10年前のあの日の記憶1
#それぞれの10年というテーマを見つけたので、書いてみることにしました。
『東日本大震災』
2011年3月11日に発生した大規模な地震と、それに伴って起こった災害の総称です。
あの震災の被害は本当に大きく、私の体験したことはそのほんの一部でしかありません。
私や私の家族には津波の被害は無く、実際にその被害を自分の目で見たのは地震発生当日から一月以上経ってからでした。
また、原発の避難エリアからも離れていたので、関連する体験談にはなりません。
もっともっと大変で辛い思いをされた方や、今も苦しみが続いている方もたくさんいらっしゃるでしょう。
けれど、どんな人でも被災する可能性のある世の中です。
あの日、被災地に居た人間が、どのような体験をして、どのように動いたのか。
体験記として、興味を持って読んでもらえたらと思います。
どんな些細な内容であっても、いつか誰かの役に立つこともあると信じて。
東日本大震災だけではなく、他にも立て続けに起こっている災害やコロナ禍等、様々な場面で大変な思いをされている方の多い世の中です。
誰しもが心穏やかに、憂いなく、心から幸せと思える日々を過ごせることを願っております。
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2011年3月11日。
私は仙台駅近くの小さな古いオフィスビルで納期に追われながら働いていた。
いつもと変わらない午後。
(あぁ、今日を乗り切れば三連休だ)
そんなことを考えながら目の前のパソコンの画面に目をやる。
(もうすぐ15時か…もうひと踏ん張り頑張らないと…)
そんなことを思うと同時に大きな警告音が鳴り響いた。
「地震速報だ。」
そんな声がちらほらと聞こえた。
その瞬間、グラッとめまいが起きたような感覚が襲った。
船に乗ったときのような、酔いそうな揺れ。
けれど、それとは別に細かいものが何かに当たる、カタカタという音がオフィス全体に妙に響いていた。
すぐに、今までの揺れとは違う下から突き上げるような、スピーカーの低音が響くような揺れがものすごいスピードで追いかけてくる。
『ドッドッドッドッ』
そんな音が聞こえそうだった。
今まで感じたことの無い、得体の知れない恐怖が込み上げる。
その瞬間、
『ドンッ』
今までの突き上げるような揺れが数段大きくなったものと、横に振り回されるような揺れが合わさった激しい動きが襲ってきた。
今まで立っていた固い床が急に別物になったかのような感覚に、立っていられなくなった。
上司が振り絞って叫んだ、
「つ、机の下にもぐれっ!」
という叫び声と共に、誰もが机の下に潜った。
地域のお祭りでよく目にした、地震体験のトラックの揺れを思い出す。
それよりも遥かに激しく感じた。
潜っている机が、激しい揺れで前後左右に無造作に動き回る。
突然の状況に、とにかく机の中にいなければ、と必死だった。
小さな子供が細かいおもちゃを入れた箱を振り回しているような激しい揺れ。
それがひたすら続いた。
悲鳴や、泣き声が聞こえる。
何かがぶつかる音、割れる音。
もうわけがわからなかった。
ただひたすらに早く揺れがおさまること、そして家族や友人の無事を祈り続けた。
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