踏み出そうとした足に力を込める事がこんなにも難しい事だなんて僕は知らなかった。 いっそ酩酊してしまいたい。 思い立ったことはあれど、今此処に綴っている僕が居ることが失敗の証明になるだろう。 友人より思い立った行動に至らなかった僕は結果として灰色の世界を見ている。 酒を呑んだとして、薬を飲んだとして、どこか頭の片隅に理性がいるものだから酩酊しきれない。 消耗し焦燥する日々。 得るより減り、何故今此処に立っているのかさえ疑問に思う。残された体力で光をつかもうともがいても落ち
毎日封を切って流し込むこの行為が僕の心を蝕んできたのかも。白い光を黒で汚れた僕の心に流し込む。中和して灰色になってくれるだろうか。 もう白には戻れないんだね。 目を閉じて開けたら見知らぬ世界、そんな魔法があったら良かったのに。 𓐄 𓐄 𓐄 2.失敗 『生きていてくれて嬉しいよ』 この世界に背を向けた友人は戻ってきてくれたらしい。安堵半分、もう半分は何となくそんな気がしたから。 生きていたというより“死ねなかった”なんだろうな。現に愛想を尽かした人にしか分からない。
くすんだ灰色。 淡い光さえ差し込まず、深淵さえ覗かないそんな色。 毎日幻影に誘われてもがいて目を開く。 開いてしまったな、って思いながら体を起こす。 こんな事なら体を起こすことさえ叶わない夢の中の方が幸せだったのかも。 夢の中では電車に乗って揺られてた。 両脇には友人がいて、なんてことない会話を広げていた様な。覚めてしまったからもう思い出せない。 𓐄 𓐄 𓐄 1.相談 始まりは一通の連絡。僕の知人からだった。 「助けてくれ」 要約すると友人が自らをあやめようとし