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2021年2月の記事一覧
息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話25
『麻痺が残るかもしれない』
この言葉にショックを受けなかったとは正直言えない。
けれど、目が覚めなかった頃に感じていた不安に比べれば、目標が明確に思えた。
幸い会話に問題は無く、食事も取れるようになってきている。
顔面への麻痺は感じられなかったし、排泄も、ベッドの上ではあったが、オムツでは無く自分のタイミングできちんと出来ていた。
もちろん本人からすれば、今まで出来たことが突然できなくな
息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話24
病棟に入ると、ナースステーションからほど近い個室を案内された。
そこにはベビーベッドを大きくしたような、柵で囲われた金属製のベッドに入った長男が居た。
ひどく不安気な長男の様子に、あえて明るく声をかける。
「長男!ママきたよ!長男がいっぱい頑張って元気になってきたから、今日から一般病棟に来られたんだって。やったねぇ!」
私の顔を見ると、ホッとしたのか仏頂面がみるみる泣き顔に変わっていった。
息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話23
長男が倒れて10日目の朝。
突然電話が鳴った。
長男の入院している病院からだった。
胸が痛いと思うほどの鼓動を感じながら、急いで電話に出る。
『おはようございます。
昨日からの様子を見て、問題無さそうでしたので、本日一般病棟に移ることになりました。
お立ち会い頂きたいのですが、よろしいでしょうか?』
長男の体調になにかあったのかと思い電話に出た為、真逆の内容に頭がうまく働かなかった。
息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話22
カウンセリングを終えて、帰路につく。
あの後、不安に感じていた部分を話し終えると、
入院患者本人へのケアももちろん必要であることや、治療の合間を見ながら本人の気持ちを吐き出す時間を作る予定だと説明してくれた。
ただ、一番安心出来るのはやはり家族との時間だということ、両親からも同じように時間を取ってあげるようアドバイスを受けた。
帰宅後、家族に長男の様子を伝える。
少しずつ、着実に回復して
息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話21
この日の長男の様子を見て、少しずつ体力が戻ってきているのを感じた。
DVDを見たり、絵本を読んだり、おしゃべりをしたり。
出来る限り長男が望んだことを一緒にするよう心がけて過ごしていた。
少しくたびれてはいたが、寝てしまうことはなかった。
合間合間に先生方や看護師さんから説明を受ける時間があったが、その会話の最中でも
「ママ!こっちにきて!」
「ママ、おはなしおわった?」
と、ある程
息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話20
長男が倒れて7日目。
この日は夫が面会に行った。
脳波については、息子の症状には出ないものの、24時間で4〜5回、痙攣を疑われる動きがあるとのことだった。
それでも日に日に異常な脳波は減っているため、このまま快方に向かえば数日後には一般病棟へ移ることも視野に入れています、と言ってもらえるまでになった。
しかし、未だ経口での食事は出来ていない。
数日間全く飲食をしていない為、食事についても
息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話19
そこから医師の表情が少しだけピリッとした。
「本人の意識はしっかりしていますが、脳波のほうは痙攣を疑うような動きが頻繁に出ています。
『痙攣と疑われる脳波が出たら、必ず長男くんにも症状が現れる』というわけではありません。
しかし、もしかしたら痙攣なのかもしれない、と疑われる動きがあるときもありました。
まだガンマグロブリンの投与中ですので、このまま快方に向かえば見られなくなっていく可能性も
息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話18
「昨日パパが来たことは覚えてる?」
こくん、と縦に頷いた。
「長男くん、保育園で具合が悪くなって倒れちゃったんだ。そこからずーっと眠ってたんだよ。目が覚めたらここに居たからびっくりしたよね。」
「昨日、長男くんとおしゃべりできて、パパ嬉しくていっぱい泣いてんだよ。」
と言うと、長男は私ををじっとみつめて、
「…ママ、も、ないてた、ね」
ガラガラの掠れた声でゆっくり一文字ずつ話してくれた
息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話17
長男が倒れてから6日目。
この日は、私の両親が来てくれることになっていた。
前日とはまた違う祖父母の登場に、次男は最初から大泣きだった。
けれど、なかなか押しの強い私の両親に戸惑いながらも少しずつ心を開き(開かされ?)、私が面会に向かうころには強張った顔だが抱っこを許す仲になっていた。
今日も私の両親と夫、次男からのメッセージを録音し、絵本と共にカバンに詰めた。
「じゃ、申し訳無いけど面