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レベルデザインの展開作り ―マリオメーカー2の投稿を例に―

今回は表題の通り、私が過去にマリオメーカー2に投稿したコースを例に、レベルデザインにおける"展開"に注目して紹介します。レベルデザインを行う際に少しでも参考になれば幸いです。

レベルデザインの"展開"とは?

レベル(マップ)のあり方はゲームよって様々であり、準じて展開という解釈もそれぞれになりますが、今回はスタートからゴール(目的地)までの道のりで、どうプレイヤーに遊んでもらうかの順序を"展開"と呼んでいます。
ずっと走るだけとか、同じ動きをするギミックを同じように突破するだけだと、プレイヤーは飽きてしまいます。
スタートからゴールまで、プレイヤーを飽きさせないよう展開を作る。
レベルデザインの要素は様々ですが、特に私が重点的に意識しているのがこの展開作りです。

展開作りのポイント

展開に限った話ではないですが、スタートとゴールが明確な(いわゆるリニア式なゲームの)レベルデザインで重要だと思っているポイントは以下の3つです。
・レベルのテーマとなる、メインの要素を立てる
・メインと組み合わせると面白くなる、サブの要素を用意する
・要素の数は絞る

細かい説明は一旦置き、実際にマリオメーカー2で投稿したコースを例に見ていきましょう。

実例:『一斉掃射!青いイナズマのお城』

まずはこちらの動画をご覧ください。

こちらは私が投稿したコースをプレイいただいた方による動画です。
現在いいね数4,629、遊んだ数20,697とまあまあ遊んでいただいているコースであり、投稿したコースの中でも展開作りが上手くいっていると思っているので、今回例として取り上げました。

メインは一直線にレーザーを吐く敵(青メカクッパ)です。
全編を通して登場させているので、動画を観ただけでもこのレーザーの敵がテーマのコースだというのがご理解いただいたかと思います。

サブは中盤以降に登場する強制スクロールと、Pバルーン(風船)による操作の変化です。メインとなるレーザーを避ける遊びに変化を与えつつ、面白くなりそうな要素をサブとしてチョイスしています。

それではコースの展開を順路に沿って解説していきます。

コースの展開解説

まずは"顔見せ"です。メインであるレーザーの敵の動作、攻撃範囲を安全な場所から目視できるような配置にしています。プレイヤーに"初見殺し"の印象を与えないよう、丁寧な顔見せを心掛けています。(初見殺しを効果的にさせたいという場合は、また相応の配置が必要です)


まずは動かないレーザー敵を避けながら進んでもらいます。


次に"敵は動かないが足場が動く"、"敵が動く=レーザーが動く"というような展開を用意しています。難易度が上昇していく感覚をプレイヤーに味わってもらいます。


次に上下の動きだけだったレーザーの敵が左右にも動くパートです。
ここまで敵だけでなくプレイヤーも上下の移動が多かったので、そのテンポを崩す効果も込めて、横の動きをメインとしたパートとなっています。ここで序盤終了。


ここから中盤。サブ要素である強制スクロールが始まります。
今までは敵がレーザーを吐くタイミングを見て避けていましたが、ここに強制スクロールが加わることで、敵のタイミングを見つつもスクロールに追い付かないといけないという難易度の上昇、そしてテンポの変化を行っています。


沢山レーザー敵がいて難しい!と思わせつつ、レーザーを遮蔽するブロックが登場するパートです。このブロックはレーザーを遮蔽すると理解してもらいます。ちなみにレーザーも敵も青色のため、装飾として使用している土管やこの遮蔽ブロックも青色に統一しています。遊びには直接関係ありませんが、コースのテーマや印象の統一に一役買っているかと思います。


遮蔽ブロックのあえて内側を通るとご褒美がもらえるパート。挑戦には必ず報酬を。


ここで大きな展開を与えます。Pバルーンというアイテムを取ることで、空中を自由に飛び回ることができます。この風船状態で進む展開に入ります。まずはレーザーを出さず、コインを回収してもらうことで風船状態の操作感を掴んでもらいます。いわばPバルーンの顔見せです。


風船状態でレーザーを避けるパート。まずは固定。


そしてレーザーが動く展開。遮蔽するブロックも利用してもらいます。


中盤ラストに行く前に、青色ではなく緑色の土管を登場させています。
ここはメインのルートではないサブルートへの入り口となっています。
この入口が他と同じ青色だと発見が難しくなるため、色を緑色にしています。ですがあくまでサブルートなので、矢印などの強調は行っていません。「ここ入れるじゃん」という発見を楽しんでもらうためです。


サブルートです。1画面に収まる形でスクロールはありません。"小部屋"と呼んだりもしています。カービィのゲームにもよく使われていますね。
小部屋ではメインやサブの要素を使いつつ、変わった動きや組み合わせをさせるという挑戦を促す配置を行っています。このコースの場合、レーザーの敵がぐるぐると回転する動きをしています。この動きはメインルートではさせていないため、プレイヤーのアドリブ力が試されます。


メインルートへ戻り、中盤ラスト。動く遮蔽物を使って大量のレーザーを避けるパートです。本当はこれまでと同じ青い遮蔽ブロックを使うべきなのですが、大きさなどの都合でブラックパックンという敵を使用しています。


ここから終盤。シメなのでド派手にレーザー敵の巨大版が登場します。巨大版のレーザーはブロックを壊す仕様があるため、レーザーを避けるだけではなく、レーザーを吐かせて道を塞ぐブロックを壊すという展開を作っています。同じメイン要素である"レーザー敵"でありながらも、見え方や使い方が変わり、遊び方が変わるという派生の展開として有効活用できているかと思います。


巨大レーザーをかいくぐりながら、ゴールです。お疲れ様でした。


ちなみに終盤には隠し要素として、風船状態のまま突破するとゴール地点でご褒美が取れるという要素があります。普通は風船状態を解除させるような配置をしているため、ゴール上部にある大コインを見て「もしかしたら風船状態のままここまで来れるのでは?」という好奇心を促しています。

コース解説は以上です。


展開作りのポイントおさらい

・レベルのテーマとなる、メインの要素を立てる
・メインと組み合わせると面白くなる、サブの要素を用意する
・要素の数は絞る

メインはレーザー敵、サブは強制スクロールと風船状態による移動。要素を絞ることで、コースとしてのまとまりができているかと思います。この要素を絞りつつ、要素と要素をどう組み合わせて、プレイヤーを飽きさせず楽しんでいただくか。ここがレベルデザインの展開作りのポイントです。

もちろんこれはマリオメーカー2=2D横スクロールアクションのレベルデザインなので、ゲームのジャンルや重視するポイントが違うと話も変わってくるかと思います。いわゆる雰囲気ゲーやストーリー重視のゲームは、雰囲気作りやロケーションやシチュエーションに合った地形作りに比重が置かれることになります。
しかしながら、どんなゲームでもただ移動するだけ、同じ操作をするだけではプレイヤーは飽きてしまうのは変わりません。そのゲームやレベルに合った展開作りは普遍的に大事なポイントだと考えています。


最後に

私がレベルデザインを担当した『ハーヴェステラ』は3Dのフリーカメラですが、今回の記事で紹介したレベルデザインの展開作りを強く意識して各ダンジョンを作成しました。実際にプレイいただいた方に「確かに!」と思っていただけると幸いです。

マリオメーカー2に投稿したコースの中から、まあまあ悪くない出来だと思っているコースのIDを記載します。

・とうめいドカンで ランデヴー SKY-S60-YHG
・ズガガッと探検 ナゾの遺跡  8G4-N3W-QVF
・風でぶらぶら クレーン鉱山  7RT-8H7-2CG
・納涼!ウォータードライブ   CQX-DX6-11G
・ゆきダマをつくって なげろ  RMV-D0C-LSF

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