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ビジネス書の起源 #2

こんにちは、編集部の原田です。責了したら2〜3日ゆっくり休んで……なんてことは絶対になく。

なぜか激しく散らかっている机まわりとデスクトップの片付け、契約書作成、請求関連まとめ、献本準備、Amazon原稿作成など、まあ、いろいろやっております。

というわけで、あらためて、前回のお話の続きを。

ビジネス書の起源について気になって数年が経ち、そして、見つけたのがこの本です、という話でした。

今回は↓この本の概要について、お伝えしたいと思います。


この本、時は15世紀、東方貿易で栄え、ルネサンスが盛り上がりつつあるイタリアで書かれた著作の抜粋になります。

著作名は、『商売術の書(Libro de l'arte de la mercatura)』。原著はラテン語でなくイタリア語です。

著者は、ベネデット・コトルリという当時の商人。

ラグーサ共和国の名門商人一族に生まれ、主に毛織物関連のビジネスで成功しつつ、ナポリ公国の外交官や造幣局長を歴任した人物です。

そう、でもこの人、学者でもなければ、メディチ家ほどの巨万の富を築いた、というわけでもないんですよね。

じゃあ、なんでこんな著作が残っているのか、といいますと、

実は、13世紀頃から、イタリアには「もの書き商人」と呼ばれる人たちが登場し、多くの商売の手引書や指南書が書き残されているのだそうです。

その当時、大きなビジネス、つまり海外と貿易などを行う商人であれば、
度量衡の換算、両替の相場、土地の産物の知識、航海術など、さまざまなことを学ばなくてはなりませんでした。

このため、実務を知る商人の手によって、いわゆるマニュアルのような文書が書き残されていったのです。

そうした書きものをした人たちを、元ソルボンヌ大学教授のクリスチャン・ベックは「もの書き商人」と呼んでいます。

そして、今回紹介する、ベネデット・コトルリも、そうした「もの書き商人」のひとり、ということになります。

では、たくさんいた「もの書き商人」の中で、なぜ、コトルリの著作が「世界初のビジネス書」と言えるのかというと、

その「内容」がポイントになります!

どういうことかというと、

それまでの著作では、読み書きソロバン的な内容や、様々な土地の情報がほとんどを占めていたのですが、この著作に限っては、そうした記述が極端に減っており、代わりに、仕事の実務一般や、道徳、教育、家政などに、その記述の大半があてられているのです。

いわゆる、今私たちが読んでいるビジネス書のテーマにかなり近い内容になります。

って、どんなことが書いてあるの?

とご興味を持たれた方はぜひ、本書をお手に取っていただけると幸いです。

とはいえ、まだ見本ができあがってきていないので、担当編集の私も、どんな佇まいの本に仕上がっているのか、ぼんやりしかイメージできていません。見本が届くのを楽しみに待っているところです。

それにしても、どうして、こんなことをコトルリはわざわざ書物として書き残したんでしょう?

それについて、また次回、少しお話ししたいと思っております。

それでは。

参考文献

なお、商人の手引書についてより具体的に知りたい方は、以下の論文をおすすめします。
「「商売の手引」一覧――13世紀から18世紀まで――」大黒俊二
『人文研究』大阪市立大学文学部、第 38 巻、1986 年、90-108 頁

https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/il/meta_pub/G0000438repository_DBd0381304

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