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飲食店未来学82:嘘が横行する飲食店の原価率(月間食材仕入率)の現状
飲食店の食材原価率40%以上は2倍の売上がないと赤字店になる
たまに記事を点検していると、税理士法人らしきWEB記事がトップ面にあり、そこには飲食店の原価率を48%かける方が良いとあり、少なくとも40%以上をかけることで繁盛すると書いています。ウソばっかり!(特殊な例をコアな平均的な例として説明するのは専門家の風上にも置けません)
日本のローカルエリアの経営者が見ると、当該税理士事務所は数十件以上の顧問先があれば簡単にわかるはずの原価率のウソを堂々と表明しています。
カシオさんの統計データは信用できる
一方、下のカシオ計算機さんがWEB上に出している数字は私の目で見ても、四捨五入はされているが正確な数字を提示しています。
●F率=フードコスト率=食材原価率=原価率(月間の食材仕入率)
●L率=レイバーコスト率=人件費比率
●FL率=食材原価率と人件費比率の合計比率=飲食店の経営評価を自店で行える一つの指標(*合格ラインは、20年前は70%以下、現在は55%が目標比率だと言われている)
食材原価率は低い業種で25%~高い業種で38%です。ここ数年間は、毎年毎月食材の値上げがあり、食材によっては10%どころか、30%も40%も上がるものもあります。
さらに人件費も、主力のパートさんの時給が1,000円を超えており、高度なシフト調整が必要な時代です。
F率もL率も、ほっとけばどんどん上がってきて手に負えなくなります。お店を閉店しなくて済むためには、それなりに改革が必要です。
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黒文字比率表示~今後努力することで、引き下げが可能な業種
赤文字比率表示~今後努力しても食材費や人件費比率が上がりFL率が上がる業種
既存の飲食店は食材高騰の影響で原価率35%を超えている
飲食店の売価の変更は、小まめに行うお店でも、半年に一度が精一杯です。
大半のお店は、1年に一度定期的に見直しして価格変更できればよい方です。
また一方で、値上で利用客が離反することを恐れ、値上をタイムリーに行えていない飲食店が多いのが現状。(お客さまから見ればまったく変わらない料理が値上げされるのはたまりません。許容範囲は10%アップ程度)
つまり飲食店の現在の売価は、1歩、2歩先を行く食材高騰の後追いをいつもしているので、原価率はどんどん上がる計算です。赤字の金額は、経営者の報酬を減らす、必要な従業員を解雇や時短で人件費を減らす、その他の経費を減らすことでしのいでいますが、少しも前向きな解決にはなっていません。
目標原価率30%の経営でないと利益は残らない時代
★来店客数の減少(人口の減少、外食人口の減少、デリバリーの普及)
★客単価の高騰(低客単価層の昼食利用への移行、売価の高価格化)
今の飲食店は、客数減を客単価増でどうにか踏ん張っているのが現状です。しかし、それもできない飲食店は、どんどん敗退しています。そして新たな飲食店が後継店として開業しています。
大きな借金を抱えたコロナ期の飲食店が倒産して、新規の健全な借入金のある飲食店にとって代わっています。
まるで重体の患者が死に絶えて、病気のない健康な人が生まれてくるのに似ています。飲食業界は、常にこの新陳代謝で、何百年も繰り返して生き延びた業界なのです。
個別の料理が原価率30%で売れる、または月間の原価率が30%となるためには、高度なQSCの技術を持つスタッフがいないと実現しません。<主に専門店業態が実現しやすい>
素人さんが開業して原価率30%のお店を開業しても、「やせた鶏のような料理」しか出せず、来店人数がしりすぼみになって経営が悪化します。<成功は努力と研究があっての話です>
WEB情報の60%以上は、元ネタではなく、嘘やコピーのパクリネタです。信用のおける記事には他にないオリジナルの真っ当な意見が込められています。
(了)
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