食べ塾:飲食店経営で黒字店と赤字店の差はどうして生まれたかを詳しく説明します!
飲食店の経営の基本は、食材を仕入れて仕込調理して、
原価+経費+利益を合計した、およそ原価の3倍に消費税を加えた価格
で営業することで成り立ちます。
凄くシンプルです。
でも簡単に事業がスタート出来て、簡単にお金が手に入るので、
儲かりすぎると手を抜き出して、不振店になるのも飲食店の特徴です。
黒字飲食店と赤字飲食店の「差」はどうして生まれるのか
しっかりお伝えします!
■初期投資額のかけ方で差が生まれる!
初期投資額は、採算度外視の場合を除き、単独店舗で採算を取りたいと
考えるのでしたら、
想定月商額×10倍~12倍=初期投資総額(店舗取得費、工事費込)
と考えるべきと思います。
月商500万円であれば10倍で5000万円、12倍で6000万円です。
もっと大雑把にお伝えすると、
初期投資額にかかるお金=売上すべき年商 ということです。
1,年商が少ないケース
仮に年商が6000万円見込み(=月商平均500万円)なのに、
初期投資額が1.5倍の9000万円をかけた場合は、
10年間120回返済の場合に、1か月に75万円+金利の支払いになり、
銀行返済金(純利益から出るお金・元利金)比率が、
月商500万円に対して「15%+α」になる為、
「確定赤字店舗」になるわけです。
2,年商と同額の売上ができる場合
1億2000万円の投資をするなら、1億2000万円同額以上の年商を
生み出す仕組みが必要になります。
そうすれば、月商平均1000万円に対し、10年120回返済の時に、
月額返済金100万円+金利に対して「10%+α」となり、ぎりぎり赤字店を
免れる仕組みになります。
(*飲食店の返済金限度は、複合要素も考慮すると6%~12%位です)
3,どうしたら初期投資額を1/2に減らせるか?が今後の課題です。
今後はそこそこ居心地の良い内装レベルであれば十分に
ニーズを満たすと考えられており、よほどの高級店でない限り、
「内装にかける費用は元が取れない」
と考えたほうが良いと思っています。
内装レベルの引上げに初期投資額の50%の予算を費やすよりも、
●商品レベル
●サービスレベル
●価格設定レベル
の3つの「お客様メリット」を考慮する店づくり
のほうがより効果的だと思います。
■「平均月商」という売上高の達成力の差
自店の月商達成率=自店の人気のバロメーター
と考えてください。
人気のあるお店は利用客も多く繁盛して黒字経営です。
赤字のお店は、運営条件のどこかにお客様に嫌われる条件を
持っており、それが障壁となって売上目標に届かない売上高です。
<自店の簡単な人気度を知る計算方式>
自店の人気度(完成度)=月商÷(開業にかけた総額÷12か月)×100%
●黒字店方向の店 → 120%=150万円÷(1500万円÷12か月)×100%
●収支すれすれの店 → 100%=120万円÷(1500万円÷12か月)×100%
●赤字方向の店 → 90%=112万円÷(1500万円÷12か月)×100%
同じ投資額でも、赤字・とんとん・黒字のお店に分かれます。
「赤字のお店は、順次赤字になっている要素を改善する」
ことにより、
順次月商は黒字化してゆきます。
●赤字店をなくす第一歩は、
①無駄な経費を外し、必要経費がいくらかを洗い出しする。
仮に100万円/月とします。
②採算分岐点(この売上高を超えたら黒字です)という売上高を知る!
総利益率を調べる。
これは、
売上総額(税込)(100%)-食材仕入額(税込)(仮に35%)
=総利益額(仮に65%)・・・この場合は「65%」になります。
採算分岐点売上高=経費100万円÷総利益率65%=153.8万円
大まかには、このお店は、
月商150万円以上売上げれば「赤字にならない」と答えが出る
わけです。
③総利益率をどんどん良くするには、「食材原価率を30%に近づける」
努力を自店一丸となって行うことが現実的に必要になってきました。
●総利益率 65%・・・・採算分岐点売上高 154万円(税込)
● 〃 67%・・・・ 〃 149万円 〃
● 〃 68%・・・・ 〃 147万円 〃
● 〃 70%・・・・ 〃 143万円 〃
*但しホテル内飲食店や超高級店以外は、
食材原価率を30%を切る価格設定は「原則禁止」です。
不必要な高価格店イメージに変わります。(特別な食材は別途です)
通常は開業時に確保した「運転資金額」を動力源に
した営業努力で、
3か月~遅くても1年以内に黒字化できるはずです
採算分岐点迄こぎつけることが、
「経営者の最大のミッション!」です
赤字経営店であっては経営者ぶることもできません
それを成しえていない場合は、
「店舗診断」が必要です。(自店スタッフと共同で、専門家に依頼して)
(原因)
●初期投資額をかけ過ぎた
●経営者の思い上がりが強くて、お客様の想いを受け入れていない
●食材原価率が高い
●人件費比率が高い
●地域ニーズと自店のメニュー内容や販売価格がマッチしていない
*ニーズがマッチしても価格が合わなければ買いません。
(*魚釣りの法則~魚に合った餌をつけないと魚は釣れません)
注:事例の例えであり、お客様を魚とは思っていませんので。
等いろいろあります。
■食材原価率の差
儲かっていて黒字のお店は、毎月食材原価率の推移をチェックします。また、食材ロスの発生原因を追究して、廃棄ロスゼロを目指しています。
●黒字のお店・・・・食材原価率27%~35%以下のお店
食材原価率が35%を超えても黒字のお店は、
家族経営、無借金経営、店舗家賃がいらない(自己所有)、売上高が大きい
等の要因があります。
●赤字のお店・・・食材原価率が35%を超える仕組みを維持している
店舗の食材原価率(メニュー製作過程で決めた原価率)・・・・35%
食材の廃棄ロス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5%
従業員のまかない食(店舗の食材を使い同じ仕入れ状態)・・1.5%
これで立派に食材原価率超過店舗です→合計食材原価率38% !!
■人件費比率の差
1番目の高経費は食材費ですが、2番目の高経費は人件費です。
多くのお店が「あたま数」(スタッフ数)で切り盛りしようとしていますが、今後は、
少数精鋭+シンプルなメニューの仕組み+支援機器の導入
を行って、高能率、高給与、好成績を目指す必要があります。
●黒字のお店・・・人件費比率30%未満または以下です
今までのように、すべての加工調理を狭い店内で人手を使って
行なう事を思い切って変えてゆくことをしない限り、
人件費は落ちません。
給与の高い調理職人の雇用も下火になってきます。
半加工食材生鮮品の導入などで、職人さんのいる必要がなくなる
お店も増えてきています。(主に居酒屋系・一般和食系)
仕事のできるスタッフは、高給を出しても「1.5人~2人」
の仕事をして能力発揮してくれます!
●赤字のお店・・・前例と習慣に沿ったスタッフ数とポジション
なので、30%~35%と高比率です
従前からの経営体制のままで長く経営されてきたお店ほど
人件費比率が高く、メニューもく歌い依然という例を多く見かけます。
大きく考え方を変えるには、経営者の交代や、外部支援者の導入や
銀行、税理士さんなどの助言が必要とされます。
■経営者の「スピード感のある実行力」有無の差
まあ、迷える時代ほどスピード感のある実行力が必要とされるのでは
ないでしょうか?
経営者になれば、
「経営責任はすべて私にある」と自覚して、
会社を間違って潰したときは、男らしく?責任を取ることが、
経営者のあるべき姿と思います。
●黒字のお店・・・・先手必勝、筋道が固まれば即実行!
但し、思い付きでなく日頃から熟慮している
企業として実行して成果を売るためには、成功させるしかありません。そのためには、一つの考えをスタートからゴールまでまとめ上げたら
今度は、抜け落ちた考えがないか、他のもっといい方法がないか
脳裏で検証する「熟慮タイム」が必要です。
そしてようやく出来たら、
即実行のスイッチをONすることです!
アイデアはまとまった時点から鮮度劣化する!
と思ってください。
また、日本のどこかで、地球のどこかで、同じことを同時間に
考えている人がいると思った方が賢明と思います。
黒字店の経営者は雑学の吸収をえり好みしませんし、
何がコアなことかも嗅ぎ出します。
●赤字のお店 ・・・・気づきだけで自己満足、身の回りの人から
認められれば、もうそれだけで満足する経営者の方が典型例
いつも実に立派な意見を言われますが、半年土後も1年後も同じこと
を言われる経営者の方がたまにいますが、
「この人は、時間の経過の自覚がないのか?」と思いますし、
「最初に聞いた時には、なるほど素晴らしい考えと思います!」と
感じます。
「考え」と「行動」を切り離す癖のある経営者の方は赤字体質
と考えてください。
今の飲食業の世界も、例えるなら、新幹線の車窓の景色と同じで、
生存条件や経営環境が目まぐるしく変わりますし、
早期判断、早期実行が必須になります。
■「パクリメニュー」を自店のオリジナルメニューに
変えることができるかできないかの差
最後にこの項目を付け加えておきます。
WEB上で収集したメニューのアイデアを、自店で研究して、新メニューとして出すことは、非常に大切な店舗行為です。
繁盛店を目指す人は「繁盛店に学ぶ!」
ことをめざしてください。
タダでもらえるノウハウがぎっしり詰まっています。
私もとり天にしても、から揚げにしても、チキン南蛮にしても
ハンバーグにしても、
これでもかと思うくらいに、反復して食べにゆき、グラム数や配合食材
調味料、ソースやたれの類まで頭に染み込む迄食べることが多々あります。
●黒字のお店・・・・・同じメニューでも最大の繁盛店を探してパクります
〇パクった売れ筋メニューをそのまま出す
〇パクったメニューの一部を変更して「当店オリジナル感」を増す
〇パクったメニューをヒントに大半をオリジナルに変えて出す
等の方法を取ります。
トレンドの料理・トレンドの食材を見つけて、
試作重視で開発することに熱心です。
●赤字のお店・・・WEB上のトレンド料理であればどのお店を参考に
しても良い選択をして、まるごと真似ることもしない
いやあ、そもそもこういう情報のアンテナもなく、
リサーチも試作もないまま5年、10年同じ「氷河期メニュー」のお店が
多いからこそ、赤字になっていると思います。
全てはお客様の為に!
■追加項目
お客様目線(消費者目線)で最終チェックをしているかどうかの差!
これから先の時代は、
お客様にもっともっと「選択権」がある時代になります。
お客様あってのお店です。ローカルでは必須の条件です。
<お客様目線でのチェック項目>
●料理の商品力(美味しさ・ボリューム・価格)
●お店の清潔度
●店舗のバリアフリーと段差や機器の使い勝手
●適正な照度(ルーメン)
●メニューの価格
●サービスの仕組み(ランチメニュー・キャンペーン・ポイント付加など)
●ホールスタッフの接客のあり方
●了以の提供スピード
などです。
是非ご参考にしてください。
(了)