自宅と病院での採精の苦悩

人工授精を3回したが、妊娠に至らず、ステップアップすることに。
ステップアップとは人工授精ではなく、生殖補助医療といわれる体外受精や顕微授精のことをいう。
今は医療保険適応となっているが、その時は保険適応外である。助成金制度はあるが、家族の総年収で受け取れる額が少なく、経済的負担が増すだけでなく、精神的負担が大きくなるとは思ってもみなかった。

採精のパターンとして、2つ提案された。
1 自宅で採精し、病院に持ってくる
2   病院の採精室で、採精する

ただし、2は別の方が使用していることもあり、その日にならないとわからないとのこと。
そして、1は採精してから病院持参まで3時間以内で体温程度に温めておくことと説明をうける。
どちらも難しい選択である。
いつでもどこでも気軽に出せるものではない、かなりセンシティブなものだからだ。

精子の量があまり多くなかった私は採卵量により足りなくなることもあるので、自宅で採精し、さらに量をみて、病院でも採精することを提案された。
自宅での採精は、もちろん妻もいるため、3時間以内の制限の中で、いつどこでするのかという問題があった。
そして、渡された蓋付きのカップ。上を向いている状態で、出た精子をどのように受けるのかという問題に直面。量が少ない私としては少しの量でも無駄にしたくない。
どうすればいいんだろう…という悩み。
誰にも相談できない悩みだ。

次に病院での採精室。
個室であるが、テレビとDVDプレイヤーとヘッドホンと数枚のDVDとティッシュとソファがあるだけの0.5畳ほどの部屋。外では足音が聞こえる。
そして問題のカップ。
明らかに異質な環境で緊張感もあり、とてもそんな気分になれない。
でも、足りない場合に備えて採精しないといけないという焦りもある。
これは今振り返ってもとても嫌な経験だった。

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