
飲食店未来学76:外食人口が減っても飲食店が成り立つ法則がある
人口の減少、外食人口の減少に加えて、もうコロナ前の2019年時点の活性化レベルには戻らないと盛んに言われています。では、もう飲食店経営には、生きる術がないのかというとそうでもありません。
変質する市場性
1,節約志向の強まり
外食で利用する飲食店の付き合い方は二通りあります。お金と時間が有り余る人は別ですが、ここ1年間の動きをみると、利用するお店が値上げしても行かなくなることは少ないが利用回数が減っている。回数を減らすことで、月間、年間の利用総額を押し上げないように調整している。そういう人が増えている。
外食回数が減ると出かけない日はどうするか。単身者に顕著なのは、加工食品、調理食品を買って家で食事回数が増えている傾向です。


2023年そのものがコロナ前の2019年より減っているため、2024年は増えても2019年には
追い付いていない(下回っている)
2,団体利用から1~3名利用へ
もうすぐ「宴会」という言葉が死語になると感じる。会食に置き変わるだろうと考えている。会合などでの簡便なビュッフェスタイルは一部で生き残るかもしれませんが、個室で15名上の宴会をすることは、ますます稀な利用のしかたとなるに違いない。
1名利用がトップになると思います。各社とも新店では向いあわせのカウンターテーブル(テーブルの真ん中をタテに仕切る)の導入が盛んなことでもわかる。次が2名利用。男性二人、女性二人、親子、カップル、兄弟姉妹など、職場や親族などの身近な人との外食が濃厚になる。(ランチ以外は)
2名以上の利用は予約が中心になる。AIを使った予約システムの導入が必要な時代です。
3,夜間利用から昼間利用へ
同じお気に入りの飲食店であっても、「安く気軽に利用する」のであれば、ディナータイムの利用よりもランチタイムの利用の方が、1/2、1/3の予算で済む。これからは、夜間の外食人口が減り、昼間の外食人口が増えるとも考えています。
4,外食利用から中食・総菜利用へ
コンビニやスーパーの総菜部の利用が、パートタイマー50%の時代の食事ニーズを支えていると思います。今後ますますこの傾向は強くなる。この傾向も見逃せない。飲食店経営者もこの分野との掛け持ちが課題です。
5,5回の外食のうち1~2回は贅沢高級志向をする時代
自分ご褒美の高級な食事、家族ともどもの食事。俗にいう晴の食事はますます盛んになります。どんなに食事にお金を使わない人でも、たまに生きている証明のような高級で美味しさの際立つ食事もしてみたいのが人間です。
高級な焼肉、高級な魚料理、高級なフルコース料理、高級な地酒やワイン。いずれも人生を生き抜く自分ご褒美が必要な時代ですね。
高度化するニーズ
1,良質の食材
美味しい料理は良質の食材があればこそです。価格の引上げも、この食材の良さが一つの信用の裏付けです。良い食材を使うからこの価格で、となります。
しかし、良質の食材は手に入れることができる量が限られます。高額で買い続けるか、自分で生産するか、生産者に資本参加するか、いずれかです。
2,高い商品力
商品力の高さとその売価の比較バランすで、お客さまは安い、普通、高いを判断します。もう、絶対的な価格だけの安さの時代から、比較検討した結果の安さ(例:15,000円の商品が10,800円で売られていたら安いと感じますね)*単に10,800円だから高いとは言いません。(が感じる人もあります)
その商品が持つ絶対的価値に見合ったふさわしい価格であれば売れます。ただし良さが伝わらなければ売れません。
3,高級品志向
料理の美味しさは、食材の良さと、その料理を作る調理技術の高さとのハーモニーで生まれます。食材原価30%、調理の付加価値70%が仏・伊などの高級専門料理店のしくみです。
食の二極化が進み高級料理はもっと高級化してゆきます。
インバウンド客の日本の料理の価格感まではゆかなくても、今の日本の国内価格の50%アップまでは徐々に上がってくると思います。そして海外のメニュー価格感覚と同レベルに並ぶ事でしょう。(数年先かも)
4,レア志向
もともと珍しい食べ物、この時期しか取れない珍しい食べ物など、レアな食材の料理は、20%アップ、50%アップでも売れる商品です。これも喜びの食体験です。
試される飲食店経営者たち
1,飲食店減少時代
もともとここ30年近くは、外食産業の需要(外食客数)よりも供給(飲食店数)が20%以上あるオーバーストア状態でした。
2023年~2024年末までの飲食店の倒産や閉店を経て、初めて10%またはそれ以上の緩和が行われると思います。
かっては40年前は、1坪当たり売上が25万円だった飲食店の業種と規模が、今は9万円~12万円まで落ちています。(半減状態)
今こそ、店舗コンセプトを再構築してリモデルするチャンスです。
2,あきらめない者勝ちの時代
オリンピックの選手を見ていても、「あきらめない芯の強さ」があればこそ勝利を得たという感想の選手がいました。私も賛成です。
今日も明日も、人生のゴールまですべて「あきらめない精神」でやり抜きたいものです。、猛暑につきご自愛を!
(了)
いいなと思ったら応援しよう!
