高コスト時代の飲食店対策8:設備投資は50%回収不能と考えて必要最小限度にする時代
このテーマの記事は10回のシリーズで投稿します。
飲食店の業態変更や仕組みを変えて繁盛店づくりに役立つ内容です。
*10の記事のうち1本は有料記事になります。
■従来の設備投資に対する考え方は
100%借り入れた金融機関の融資であっても、土地購入費、建築内装費、
厨房設備費、空調設備費、看板設備費、家具類、照明器具などの設備投資
は、開業から5年~7年間長くても10年間で回収できていました。
この考えをそろそろ変える時期に来ていると思います。
●外食人口の減少
●外食利用回数の減少
●外食の中価格層がいなくなり、高価格層と低価格層の2極化が進む
●節約志向の高まり
●世界不況到来不安
以上のような要素が待ち構えている令和5年になりそうです。
しかし、私のこう書きながらも、頭の中では、
がんばりたい人をどう応援すればいいかの答えを持ちつつあります。
飲食業は不滅の商売、いつの世も世の中に貢献できる商売です。
■これからは、初期投資額や設備投資額は50%
しか返ってこない時代と考えるべき!
今まででも、多くの支援事例の中では、土地や建物の投資をしたお店で、売上状況から見ると、建物その他の設備投資は回収できても、土地代は
回収できるほどの売上ではないということもありました。
売上が伸びない時代、むしろ売上が下がり気味の時代では、
設備投資額が『全額回収できる』と計画すると無理が来ます。
そうすると、
今後の状況を考えると、『半分だけ回収できる』と考えた計画が
正しいということになります。
半分回収、半分回収不能ならば、
投資額を抑えて、必要最小限度の金額にしよう!
が、正しい判断になるかと思います。
そうなのです!渋めの世の中で利益を出すには、
必要最小限度の資金を効率よく投資することが成功のルール
です。
■投資額のあり方の具体例
1,郊外型店舗の投資額
●土地の取得・・・・・購入➡賃借(10年先の商圏移動も考慮する)
●建物の取得・・・・・新築➡賃借(建築費用を削減できる)
●厨房設備の取得・・・全品を新品➡中古品50%以上、冷機のみ新品
*冷機~冷凍庫、冷蔵庫、チルド庫、製氷機。食洗機(できれば)
製造から5年以上の中古品の冷機はいつ壊れるかわからない。
●空調機器(エアコン)・・全品を新品➡5年以内なら中古でもOK。
*ただし、劣化具合や消費電力のチェックが必要。
店内で煙などを出したお店のエアコンは故障が多いからダメ。
●内装費・・・・・・・新規の内装➡い抜き店舗で内装の使える部分は
活かして、内装費を半分以下にする。
*トイレとキッチンの中の工事、照明器具、壁のクロス、看板は
新規の設定の方が売上げ効果を生みます。
2,その他の投資も絞り込む
●モバイルオーダーシステムの導入
お客様が持っているスマホがメニューブックの代わりになります
から、メニューは画面上での制作です。
これからは、価格の変更やメニューの追加、削除もスピーディーでない
と。世の中の動きに対応できません。
➡レジの購入費、メニューブック(ペーパー)の製作費の削減
●lot機器の導入
私が一番推奨したい調理機器は、スチームコンベクションです。
蒸す、焼く、レンジ機能の3つを備えた高額機器です。(リース向き)
その他、自動で調理できる麺ゆで機、フライヤー、その他の機器が
日々開発されています。
➡調理機器の導入で従業員数が少なくて済む仕組みに変えることで
人件費、社会保険料、福利厚生費、衛生費(ユニフォーム等)の
経費の削減が可能です。
しかも、労務管理や残業代計算も必要ありません。
●食材の絞り込み
このシリーズの各所でも説明しましたが、「多くの食材を使わない」
ことが、利益を残しやすいにつながってきていると思います。
必要最小限度の食材で、何種類の料理ができるかも検証すべき時代と
考えます。
➡食材原価率の低減、廃棄ロスの低減が可能になる
大切なことは、
投資額が確実に全額返ってくるものには投資をしても、
もう全額返ってくるかどうかわからないものは、
投資額を半分目安まで抑えて、
売上高よりも、お店に必要な利益総額の確保を最優先させる
手段の取り方で、業績の明暗が分かれる結果になります。
時代のシビアさが増すたびに、黒字を出すことは一段と難しくなりますが、
●どうすればよいか学ぶ
●わからないことは専門家に聞く
●自分で抱えたくない人はお金を払い専門家を利用する
これのいずれかを2つ以上行う人が繁盛店の経営者になると
判断しています。
是非、やる気で前に進んでください。
ここまで来たら、後悔しない為には、生き延びるしかありません。
行動を起こす人にしか陽は当たりません。
残すところは「あなたの決心」だけです。
(了)