表記よりも税込価格1本」にする方がシンプルでわかりやすい
と思います。
(*二重表記は移行期における経営者の言い訳の未練がましさがある為)
恐らく欧米などでは、二重表記などは存在しないと思いますが。
■総額表示1本になった時の飲食店の利益対策
対策1:売価は税別価格と同じにした「類似新商品」
と置き換える
多くのお店が安易に値上げをすると、オーダー数の減少を受けて、
売上減や人気の低迷につながることもあります。
その時は、100%商品を、85%商品の「酷似種類」に置き換えて、
事実上のコストダウンを行い、消費税10%の吸収を行います。
対策2:料理のポーション(分量)変更を行う
例えば、120gのトンカツを100gに変えるとか、1人前100g
使う味付け牛肉を85gにするとかの分量変更です。
税別売価をそのまま税込価格にすることは、店内飲食であれば、
「値引き10%販売」をすることと同じです。
1枚150g1,000円のトンカツでは、税込1,100円(食材原価率35%、税込385円)ですが、
税込1,100円を税込1,000円にすると、原価が385円の時は、
食材原価率が38.5%となり、食材原価率が3.5%引き上がります。
この3.5%の食材原価率の吸収の為には、
150g×3.5%=5.25g 少なくすれば同じ条件に変わります。
要するに、
10%の消費税をゼロ計算で見立てた場合に、
これを吸収するためには、
料理ごとの食材原価を「3.5%」下げればよいということになります。
対策3:消費者目線で売価変更を実行する
消費者も同じ人間です。3つに分類しました。
●値上げしてほしくない人→一つ下の料理にオーダー転換します
●値上げは仕方ないと思うお客様→私の経験では7%以下で影響が最小限
●大枠の許容範囲内の価格であれば「構わない」という食欲充足型のお客様
がいらっしゃると思います。
正当に努力して、この売価が当店の精一杯のお売りできる価格です!と
自信を持って、少し上の価格を表示できる気概が、今の経営者の方にこそ
必要ではないかと思います。
この場合に守ることは、
①食材の品質を落とさない
②メイン食材の今までのポーションを継承する
ことが不特定多数のお客様との「暗黙のお約束」になります。
対策4:食材の仕入れコストを下げる(3.5%以上)
または、
他の美味しい食材に変更して同じ範疇の料理にする
一番気をつけていただきたいのは、Aランク食材をBランク食材に
置き換えて、同じ価格や高い価格を打ち出すことです。
料理人は一度食べるとわかり、一般のお客様は3回~5回食べると
同じことがわかります。
また、数年おきに着実にお客様の味覚感覚は向上していると
判断されてください。
食材ランクや鮮度には結構敏感です。
直ぐにオーダー数に反映されます。2度目のオーダーが減少する料理は
もう欠陥を抱えていると思ってください。
総額表示メニューは4月で終わりではありません。
これからお店が続く限り、「総額表示の工夫」は続きます。
コツを会得した人が楽になり、高売上を手にすることになります。
(了)
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