火加減ができない女と甘く解けるマロングラッセ
栗の鬼皮はかたい。
お尻のざらざらしたところにそっと包丁を入れてきっかけを作ったあとは、渋皮を傷つけないように、優しく、でも力を込めて剥いていかなければならない。左の親指に何度も刃があたり、鮮やかな血が滲んできたけれど、そんなことが気にならないくらい没頭した。
マロングラッセは、とにかく下処理が大変なのだ。何度も水を替えてアク抜きし、渋皮にのこった筋や繊維を1つ1つ爪楊枝を使って取り除いていく。
けれど、柔らかくなった渋皮はとても脆い。さっきまであんなに主張していたのに、