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鑑賞ログ「シャドウプレイ」

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ロウ・イエ作品。ちょっとよさそうなビジュアルに惹かれて鑑賞決定。

チン・ハオってチャン・チェンに似てるな…。ちょっと年代がちがうか。
観たいから見ることに決定。

物語の始まりは、開発現場の現場担当者・タン(チャン・ソンウェン)がビルの屋上から転落したこと。若手の刑事(ジン・ボーラン)がその事件を追う。家族は死を悼む実業家の妻(ソン・ジア)と、留学中の娘(マー・スーチュン)。刑事が事件を追うと、謎が多い不動産会社の社長(チン・ハオ)と、姿を消した女性・アユン(ミシェル・チェン)の存在が浮かび上がる。彼らの関係を追うと、1989年から始まっていたーという作品。近代化が進む中国を題材に、30年の変遷を描く。

ロウ・イエ作品は初めまして。なんとなく観る機会を失ってた。映画IQ高そうなんだもの。なんとなく、ウォン・カーウァイっぽい水彩画みたいな作品かなと思ったら、ガッツリサスペンス、味わい重めの油絵だった感じ。色味はちょっと似てると思ったけど。

実際の事件をモチーフにしているらしい。日本で言うところの高度経済成長の初期ぐらいのイメージ。
中国って、考えるとずっと激動の時代な気がするな。清朝が滅亡して、国共内戦と日中戦争があって、また内戦あって、朝鮮戦争あって、ベトナム戦争あって、民主化運動あって、経済解放あって。昔「ワイルドスワン」っていう本があって、清朝末期から文化大革命、経済解放を経た母娘3世代に渡る物語を綴った本があったけれど、それ以降も激動だな。

果たして作品の話。現在と過去、中国と香港、台湾を行き来する構成がかっこいいと思ったな。DV、金、夢、初恋、欲望、殺人そういったものが入り混じった色んな地獄が作品の中に出てくる。事件の鍵を握る父親を失った娘のヌオの視点で「どの大人が最悪か」というのを暴いていく物語でもあると思う。最初、こいつ最悪だなと思ってた人間が物語が進むうちにそうじゃなくなる。それがこの作品を悲劇にしていると思う。ま、それでも許し難い存在ではあるんだけれど。それが人間の複雑と残酷さを表していて、中国の混沌を表しているような気がする。思ったよりも重い作品で、胸にズドーンと来る作品だった。

っていうか、プロフィールを見ると、キーマンの娘・ヌオを演じてたマー・スーチュンが公開当時(2019年)30歳ということを知る。いやいや、信じられない…役者ってすごいな。


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