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油脂・脂肪酸ペーパークラフトを作って学ぼう

高校化学において、分子がでかくて多少考えにくいのが油脂・脂肪酸の分野です。分子模型で作れないこともないのですが、非常に大きくなるためなかなかインパクトがあるのですがコストパフォーマンスが悪いです。

そこで、ひとり1個など気軽に作れるペーパークラフトでできたらいいんじゃないのと考えました。

奄美・沖縄で「糖類ペーパークラフト」の発表の機会をいただき、そのあたりからの連想で思いついたものです。非常に勉強になりありがとうございました!

お話しさせていただいた皆さんありがとうございました

糖類ペーパークラフトはこちら



それでは行ってみましょう。


ファイルはこちら

こんなかんじです


pdfが使いやすいかも


厚紙でもいいですが、そんなに立体構造にはこだわらないので普通紙でも十分です。カラーもあればいいですが、なくてもなんとか。


グリセリン

立体的に折ってもOK

見てもらえればわかるのですが、切り出すとグリセリンとステアリン酸ができます。


「スケール」の使い方・飽和脂肪酸


ポイントになるのが、一番上の「スケール」です。

これがアイデア商品の「スケール」


この「スケール」自体もステアリン酸の構造式ですが、例えば「パ」の部分を切り取って、C₂H₄を取り除き、Hを再度くっつけると「パルミチン酸」に、さらに、「ミ」まで切ってC₂H₄×2個分切り取ってHを戻すと「ミリスチン酸」、同様に「ラ」までいけば「ラウリン酸」ができます。

スケールの位置を真似して、ほかの無地のステアリン酸を加工すれば、ラウリン酸などが作れるわけです。


よく登場する「飽和脂肪酸」の原子数の関係までスムーズに押さえられそうです。ジグザグにすると雰囲気が出ますが、特段折らなくても別にいいです。

ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸


不飽和脂肪酸

不飽和もいくつかありますが、代表的なものを作れるようになっています。

今度は下を見てください

今度は、「オレ」の部分を切るとHが2つ外れます。そこに、二重結合パーツを貼り付けて、あとは「シス」っぽく折り曲げると「オレイン酸」ができます。同様に、「オレ」と「リノール」まで加工すれば「リノール酸」、「リノレン」まで加工すれば「リノレン酸」になります。

代表的な不飽和脂肪酸の「不飽和の数」が押さえられるというわけです。(もちろん正確には、不飽和の位置が違うものも存在しますが、一般的によく登場するものを採用しています)


ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸


不飽和の結合角に拘ることもできます


油脂合体!

脂肪酸のOHを切り取り、グリセリンのHを切り取り、貼り付ければ油脂ができます。見本はステアリン酸で作っていますが、当然どの油脂でも、どの組み合わせでも作れます。

これが油脂!

当然、OHとHを切り取ることから、脱水縮合していることがわかります。

分子模型だとかなりデカい

分子模型で同じものを作ると非常にデカいですから、いかにコンパクトかって話です

そのほかに(けん化、ヨウ素価)

ほかにも、塩基とヨウ素のパーツを用意しているので、けん化のシミュレーション(1分子の油脂に3結合ぶんの塩基が反応)や、ヨウ素付加のシミュレーション(1つのC=Cに1分子のヨウ素が結合)も再現できますから、いろいろ勉強に使えるかもしれません。

鹸化!
ヨウ素が付加した感じ


ぜひ使ってみて、なにか、こんなアイデアもあったよ、というときは教えてくださいね。