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飲食店未来学66:融資担当者が苦手な飲食店の開業融資~切り口のヒントを伝えます
積極的に融資する銀行としない銀行の差
どの銀行においても飲食店の開業に関する融資は苦手です。売上規模も投資額も小さく、一般の製造業などに比べて一定の査定の目安が半分もないと言っていいからです。
積極的に融資する銀行
融資希望者と対面で向き合う姿勢でなく、共に同じ方向を向いて寄り添い、外から事業の可否を査定するのではなく、開業する経営者と会話を重ね、良い点を応援し、悪い点を補完修正して、事業の成功率を高めた上で融資を行っていると感じます。
真ん中に置いているのは、これから事業を始める経営者の考え方、事業に対する熱意、経営能力の程度を重視しています。今からの銀行はこれができないと、傘下をつくる銀行でなく、傘下に入る銀行となるしかありません。
消極的に融資する銀行
事業計画書全体の整合性や損益など、あくまで数値に重きを置いた「書類審査」重点です。それでもなお融資を希望する場合は、融資額に見合う担保を要求します。
このようなガチガチの旧来の考え方の銀行が地元企業に役立つでしょうか。こういう銀行は、やがて支店網がなくなり、スマホで済ませることになりかねません。送金もpaypay銀行やpaypayで事足ります。
ヒントの最初はこれ。
いきなり融資申込か以前から相談に来ているか
飲食コンサルタントの私も、公庫から事業資金の融資を受けたり、飲食店の経営者に同行して、融資担当者の方と面談したことがあります。
私が初めて公庫(現在の日本政策金融公庫)で融資を受けたいと、初めて窓口に伺った時に言った言葉は、「確実に融資を受けるにはどのような手順を踏んだらいいか教えてください」でした。
あなたは、「融資を申し込む段階になったら金融機関に出向く」と思っていませんか。私に言わせれば、もうこれで減点パパです。
一番辛い言い方をすれば、金融機関というところは、「融資を断る理由が見当たらない融資申込者」に融資する(公庫の考え方)のです。
飲食店を開業しようと決めた時点から、店舗もなく、どんなお店を出店したいか、詳しいことが決まるずっと前に、「融資の申し込みをしたいのですが、どのように手順を踏めばいいですか」と半年前、1年前に窓口に行けばいいのです。
窓口の担当者と顔なじみになることです。そろそろ申し込みしてみませんかと相手に言われるくらいに、あれやこれやとアポを取って相談に行きましょう。(一部、相手にもよります)
詳しくは知りませんが、融資窓口担当者~融資責任者~支店長~本店融資部署(課長・部長など)の形。支店長決済枠は、銀行規模と支店のランクにより、100万円~1,000万円と開きがあります。これ以上は本店決済です。
私が融資担当者なら、数回の面談時に、以下のようなことを聞いてみます。
経営者としての考えを聞き熱意を測定する
新たに事業を始めようとする方は、心が熱い人ほど事業の実行力が強いと思います。(中には詐欺師もこれが上手)
この事業に対する思いはこれ。これを将来このようにしたいと熱弁をふるうくらいでちょうどよい。話のつじつまが合い、整合性があって矛盾がないかどうかを、別の時間に思い返してみることです。
これからの飲食店のあり方について意見を聞く
アフターコロナ時代は、以前と違って、飲食店の成功条件が大きく変わってきました。
●過大な開業費用をかけない(投資額の1.5倍以上が見込める場合を除く)考えがあるかどうか
●少数精鋭で効率よく運営すべきという考えがあるかどうか
●既存の飲食店とは、売価以外に差別化できるしくみがあるかどうか
ただ単に、こんな料理のお店を開業したい、これくらいの儲かる価格で売りたいというだけでは、50%以上の確率で失敗する。
これらを確かめてみましょう。
数字に強いかどうか観察する
飲食店をもっとも成功させている経営者ほど、数字に明るい人です。
●月々の試算表や決算書の数値を見て実情を実感できる
●食材原価率の重要さがわかっている
●人件費や家賃、その他の経費のかけ方の限度がわかっている
●借金の額よりも、利益高がどれだけあるかの方が大切とわかっている
こういう方が強い。
面談の会話の中で、どこかしこで感じ取るべき。
新しい料理開発について聞いてみる
事業の成功願望が強い人ほど、攻めることに力を注ぎます。飲食店では、既存メニューは「守り」のメニュー。攻めは「新メニュー」作りです。
急成長する飲食企業は、社会のニーズの的を得た新メニューづくりと、売り方が上手です。
従業員は宝と思うか聞いてみる
今や給与の高さだけでは従業員は去ります。従業員一人ひとりを、自分の事業に力を貸してくれる大切な宝の人材と思い、感謝する経営者でないと、品格のなさは、魅力のない経営者となります。
人格も優れた経営者の元で、希望する給与をもらいことが働く喜びです。
飲食店の開業を望み人にもヒントになれば幸いです。
開業者にとって、銀行融資の成功こそ事業成功の第一歩です。
(了)
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