飲食店未来学85:飲食店売上30%減時代の生き残り策
ついにホテル旅館業やインバウンド客相手の飲食業を除いて、一般のローカル飲食店は、2019年(コロナ前年)対比70%時代が確定的となった。
私の住む大分県大分市においては、歓楽街は様変わりして平日は閑古鳥、週末の金土はわずかに賑わう程度です。一般の飲食店も、焼肉、回転寿し。居酒屋や一部の料理専門店を除いては、イマイチ勢いを欠いています。
売上減、食材高騰、運営コスト高騰の上に、また10月からの3,000品目を超える値上げが、外食のパワーを削ぎ、客単価や利用回数を落とすと危惧しています。
そのような中でも、生業としている飲食店は、黒字を出し、生き残らなければなりません。その対策についての考えを書き留めます。
同じ料理を売る手段は必ずしも飲食店でなくてもいい
たとえば、トンカツ専門店は以下のように変えることができる。
●トンカツ専門店(現状)
席数が多い、従業員が多い、豚肉の食材数が多い、メニューが多い。
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●ロースかつ専門店(圧縮タイプ・トンカツセット)
席数問わず、従業員は削減可能、豚ロースだけ、メニューはシンプル化。
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●ロースかつ丼専門店(圧縮タイプ・かつ丼)
席数は縮小可能(店内余地はかつ丼や冷凍カツのテイクアウト販売に活用)
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●かつ丼テイクアウト&デリバリー専門店(圧縮タイプ・客席なし)
客席なし、調理キッチンのみ(デリバリー向きの場所で開業)
同じ商品を売ることを前提に、同じ程度の月商または同じ程度の利益を確保する手段として考えた場合、その営業業態をより無理のない形、利益が増える形に自ら変化しないといけない。その勇気と努力ができるかにかかる。
コロナ前の業態のままでは、売上減20%~30%は命取りになる減少幅です。業態の変化や調整、大きな改革が必要です。
では次に、今度は個別の経費額と比率について説明します。売上が足りないならば、おおもとのしくみを変えて、経費負担を低くすることで、売上減対策の有効な手段になります。
個別の解決策1:原価率の低い業種に変える
●食べ放題のお店を食べ放題をやめて専門店営業に変えると原価率が下がる
●肉魚を使う業種を麺類主体の業種に変えるなど
食材の原価率が低くても高い価格で売れ続けるためには、料理の特異性がないと長続きしません。変更前の研究と準備期間が必要です。
個別の解決策2:人件費が低い業種に変える
飲食店の人件費を減らすには、いくつかの方法があります。
●営業時間を短縮する
●調理を簡素化する(1つか2つの調理法に絞る)
●メニュー数を少なくする
●テーブル席をなくしカウンター席にする
●パート勤務者で運営できる形に変える
●省力化機器に作業を置きかえるなど
人件費を削減することで、接遇サービスレベルが落ちてはいけません。満足度が下がると、リピート客が減り、売上が減少する、客単価が落ちるなどの弊害が生じます。しかし、成功する方法もちゃんとあります。自店に合った方法を考えましょう。
個別の解決策3:家賃比率が低い業種や方法に変える
上記のとんかつ店の例を見てもわかりますが、
●家賃の高い店舗から低い店舗へ変える
●契約坪数を少なくする(スパンの変更が可能な場合)
●店舗スペースを飲食スペースとテイクアウトや加工所など他の売上を生み出す場所にすると、全体の売上が増えて、家賃比率は相対的に下げることができます。
個別の解決策4:水光費が低い業種に変える
具体的な方法は、
●短時間営業店に変える(営業時間以外は自販機販売など)
●店舗面積を小さくする
●麺類店、揚物店以外のお店に変える
●新型の太陽光パネル設置店に変える(中国製でなく日本製がいい)
●ローカル立地の店舗に変えて、地下水利用、太陽光発電、風力発電、水力発電、野菜の栽培を行う
自由気ままに良いと思ったことはどんどん実行しましょう!一度しかない人生を悔いなく、楽しく!
*改めて10月度に飲食店の開業本をキンドル本で発売します。今追い込みで推敲中。できあがったらこのマガジンでお知らせします。
(了)