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CAMPFIRE AIがんばるぞ担当のAI奮闘記2024-職人型組織からエージェント駆動型の組織へ-

こんにちは、CAMPFIREでAIがんばるぞ担当の宮迫です。
前回春にアドベントカレンダーを書いたときには、カスタマーサクセスの宮迫でしたが、この数ヶ月の間に私自身も変化があり、現在は社内の業務とサービスにAIをどう溶け込ませるかを考えるのが仕事になりました。

今回も、CAMPFIRE Advent Calendar 2024 に寄稿する機会をいただけたので、開発経験0の状態でAI推進の担当者になってしまった2024年の備忘録を兼ねて、最近の宮迫がCAMPFIREで何をやろうとしているのかをお話しします。



職人型組織の強みと限界

話は春に遡ります。
私が所属してきたカスタマーサクセスユニットは、CAMPFIREのなかで9割方の案件を担当するチームで、会社全体ではこれまで、9万件以上におよぶプロジェクトを掲載いただき、サポートしてきました。

「一人でも多く、一円でも多く」を合言葉に、個人のチャレンジから大規模な企画まで、多くのキュレーターや審査担当者が、「職人的」なノウハウを蓄積しながら、一件一件のプロジェクトをサポートしてきました。

クラウドファンディングは挑戦する人にとってもサポートする人にとっても、プロセスの多いサービスです。
わかりやすいところだけをあげても、プロジェクトの企画、タイトルのコピーライティング、文章のライティング、画像クリエイティブの準備、 法令や規約に違反することのない審査対応、リターン商品の設計、プロモーション、広告、、、などなど始めてみると考えるポイントが多くあることに気づきます。

そしてさらにCAMPFIREはオールジャンル&オールレイヤーの挑戦を支えることにコミットするサービスです。
そのため、一人の担当者が並行して、飲食店の開業と、神社の改修の相談とスマホゲーム開発のプロモーションを考えるなどということが発生することがザラにあります。

これまでのCAMPFIREは一人一人が多種多様な業務ルールやノウハウを頭にねじ込みつつ、社内コミュニケーションを活発にとり、特定のジャンルを得意とするメンバーの知見を共有し合う形で、多種多様な相談をサポートしてきました。

リモート環境の中でありながらも活発な支え合いができることがCAMPFIREの強さではあるのですが、規模が拡大する中で、この属人的な運用には限界も見えつつありました。
領域やプロセスによる分業による最適化やノウハウの言語化によるナレッジマネジメントにチャレンジしつつも、CAMPFIREで挑戦する全ての人を十分にサポートするためには、担当者の努力を基盤とした運用体制から、もう一段進化しないといけない。

去年から今年にかけての作成公開アップデートで掲載が可能になる方が増える中で、次の一手を模索していたのが、今年の春でした。


見よう見まねでつくった「たきびちゃん」

私がCS担当だった頃、日々のサポート業務は、テンプレやナレッジを探すのに非常に多くの時間が費やされていました。
社内の膨大なドキュメントの中から適切な運用マニュアルを探し出し、数百件のテンプレートの中からベストなテンプレートを見つけ出すのには非常に時間がかかります。

不安な気持ちでご相談いただいたプロジェクトオーナーさんを長く待たせて、テンプレ感の残る対応になってしまうなど、一世一代のチャレンジの場としてCAMPFIREを選んでいただいたにも関わらず十分なサポートをやりきれないケースがあったことは、5年間のカスタマーサクセスのキャリアの中でも最大の悩みでした。

そうした背景があり、次の改善策として注目したのが、ChatGPTをはじめとしたAIによる業務補助でした。
プロダクト開発の経験はほとんどありませんでしたが、社内で試験的に導入したツールもあったので、そこを借りながら、手を動かしてみると、思いのほかスムーズに理想的なサービスに近づけました。

そうして3月に誕生したのが、RAGで社内ナレッジを格納したチャットボット「たきびちゃん」です。

たきびちゃんにお問い合わせ内容を共有すると、適切なナレッジを検索し、それをベースに下書きを作ってくれるようになりました。
そのことで、もっとも時間をつかっていた「ナレッジ探し」の時間を「回答の質を高める」時間にシフトできるようになりました。

負荷の高かったナレッジ探しから解放され、スピードと品質が高まったことで現場からもお客様からも満足の声をいただくことができました。

世間的にもますますAIの注目が集まる中で、社内でも「これは、他にも応用できるんじゃない?」という声が自然と出始めて、顧客対応以外の領域にもどんどんAIを活用していこうという空気が生まれはじめました。


カスタマーサクセスからAIがんばるぞ担当へ

前述のとおり、CAMPFIREはお問い合わせ対応以外にも非常に多くのサポート業務があり、それぞれが密接に繋がっています。

カスタマーサクセスのマネージャーだった私ですが、社内でAI活用のニーズが膨らむ中、AI推進に専念することとなりました。CAMPFIRE入社6年目で初めて、CS業務から離れることになります。

新しい仕事のおもな役割は、業務にAIを組み込みたい現場の担当者と対話を重ね、理解を深め、AIで実現する役割を定義した上で、簡易的なAIアプリを構築し、実証実験をサポートすることです。

サクッと書くとスマートに見えますが、実際はAIを触る時間よりも、地道ながんばりの時間の方が圧倒的に多い役割であるため、横文字のかっこいい名前ではなく、ハヤカワ五味さんから拝借して「AIがんばるぞ担当」を名乗るようになりました。(AI推進担当のみなさんは共感してくれるはず、、、、)


だれがAIを推進するべきか

現在、CAMPFIREでは全領域において、AIを活用したサービスのアップデートを進めており、かなり幅広い領域に関わっています。

領域が広がるなかで、自分のリソースがキャップになる場面がでてきたため、この秋からは事業部の各組織ごとにその分野のスペシャリストにAI推進のリーダーを担ってもらい、自分はそれを横断的にサポートする体制に移行しました。

AIによる業務のアップデート作業は、その大部分が言語化の作業になります。
これまで人間がニュアンスや雰囲気といった暗黙知で実行されてきた仕事を全く見ず知らずのAIにやってもらうことになるので、どれだけの精度で言語化ができるかが品質に大きく関わってきます。

もちろんプロンプトのテクニックも重要ではありますが、それは背景やコンテクストを一つずつ言語化していく作業が前提となるため、その業務の課題と理想と現在地点を深く理解している、それぞれの領域のスペシャリストにここを担ってもらうのがベストであると考えています。

私自身も、プロダクト開発やエンジニア経験がないため苦戦する場面も多いのですが、数千件のプロジェクトオーナーさんを支援してきた現場の感覚が大いに役立っています。

そして、このスペシャリストがAIを育成する体制は2025年のメイントピックとなる、「AIエージェント」の時代において非常に重要な役割を持っていると考えています。


PJたきびちゃんβとエージェント駆動型組織

AIエージェントとは特定の目標を達成するために環境を認識し、自律的に判断・行動する人工知能システムであると説明されることが多く、2025年はこのAIエージェントの年であると言われています。

そして、弊社CAMPFIREでも各所での業務に特化したエージェントを構築するとともに、いちチャットボットであったたきびちゃんを、各チームのスペシャリストとともに、CAMPFIREのすべてのプロジェクトを支えるAIエージェントに進化させる「PJたきびちゃんβ」がスタートしました。

進化イメージ

各チームでは、これまで資料や口伝で受け継いできた部署内のノウハウを、ドキュメントの代わりにその業務に特化したAIエージェントに注ぎ込みます。
そして、それぞれの現場担当者はもちろん、たきびちゃんがそれぞれのエージェントとコミュニケーション可能な状態を作っています。

前述の通り、現在弊社では段階に応じた分業の仕組みをとっていますが、プロジェクトオーナーさんからの相談はそれぞれのフェーズを跨いで発生します。
たとえば、最初のお問い合わせの段階で、審査と広告についてのご質問をいただいたり、審査のやり取りをしている時にページをよりブラッシュアップするための相談をいただいたりということが頻繁にあります。

今までは自分の担当分野以外であれば、資料を探しに行ってその資料を参考にサポートしていたところから、この仕組みがあることで、たきびちゃんが審査エージェントや広告エージェントに相談をしに行って、その結果をまとめた回答例の下書きを作成してくれるようになりました。

現在はプロトタイプ段階ではありますが、着実にサポート可能な範囲が広がり品質も高まっています。
今後はそれぞれのエージェントの育成についても、日々のサポートの中での提案内容やサポート内容を踏まえて継続的に成長させていく仕組みを作っていきたいと考えています。

職人型の組織からエージェント同士が滑らかに橋渡しを担う、エージェント駆動型の組織にアップデートしていくことで、人手によるノウハウ継承の限界を超えて、CAMPFIREで挑戦して本当に良かったと思ってもらえるサービスを作っていくべく、着々と準備を進めています!


10万件目の挑戦者に向けて、下ごしらえの2024年

CAMPFIREは、2024年末の時点で9.9万件を超えるプロジェクトが生まれています。そして2025年には10万件という節目を迎える予定です。

私はCAMPFIREの最大の価値はオールジャンルかつ、すべての規模感のチャレンジの舞台であることであると考えています。
そして、これまで以上にその挑戦の足跡が次の挑戦者の支えとなる仕組みを作れるピースが揃ったのが2024年でした。

10万件目にチャレンジする方が、今までよりもいい環境でチャンレンジできるように、そして2度目3度目のチャレンジをいただく方に感動いただける体験を提供できるように、試行錯誤を積み重ねていきます。


おわりに

エージェント駆動型組織というかっこよすぎる名前を思いついてしまい、大風呂敷を広げてしまったこのnoteでしたが、改めてAIの可能性とCAMPFIREとの親和性は非常に高いと感じています。

CAMPFIREはあらゆる規模の挑戦に寄り添うことを諦めない会社です。
日々コストやリソースの制約の上でどうサポートを提供していくのかを工夫してきた5年間でした。

そして、2022年末にAIが急激に身近になり、圧倒的なスピードで社会に浸透していっているのがこの今の時代です。
ほとんどすべての会社がAIによってどう生産性を高めていくのかを考えているこの現代において、ある意味伸び代しかないのがこのクラウドファンディング業界であり、CAMPFIREです。

AI推進は思った以上に地道ながんばりの連続です。
でもそれ以上に、今まで本当はやりたかったことがどんどんできるようになる、奇跡のような時代だと感じています。

そしてCAMPFIREはこの奇跡的な時代に、どう変化していくかをワクワクしながら考えられる環境です。
まだまだやりきれてないことだらけで、あと10倍は良くなる余地が見えています。

そんな変化を楽しめる方がいらっしゃれば是非、弊社のリクルートサイトをのぞいてみてもらえると嬉しいです!
希望のポジションの募集がない場合も柔軟に相談可能ですので、是非一度カジュアル面談をご設定ください!


そして、それぞれの会社の中で「AIがんばるぞ」を進めている皆さん、まだまだこれからの新米がんばるぞ担当ではありますが、今はみんなで開拓していくフェーズだと思うので、会社を超えて協力しあっていけると嬉しいです!!ぜひ情報交換やディスカッションをさせてください!
話してみてもいいぜという方はぜひ、DMからお声かけいただけると嬉しいです^^

圧倒的に最高な2025年をつくるために、引き続き頑張っていきます!!!
やるぞ〜〜〜〜!!!!!



おまけ

たきびちゃんの進化の様子を表現したくて、先日オープンされたsoraを触ってみたら謎の大進化を遂げてしまいました。
年末年始もAI勉強頑張ります。笑


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