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ビジネス書の起源 #4

「もしあなたが一千年の間生きるとして、他の目的もなしに、金銭を無限に積みあげるならばどうだろう」

「そのとき、私はあなたを人間ではなく、動物と、脳を欠いた野獣と見なすだろう」

15世紀イタリア商人、ベネデット・コトルリさんのお言葉です。

「名誉とともに富む」。

ただお金をたくさん稼ぐだけ、が商売の目的ではないと声を大にして語る、
それが本書『世界初のビジネス書』全体を通して流れている大きなテーマなのです。


これは、現代においても、職人気質で質の高いプロダクトを生み出している、イアリアの精神や文化に非常に通じるところがあると私は思っています。

実際、今回の書籍の原著には、今現在のイタリアで、「人間主義的経営」を掲げて注目を集める、ハイブランドの創始者にして経営者の、ブルネロ・クチネリが推薦文を寄せています。冒頭にほんの少しではあるのですが……。

ブルネロ・クチネリといえば、カシミアのニットで成功を収めたハイブランドの創始者でもありますが、その経営スタイルは、非常にオーガニック。

ベゾス、マーク・ベニオフ、その他、行き過ぎた資本主義の最先端を突っ走るアメリカの大物経営者が、近年彼の会社のある村に続々見学に訪れている、知る人ぞ知る経営スタイルの持ち主なのです。

ブルネロ・クチネリの本社は、イタリアの小村にあります。

残業なんてナシ。職人さんの暮らしを大切に。質の良いものを作り、それで会社の経営は十分に成り立っています。

村の建物の再建などにも熱心で、会社のある村全体がどんどん素敵になっていく。

帯に推薦文を寄せていただいた、山口周さんのおっしゃるように、エコノミーにヒューマニティを取り戻すことを本気で行っているわけです。

念の為お伝えしておきますと、ブルネロ・クチネリのお洋服は本当にステキ。

これまた帯に推薦文を寄せてくださった、ヤマザキマリさんが、とある雑誌でブルネロ・クチネリのニットを着ているのをお見かえしたのですが、ほんと、値段もかなりのものですが、色も編地も素敵なのです!!!

やればやるだけ儲かる。だったら、がむしゃらに儲けよう。そんな欲望を見事に叶えてくれた資本主義ですが、バブルが弾けて以降、どうやら、みんなの働き方、暮らし、生きる環境に、必ずしも常に恩恵だけを与えてくれるわけではない、ということに気づき始めているのが現在の私たちです。

もちろん、だからといって、いまから過去の素朴な時代に戻る、というわけにもいきません。

それでも、そもそも、私たちはどうあるべきなんだっけ?これからどこを目指せばいいんだっけ?

便利な仕組みに乗っかって、半ば自動運転でただただがむしゃらにひた走ってきた、なんとかなった私たち。
でも、そろそろ、違うやり方を模索するときが来ているのかもしれません。

本書が、そんなことを考えるきっかけになれば、本当にうれしいです。

それでは。

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参考文献

◎ブルネロ・クチネリについては
『人間主義的経営』ブルネロ・クチネリ著 岩崎春夫訳(クロスメディア・パブリッシング)
https://www.amazon.co.jp/dp/4295405299/

『NO HARD WORK! 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方』ジェイソン・フリード、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン他(ダイヤモンド社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4152098333/

◎ブルネロ・クチネリの本社紹介記事

「ブルネロ・クチネリが実践する人間主義的経営とは 世界が注目する、地域とともに歩むサステナブル経営モデル」ジェイピープレスオートグラフ
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59339

「世界で一番美しい会社ブルネロ・クチネリに学ぶ『資本主義の使い方』」クーリエ・ジャポン
https://courrier.jp/news/archives/243615/

◎資本主義について考えたい方へ

『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』山口周著(プレジデント社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4833423936/

『人新世の「資本論」』齋藤幸平著(集英社新書)
https://www.amazon.co.jp/dp/4087211355/

◎ヤマザキマリさん着用、ブルネロ・クチネリ素敵ニット
https://precious.jp/articles/-/26634

◎コロナの今、ちょっと振り返って考えるためのヒント
『たちどまって考える』ヤマザキマリ著(中公新書ラクレ)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121506995/

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