こけし
こけしと目が合った。
机に2体置いているので、椅子に座れば自然とそうなる。私の日常である。
そういえば高校の友人で”こけしちゃん”というあだ名の子がいた。
彼女の身体が寸胴であるという理由からついたらしい。
なんとも率直である。学生の頃のあだ名は幼いほど意味がストレートすぎて
笑ってしまう。
昨年からこけしを気になるようになった。工人(こけし職人のこと)によるひとつひとつ手作りで地域によって特徴があり、形・デザイン・表情が異なる。
「乙女の玉手箱シリーズ こけし」という本で以下のような工人さんの言葉があった。
こけしは素朴さがいい
こけしには味があり飽きさせない
「静かな雨/宮下奈都」という小説に登場するたいやき屋を営む
こよみさんもたいやきを毎日同じ材料で焼いている。こんな言葉を言っていた。
完全に思い通りに焼き上げるのがどんなに難しいか身にしみてわかってるの
私は飽きっぽい。
人間関係も仕事も趣味も。そして自分自身にも。
自分のなかのブームがあり、どんどん移り替わってゆく。
飽きがきてしまうのは、好きになったものを部分的にしか理解できていないからではないだろうか。理解できるような知識や経験が自分には足りないのではないだろうか。
そっちの世界にいきたい。工人さんやこよみさんのような。
どこまでやれば正解なのか、満足できるのかわからない。そんな感覚がわかる世界へ。そして自分がのめりこんだものを長く愛してくれるひとがいつか生まれますように。
すこしずつ一歩ずつ形にしていこう。